2006.01.20
同じものを売って独走する!断トツの公式!~Part1

P A R T 1 家電量販店業界の優勝劣敗
P A R T 2 ヤマダとコジマの分析比較
P A R T 3 ヤマダの1㎡販・管費の軌跡
P A R T 4 山田昇社長インタビュー
P A R T 5 販・管費の有効活用法
家電量販店は基本的に同じ商品を売る小売業だ。自社製品を売るユニクロなどのSPA(製造小売業)や、PB(自社ブランド)を強化するコンビニなどとは、この点が大きく異なる。違う商品であれば商品力の違いが、業績の格差となる可能性が高い。
ところが同じ商品を売っても、やはり業績の格差は生じる。家電量販店業界は21世紀に入り、ヤマダ電機やヨドバシカメラ、コジマなどの寡占化が進む一方 で、経営破綻する大手量販店が相次いだ。同じモノを売っていながら、なぜ優勝劣敗が鮮明になるのか——。そのメカニズムを検証する。
(シャニム編集長:征矢野毅彦)
◇P A R T 1 家電量販店業界の優勝劣敗
91年度の上位31社中、
10社が経営破綻同じモノを売っても明暗が鮮明に
表1は91年度の家電量販店売上高ランキングだ。上位31社の売上高と、その後の資本戦略に関する重大な動きをまとめてある。これを見ても分かるように、91年度から15年を経た今日、31社中10社が民事再生法や会社更生法の適用申請、営業譲渡などを行なっている。
また、持株会社や合弁会社の設立、事業統合や子会社化なども多く、総合DS(ディスカウントストア)などへの業態転換も散見される。91年度当時の資本政策をベースに、その延長線上で今も家電専門量販店として経営している企業は10社にも満たない。91年度以降の家電量販店業界は、バブル崩壊後の日本経済の縮図ともいえるだろう。
バラ色の90年代
90年代は「失われた10年」と呼ばれることが多い。特に後半は初のGDP(国内総生産)マイナス成長(97年)や男性失業率5%突破(99年)など不況ムード一色だった。
しかしながら同じ90年代にあって家電業界だけは、パソコンや携帯電話の急速な普及、デジタルテレビ放送の開始など、世間と比べてはるかにビジネスチャンスに恵まれていた。実際、91年度の国内家電総需要は5兆7963億円だったが、99年度には7兆6996億円と130%以上もの大幅成長を遂げている(商業統計)。
家電量販店業界は世間から見ればバラ色だったわけだ。ところが、21世紀に入って経営破綻する量販店が相次いだ事実は非常に興味深い。
家電量販店業界とは基本的に「同じ商品を売る」業界であり、新たなビジネスチャンスへの参入機会も、各社平等だったはず。にもかかわらず、15年を経た今日、なぜここまで優勝劣敗が鮮明になったのか。
一言でいえば経営努力の差ということになるが、本特集ではその中身を数値分析を交えて検証してみたい。その第一歩として、まずは家電量販店各社の現状を整理してみよう。
91年度のヤマダ電機は24位
表2の04年度売上高ランキングでトップはヤマダ電機(単独ベース)であり、2位以下を大きく引き離している。
だが表1に目を転じると、91年度は24位。売上高は331億円と04年度の32分の1以下でしかなかった。つまりヤマダ電機にとっての90年代は「経営努力が集積した10年」といえよう(詳細は後述)。
一方、04年度2位のヨドバシカメラと4位のビックカメラは、いずれも91年度ランキングには登場していない。当時はまだカメラ専門店に分類されていたためだが、両社とも91年度当時の売上高は500億円に満たず、04年度比で10分の1以下の規模。両社の90年代も経営努力の集積だ。
04年度3位のコジマは91年度も5位と上位にいる。だが、当時の売上高は938億円であり、04年度比では5分の1以下の規模でしかなかった。
これらトップ4はいずれも、当時の資本政策のまま、その延長線上で今日、規模拡大を実現した点で共通する。いいかえればこの4社は、90年代のビジネスチャンスを起爆剤に、法・制度改正を追い風として経営努力した企業といえる。
業界再編主導型の規模拡大
これに対して持株会社設立という異なる資本政策で規模を拡大させたのが、04年度5位のエディオンだ。
同社でも前述した経営努力は続けられたはずだが、規模の拡大要因としては持株会社の設立が大きい。91年度3位のデオデオと同10位のエイデンが02年度に持株会社エディオンを設立。さらに05年度にはミドリ電化(91年度12位)を子会社化し、規模拡大に一層の拍車がかかっている。このように業界再編を主導する動きも今日的な経営努力であり、勝ち残り戦略の1つといえる。
これは04年度7位のギガスケーズデンキにもあてはまる。
同社の母体は91年度25位のカトーデンキ販売だ。90年代初頭からFC政策を積極推進し、小規模家電量販店を傘下に納めてきた。そして、2000年以降は関西電波(91年度27位)や八千代ムセン電機など中規模クラスと相次ぎ事業統合。虎視眈々と上位進出を狙っている。
一方、91年度4位だったマツヤデンキは当時、業界を代表する家電量販店だった。大証一部に上場し、社長は日本電気大型店協会(NEBA)の会長を兼務。通産省(現経産省)や家電メーカーと太いパイプを持ち、発言力は業界随一といわれた。
だが、03年に民事再生法手続きを申請。その要因は「店舗大型化やPC販売の遅れ、バブル期の不良債権問題」などとされる(現在は産業再生機構の支援を経て、04年11月に債務を一括返済。91年当時とは別資本の家電小売業として、サトームセン[91年度14位]との統合を視野に入れるなど 、新たな飛躍を期している)。
また、第一家庭電器(91年度7位)、和光電気(同8位)、星電社(同9位)などは、いずれも当時、地域を代表する家電量販店であったが、02年以降に相次ぎ民事再生法手続きを申請した。
基本的に同じ商品を売る企業でありながら、15年という時間はここまではっきりとした形で、家電量販店業界の明暗を分けたのである。
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