2010.11.30 (シャニム33号掲載)
知ってて損なし!節税テクニック 連載3
| 節税は一般的な対策の積み重ねから 有効活用したい「資金不要の節税策」 |
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フリージャーナリスト
長谷川丈一
12月が決算の法人や個人事業所は決算を目前に控え、11年3月が決算の中小企業は最終四半期に突入している時期だろう。決算を間近にした今は、節税対策を見直す絶好のチャンスだ。今からでも対応できそうな節税対策を確認したい。
節税を検討する場合、設備投資や役員給与、交際費、福利厚生といった項目から対策を練ることが一般的だ。では、「資金が必要かどうか」という側面から節税を考えたことはあるだろうか。つまり、節税には「資金をかけない(資金不要の節税)」対策と「資金を使った(要資金の節税)」対策という視点があるのだ。
利益が予想以上に出た場合に、翌期以降に計画していた設備投資を前倒しすることや、「利益を減らすため社用車にベンツでも買おう」などの対策は、後者の要資金の節税に相当する。考え方としては、損金を増やし当期利益を圧縮することで課税所得を減らすわけである。
儲かっている場合は資金を使って節税するのも1つの考え方だが、利益が出ていないとなると難しい。そうしたケースで検討したい方法が、資金を使わない対策だ。
資金不要の節税策とは、その時点では出費を伴わずに課税所得を減らすことである。具体的には、「確実な損金処理」「課税繰延」「未払費用の計上」など。いずれも一般的なテクニックだが、だからこそ「疎かにしたり、見過ごしている中小企業が多い。地道な積み重ねが節税につながる」(税理士関係者)。詳しく見ていこう。

▲決算時には節税漏れがないか、確実にチェックする地道な作業が重要だ
時には台帳や帳簿の見直しを
まず、「確実な損金処理」とは処理漏れがないよう確実かつ最適に節税対策を講じることだ。この点、「意外と見落としが多い」との指摘もある。
いくつか代表例を挙げると、「固定資産除却損」「中古資産の減価償却の特例」「貸倒損失」などだ。
固定資産除却損は土地や建物、機会設備などの固定資産を処分した場合に発生する損失を計上すること。事業活動で使用しなくなった会社の固定資産を、帳簿から外すことを固定資産の除去といい、除去資産は処分時点での時価(または売却額)で再評価され「評価額—帳簿価格」として差額を算出する。ここで、マイナスなら除却損、プラスなら除却益となる。
通常、除却益が出ることはほとんどなく、多くの場合は固定資産除却損となり、損金処理できる。なお、廃棄や売却の際に要した手数料や印紙代などの諸費用も含めて除却損処理が可能だ。
「固定資産台帳を定期的にチェックしている企業は意外と少ない。製造業など固定資産が多い業種では処分したにも関わらず、その資産が台帳に残っていることがある」(同前)。
特に、07年度税制改正以前に取得した資産は、残存価額の割合が大きいだけに総点検した方がいいという。
この場合、「ソフトウエアなどの無形固定資産などを見落とすことが多い」(同前)だけに、忘れずに確認したい。
資産関連では、中古で購入した設備の耐用年数に注意したい。中古資産には、法定耐用年数ではなく購入した時点以降の使用可能期間で償却できる特例が設けられている。
使用可能期間を明確にできない場合は、見積もり耐用年数が適用されることになっており、法定耐用年数が経過した中古資産は「法定耐用年数×20%」、一定期間のみ経過している資産は「(法定耐用年数—経過年数)+経過年数×20%」で算出する規則だ。
いずれにしても、短期間で償却できるので、通常の減価償却よりも節税につながる。
また、経費の計上時期が限定されている処理については、確実に期限内に対応することが必要だ。例えば、最近の厳しい経済環境下で増えているという貸倒損失である。
貸倒とは、周知のように取引先の倒産などにより売り上げ債権が回収できなくなること。会社更正法や民事再生法など「法律上の貸倒」以外に、債権回収が明らかに不能な「事実上の貸倒」や1年以上の取引停止状態の「形式上の貸倒」が要件となっている。
税務要件は厳しいが、資金回収できない中で税金を納めることは資金繰りにも影響する。滞っている債権がある場合、後者の2要件を確認してみるといい。ただし、損失計上は基本的に事実が発生した当該事業年度でしか経費計上できない点に注意したい。
短期前払い特例の活用
次に、課税繰延だ。これは費用を前倒し計上することで、本来は当期で課税され納付すべき税金を先送り(繰延べ)すること。例えば優遇税制の特別償却などが、これに相当する。
特別償却は固定資産などを購入した際、通常よりも初年度に経費化できる割合が大きい。基本的に、特別償却も通常の償却も納めるトータルの税額は変わらない。だが、最初に大きく経費化できる特別償却は、それだけ早期に投下資本を回収できるので、初年度の税金を抑えられるわけだ。当期中に償却資産を購入している場合、優遇税制を適用できないかどうか確認してほしい。
未払費用の計上は、決算日までに支払いが済んでいない費用を損金算入すること。決算期末までに支払い義務が確定しているなどの要件を満たす場合、支払いの事実がなくとも当期の経費にできる。賃借料や社員給料などが一般的だが、予想以上に利益が出た場合に社員への決算賞与として未払計上することも考えられる。
当期利益を圧縮したい場合など、決算時点で未払いとなっている経費の確実なチェックが必要だ。税金が免除となるわけではないが、一時的に資金も社内留保されるので資金繰りにも役立つ。
これに関連して、「短期前払費用の特例」も節税策として利用されるテクニックだ。一般的に、費用の先払いは税制上「前払費用」とされ、そのまま全額を経費算入することはできない。
例えば、オフィスや店舗の1年分の賃貸料を先払いしたとしても、決算時には当該事業年度に発生する期間分に相当する金額までしか経費として認められないのだ。
だが、短期前払費用の特例では「支払った日から1年以内に役務提供を受ける場合には、支払った事業年度においてすべて経費として処理する」ことが認められている。前払費用とされるものは、「一定の契約に従い提供を受ける継続的に等質等量のサービス」。
具体的には家賃や地代、借入金の利息、生命保険料などが該当し、販促費や顧問料といった特定時期に限定されたサービスは対象外だ。
一方、資金を使った節税対策を講じる場合も賢く取り組みたい。利益を圧縮するために新たに設備投資などを行なうわけだが、可能な限り経費化できる部分を大きくしたい。前述したように、この場合も課税繰延が可能な税制を適用することで、節税額を大きくできる。中小企業向けに様々な投資関連優遇税制が講じられているので、改めて確認してほしい。
特に、決算を目前に控えた時期ならば「少額減価償却資産の特例」が使いやすい。「30万円未満の減価償却資産を購入した場合、累計300万円を限度に全額を即時償却できる」制度だ。パソコン、カラー複合機やビジネスプロジェクターなど、即時償却できる設備は多く、中古品も対象となる。
ただし、この税制を利用する事業年度内に設備利用を始めることが要件とされているので留意したい。
節税対策といっても、その切り口は様々。会社のメリットになるよう賢く取り組みたいものだ。
◎ワンポイント節税策
税金の納付を忘れた!延滞した!
納期限を過ぎてから税金を払った場合、加算金や延滞金などのペナルティーが課される。例えば、従業員やアルバイトを雇用している場合など、源泉所得税の納付機会が多いだけに失念して不納付加算税を払った経験がある企業もあるのでは。
当然、こうしたペナルティー系の課金は基本的に損金不算入。必死に節税策に取り組んでも、延滞税が加算されてはその努力もムダになってしまう。
この意味で、期日までに納付することが最大の節税策といえるが、「うっかり」といったこともある。その場合でも、実はペナルティーが免除される要件があるのだ。「納付の遅延が1カ月以内」「過去1年以内の納税で遅れたことがない」の2つである。
留意点は、納税額がゼロでも納税義務があるものについては、期日内に納付書を提出すること。ゼロだからと提出しなかったり、期限に遅れると前述の要件から外れてしまう。万一の時に備えて、普段から納付期限は厳守したい。
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