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2006.07.20

医療と介護の両方向から 認知症問題の解決に挑む!

ヤマダ・ビジネス・ネットワーク

東北医療福祉事業協同組合(青森県八戸市)
http://sg-silver.or.jp/

医療と介護の両方向から
認知症問題の解決に挑む!

理事長の田中信幸氏

東北医療福祉事業協同組合(シルバーグループ)は、全国でも数少ない医療分野における協同組合だ。理事長を務める田中信幸氏は「医療・介護に真摯に取り組むためには、志を同じくする仲間と一緒になって切磋琢磨することが重要」との信念を持つ。その独自の展開には、全国から注目が集まっている。

「5年ほど前から医療の世界も厳しい競争が現実のものとなってきた。最適な医療サービスの提供や最新設備への投資などを怠れば、生き残ってはいけない」。

こう語るのは青森県八戸市を拠点に、14の医療・介護施設などを運営している法人からなる東北医療福祉事業協同組合(シルバーグループ)の田中信幸理事長だ。田中理事長はもともと製薬メーカーの営業出身。だが、高齢者の介護や社会復帰を支援する施設の必要性を痛感し、病院経営に着手したという異色の経歴を持つ。

[ 写真 ] 理事長の田中信幸氏

リハビリテーションに着目

八戸市のシルバー病院

田中理事長が最初に取り組んだ施設は、84年に設立されたシルバー温泉病院(現シルバー病院)だ。もともとはレジャーランドだったが、その施設を譲り受けてスタートしたのである。

設立目的は、脳卒中などのリハビリテーション医療を提供することだった。もともと八戸は脳卒中患者が多かった。だが、手術後のリハビリについては、当時はまだその重要性が十分に理解されておらず、対応できる施設が少なかったのである。

その状況を多くの医師たちから聞かされていた。しかも製薬メーカーの営業として、後遺症に悩む患者を目の当たりにすることも多かった。「だったら自分が引き受けよう」と決意したのが、そもそもの始まりである。

青森県初の介護老人保健施設「はくじゅ」

88年には介護老人保健施設「はくじゅ」を開設した。介護老人保健施設は今でこそ各地に開設しているが、88年当時は全国的にもまだ少なく、青森県でははくじゅが初めての施設。時代は、共働きなど暮らし方の変化から、親の面倒を見られない世帯が増加していた。また、病院などでの入院治療は必要ないが、医学的管理のもとで看護・介護サービスと、日常生活訓練を必要とする高齢者も増えてきていた。こうした変化を察知した田中理事長は「家庭と病院の中間的な施設が必要」と判断したのである。

田中理事長の、社会的ニーズに応えるこれらの手法に注目したのは、近隣の自治体であった。脳卒中患者のリハビリや高齢者の介護は八戸だけの問題ではないだけに、着実に実績をあげている田中理事長に白羽の矢が当たったのは当然といえるだろう。「土地を提供するから、ぜひきてほしい」という要請が相次ぎ、その声に可能な限り対応。介護老人保健施設を開設していった。

さらに注目できるのは、施設で働く人材の育成に乗り出したことである。90年に「八戸看護専門学校」を開校。看護師の養成をスタートし、さらに03年にはリハビリテーションには欠かせない作業療法士、理学療法士の養成校である「東北メディカル学院」を開校した。

90年開設の「八戸看護専門学校」

こうした一連の展開は田中理事長ならではの哲学を実践するためである。「どんなによい医療サービスを提供しても、経営が成り立たなければ地域貢献できない」というもの。そして育成した人材が患者の社会復帰を支援すれば、大きな地域貢献につながる。

[ 写真 ]
上:84年に開設された「シルバー病院」
中:90年開設の「八戸看護専門学校」
下:青森県初の介護老人保健施設「はくじゅ」

ヤマダの迅速サービスに満足

医療・福祉を軸にした地域貢献をより充実させるために、97年には八戸医療事業協同組合を設立。02年に東北医療福祉事業協同組合(シルバーグループ)と改称し、現在は14法人が加入する大きな組合になっている。ここでは事務作業の一本化、食事や備品などの共同仕入れ・共同生産、各種勉強会の開催など、協同組合ならではのメリットが数多く生まれている。

この効率的な組織体制がベースにあることで、現在は月に1カ所ペースで医療・介護施設を新規開設。介護の支援体制を拡充している。特に時代の要請もあって、グループホームやデイサービスなど介護関連施設の開設が多い。

これら施設に必要な備品を、迅速かつ的確に供給しているのはヤマダ電機法人営業部八戸営業所である。野田敦所長は「計画に基づいた新規開設をしているだけに、我われもそのことを最優先する納入を心掛けている」と話す。

1つの介護施設にヤマダ電機が納入する備品は、薄型大画面テレビ、プロジェクター、DVDレコーダー、カラオケ、デジタルムービーなどのAV機器をはじめ、パソコン、シュレッダーなどオフィス機器、エアコン、全自動洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、オーブンレンジ、ポット、クリーナーなどの白
モノ家電と、どれも施設の運営に欠かせないものばかり。納期の遅れは許されないのである。しかも、施設の環境に応じた最適のモデルを選ぶことがポイントになる。

「早さだけでなく、どのモデルが最適かを的確に判断することも重要。特にオープン前は皆さん忙しく、家電だけに関わってはいられない。家電の機種選びの手間を、できるだけ省けるような提案を常に意識している」(野田所長)。

もともとは地元の家電量販店から購入することが多かったが、ある展示会でヤマダ電機の関係者を紹介され、その2日後には野田所長が訪問。「その迅速さが、とても気持ちよかった」(田中理事長)ことが、取引開始のきっかけであった。

実際に取引を開始してからは、対応の迅速さもさることながら、全国どこでも均質なサービスを受けられる点を高く評価している。
「青森だけでなく、岩手、宮城などでも同様のサービスを受けられ、介護の支援体制を拡充する上で本当に助かる。特にエアコン工事の丁寧さには、感心させられることが多い」(田中理事長)。

大学院に寄附講座を開設

着々と施設の充実を図る田中理事長だが、並行して医療サービス拡充のための施策もスタートしている。シルバーグループの5法人が昨年11月、東北大学大学院医学系研究科に「高齢者高次脳医学寄附講座」(目黒謙一教授)を開設したのだ。

同講座は5法人からの寄附金で運営するもの。東北大学大学院同科に医療・介護施設などを運営している法人が寄附講座を開設するのは初めてのこと。産学官連携の一種であり、講座設置期間は08年10月までの3年間だ。その目的は「認知機能評価法の開発とデータベースの構築」や「神経基盤の解明、医療マネジメントと福祉介護を含めた包括的システムモデルの開発」など。

田中理事長は「大学院と協力して認知症治療の新たなシステムを開発したい。しかも、そこで学んだ学生を招致すれば、病院としての医療サービスも、さらに拡充できる」と語っており、新たな医療施設の競争時代に向けた先行投資ともいえるだろう。

リハビリテーションという観点から医療事業に取り組んできた田中理事長には、これまで培ったノウハウを生かし、高齢化社会ならではの難問を解決する支援が期待されている。これが実現すれば地域という枠を超え、人類への貢献という医療の最終目標が達成されるはずである。

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