2010.05.31 (シャニム31号掲載)
室内ユニットが多機能化 快適なオフィス・店舗環境を実現
商品研究
業務用エアコン
室内ユニットが多機能化
快適なオフィス・店舗環境を実現
オフィス、店舗、工場などの必需品といえば、やはり業務用エアコンだろう。
労働環境の向上にこれほど不可欠な機器はない。
しかも2010年モデルは「快適性能」と「省エネ性能」が大幅にアップしている。
最新モデルのトレンドを見てみよう。
過去のパッケージエアコンは、オフィスや店舗内を確実に暖めたり冷やしたりする基本性能が重視されてきた。だが、ここ数年は様変わりし、洗浄レスでの既設配管流用や配線ケーブルの再利用などリニューアル性の向上をはじめ、各種の付加価値が盛り込まれている。
そして、最新モデルのトレンドは「いかに快適な空調環境を実現するか」だ。
過去のモデルは、大きな部屋を冷・暖房する能力の効率化を優先して開発されており、ある意味で快適性は二の次。同じ空間内でも、温度ムラが発生するなどの課題があった。
最新モデルでは、こうした点が大いに進化。これまで業務用ではあまり重視されてこなかった快適な空調環境を提供すると共に、省エネ性能をさらに向上させている。
快適なオフィス環境が実現可能となった理由はいくつかあるが、最大のポイントは「室内ユニットの多機能化」だ。快適性で先行するルームエアコンの技術や機能を、最新の店舗・オフィス用モデルにも応用。そのレベルは格段にアップしている。
気流制御で快適性実現
メーカー各社が最新モデルに装備している主な機能や技術を次ページの表にまとめたので参照してほしい。
室内ユニットによる快適性実現のキーワードは「気流制御」と「クリーン」技術だ。天井の黒ずみや体に当たる直風、室内の寒暖差といった不快感はもはや過去の話なのである。
気流制御は、文字通り室内ユニットから吹き出る風向きや流れをコントロールして温度ムラを防ぐことにより、室内温度を一定に保つ機能だ。三菱電機は「エリアムーブアイ」と「独立駆動ベーン風向設定」、東芝は「360度全方位気流」、日立は「シルキーフロールーバー」と呼称している機能で、それぞれ気流の制御を実現している。
いずれもフラップ(吹き出し口の羽根)の形状を工夫し、風向きや風量を制御する技術。加えて、(標準装備やオプションの違いはあるが)各フラップを個別に独立駆動させることにより、室内形状やオフィスレイアウトになど応じた柔軟な空調環境を構築することが可能だ。
例えば、東芝は新型フラップ搭載により緩急2種類の風を3方向へ吹き分けることを実現。通常は届きにくい遠い場所まで送風できるシャワー気流や、室内ユニットを中心に広角に広がる穏やかな風を駆使すると共に、個別フラップポジションがさらに柔軟な送風制御を行なうといった技術や機能を採用している。
一方、気流や室温を自動コントロール可能な技術が、三菱電機のムーブアイだ。温度センサーにより体感温度ベースで室温をコントロールする「ムーブアイ360」や、これを進化させた「エリアムーブアイ」を最新モデルに搭載。
室内の寒暖エリアをサーチして、暖気や冷気を送風することにより、均一な室温を維持した快適空間を作り出すことが可能だ。
また、室内ユニットの多機能化に、独自のコア技術の搭載がある。
例えば1台の室外ユニットで複数の室内ユニットを独立して運転・操作可能な日立の「個別運転」や、東芝などが採用する「DCツインロータリー」技術(回転域が広いためコンプレッサーが安定的に稼働する)などが組み合わさることで、快適性はさらにアップしている。
リニューアル対応力がアップ
エアコンは気化熱を利用した仕組みだ。このため、室内ユニット内部に細菌やカビが発生・繁殖しやすく、運転時のニオイや天井黒ずみの原因にもなっている。
これを防ぐ技術が「クリーン」機能だ。発生を予防する機能や、付着したカビを洗い流す機能など、方式は異なるものの、主力メーカーの最新モデルはすべてクリーン化に対応している。
細菌やカビの発生、ホコリの付着を抑制する方式を採用しているメーカーは日立だ(高性能&脱臭フィルター搭載)。これに対し、東芝(付着した汚れを洗浄し乾燥させるセルフクリーン機能)と三菱電機(可動式フィルターとブラシが接触する自動清掃ユニット)は、付着した汚れを除去する方式を採用している。
いずれも、ユニット内を清潔に保つという点で効果は変わらない。それほど手間をかけずに、導入時と同等の快適性を長期間にわたり維持できる機能である。
また、最新モデルでは冒頭で触れた既設配管の流用などリニューアル性もさらに進化している。
圧縮機が故障していても既設配管を洗浄レスで再利用できるといったことはもちろん、配線の再利用が可能なモデルも発売されている。これらのモデルは、工期の面でも大幅なカットを実現している。
一段と進化した省エネ性能
次に省エネ性能について見てみよう。一般的なオフィスビルに占める空調機器関連のエネルギー消費割合は30%弱。飲食店など業態によっては40%前後にも達するとの調査もあるだけに、業務用エアコンは環境対策やコスト削減の優先課題といえるだろう。
では、最新モデルの省エネ性能は、どれほどのものなのだろうか。
結論からいうと、最新モデルの電力消費効率は飛躍的に向上し、期間消費電力が半減するほどの高い省エネ性能を誇っている。
例えば東芝の場合、最新モデルを同社10年前機種(定速機)と比較すると、定速機に比べ期間消費電力量が約58%もダウン。これを電力コストに換算すると、年間約3万8000円も電気代を下げることが可能だ。
東芝を例にしたが、どのメーカーでもほぼ同じレベルで高い省エネ性能を実現している。既存機器をリニューアルするだけで十分にエネルギー消費の効率化や電力コストの削減が期待できるわけだ。
さらには「運転管理機能」を活用しつつ「保守・点検」を実施することで、その効果はさらに高まる。
運転管理機能とは、効率的な省エネ管理を実現するもの。メーカーにより名称は異なるが「デマンド制御」や「オートリターン」などの機能が最新モデルに標準搭載されている。
例えば、デマンド制御は設定した電力値の上限に基づきエアコンが運転能力を自動コントロールしてくれる機能。デマンド値ベースで電気料金が決まる高圧電力契約の企業などで特に有効な機能だ。
「基本料金(契約電力)+使用電力料金」で電気料金が算出される点は一般家庭も企業も同じ。だが、高圧電力契約では30分ごとに平均使用電力を計測し、最も高いデマンド値を元に契約電力が決まる(*1)。このため、一度でも大きなデマンド値が出ると以降は最大値を基準とした契約料が適用され、あまり電力を使わない時期でも高い電気料金を払うことになってしまう。
また、オートリターンは一定時間で事前登録した設定温度に自動で戻る機能だ。夏場など、社員やアルバイトが頻繁に温度を変更することが多い。そんな時に役立つ機能だ。
一方、「保守・点検」も省エネ性能を維持するために欠かせない。これは最新モデルに搭載されたクリーン機能が大いに役立つ。フィルターの掃除など日々のメンテナンスはエアコンに任せ、メーカーの保守・点検を受けることで導入当初の省エネ性能を長期間維持できるからだ。
パッケージエアコンの法定耐用年数は6年であり、04年頃の機種からリプレイス対象となる。だが、実際には機器寿命は8年から15年といわれており、投資抑制を背景に02年以前の機器を使い続けているケースも多いことだろう。
もちろん、それも一つの考え方であることは確か。だが、リプレイスを数年後に控えているなら、早めに最新モデルへ買い換えて長く使う方が、導入コストを考えても結果的には経費を削減可能な場合もある。 ぜひとも最新モデルに、注目してほしい。
(*1)月間の契約電力は、当該月を含め過去12カ月で最も大きなデマンド値を基準に決まる
■表) 主要メーカーのパッケージエアコンが搭載する最新「トレンド技術&機能」
東芝キヤリア
室内ユニット/快適性
・360度全方位気流:新型フラップの採用で緩急2種類の風を3方向に吹き分ける。室内の遠い空間まで届き緩やかに注ぐシャワー気流や、広角にムラなく広がるマイルドな気流が全空間を包み込むように広がり、快適な室温分布を実現する
・個別フラップポジション機能:個々のフラップ位置に関して水平~垂直、スイングの有無をリモコンから自在に設定可能。ポジションを記憶させることもできる
・セルフクリーン機能:フィルターを通過してフィンに付着した細かな汚れを冷房運転中の結露水で洗い流す技術。洗浄後は乾燥運転により、カビや雑菌の繁殖を抑える
省エネ技術&機能
・DCツインロータリー技術:低速から高速まで業界で最も幅広いコンプレッサーの回転域を実現。実使用環境で最も使われる中間性能が高く、室温制御のための稼動オン/オフの発生頻度を抑えることで電力カットと温度ムラの軽減を実現している。最新モデルでは、全パーツを見直すなど、運転効率がさらにアップした
・運転管理機能:リモコンのセーブボタンを押すだけで消費電力の上限を抑制できる「セーブ(電流上限カット)機能」を搭載。100%から50%まで1%刻みで制限値を切り替えられる。また、外部デマンドコントローラーからの信号を受け、空調システム全体の上限能力を制御できる「デマンド制御」基板も標準装備している
日立アプライアンス
室内ユニット/快適性
・シルキーフロールーバー:大型の新構造ルーバーにより、気流を室内の隅々まで広げる技術。温度ムラや吹き出し口からの直風による不快感を防ぐ。ルーバーの個別制御もできる
・爽快除湿機能:ルーム用で人気の機能を業務向けに応用。室内温度と湿度を感知するセンサーにより3段階除湿を実現しており、設定温度が高くても快適な環境を実現できる
・クリーン&脱臭機能:細菌などの発生を防ぎ澄んだ空気を保つ高性能フィルターや、天日干しで回復する繰り返し再生可能な脱臭フィルターなどの搭載で、快適空間を長期にわたって維持する
省エネ技術&機能
・ゾーニング(個別運転)技術:1台の室外ユニットで複数の室内ユニットを別々に稼動させることが可能な技術。窓際や廊下側など寒暖差が生じる場所に応じて柔軟に温度設定できるので、ムダな電力抑制や快適性につながる。店舗・オフィス用エアコンでは同社が業界で初めて実現した
・運転管理機能:設定した電力内で最大限の能力を発揮できるよう運転する「セルフデマンド機能」や一定間隔でデマンド制御のオン/オフを繰り返す「ウェーブモード」をはじめ、省エネに役立つ様々な機能を早い時期から搭載している
三菱電機
室内ユニット/快適性
・独立駆動ベーン風向設定:4方向~2方向の吹き出しパターン(*1)と水平から垂直の風向きの組み合わせで72通りの気流制御が可能。操作はフルドット液晶採用のMAスマートリモコンから行なえる
・ムーブアイ360/エリアムーブアイ:人のいる床付近の温度をセンサーを介して測り体感温度ベースで室温を制御する技術が「ムーブアイ360」。さらに、この発展系が「エリアムーブアイ」で、室内の寒暖エリアを見つけ出し風向きの自動調整により快適空間を作り出す
・フィルター自動清掃ユニット:フィルターのホコリを自動的に定期清掃してくれる機能。可動式フィルターとブラシが密着してホコリをかき出す仕組み。リモコンで設定できる
省エネ技術&機能
・MAスマートリモコン(二酸化炭素排出量表示)機能:エアコンを停止する際に、当日運転で発生した二酸化炭素の排出量と前日の排出量をリモコン画面に比較表示。過去8日分や、当該月も含めた過去14カ月分の排出量も表示可能。省エネ行動の目安にできる。この他、同リモコンを通じて様々な操作を行なうことが可能となっている
・運転管理機能:デマンド値を超えないよう時間帯別にきめ細かく電力使用量を管理できる「省エネセレクトモード」、一定時間後に自動で設定温度を戻してムダな運転を防ぐ「設定温度自動復帰」、運転・停止に加え温度も自由に設定できる「週間スケジュールタイマー」の他、「操作ロック」や「消し忘れ防止タイマー」など多彩な機能を搭載している
※各機能の実現には、別途部品などが必要となる場合もある。機能や技術含め、詳細はメーカーHPやカタログ、ヤマダ電機法人カウンターで確認してほしい。
(*1)3方向/2方向は別途シャッタープレートが必要
![]()
関連記事がありません。














コメント
コメント