2007.01.30
ヤマダ・ビジネス・ネットワーク/道後プリンスホテル 大規模旅館の新たな価値を創造
ヤマダ・ビジネス・ネットワーク
道後プリンスホテル(愛媛県松山市)
http://www.dogoprince.co.jp/
コンセプトルームを相次ぎ拡充
大規模旅館の新たな価値を創造
道後温泉でも有数の大型旅館「道後プリンスホテル」が、コンセプトルームの展開を強化している。
顧客に非日常的空間を満喫してもらう新たなサービス提案だ。
小宿人気が高まる中、大規模旅館ならではの取り組みは全国の温泉街が注目している。
「道後プリンスさんからは、常に新しい提案を求められる。その熱心さは見習うべき点がとても多い」。
こう語るのはヤマダ電機法人営業部松山営業所の石本斉所長だ。
松山営業所のエリア内には国内有数の温泉地「道後温泉」がある。1894年に建てられた日本最古の公衆浴場「道後温泉本館」をシンボルに、35軒ほどの温泉旅館が軒を連ねる。
中でも道後プリンスホテルは、客室数127、道後温泉でも有数の大規模旅館だ。館内には大浴場や露天風呂をはじめ、料亭やカラオケラウンジ、リラクゼーションルームなど各種の施設を完備している。
△価値創造に挑む道後プリンスホテル
コンセプトルームとは

全国の温泉街には、その衰退が懸念される街も少なくない。だが、道後温泉に限れば話は別だ。いまだに多くの湯治客や観光客で賑わっている。これも、木造三層楼の城郭式建築が施された道後温泉本館の存在感や、道後温泉旅館協同組合の温泉街活性化活動などによるもの。
道後プリンスホテルの河内広志社長は「お客様に道後温泉へきていただくことが最重要。この認識を組合員全員が持っている。そのための知恵の出し合いが、いい方向に結びついている」と話す。だが、それでも「街としても、個々の旅館としても、新しいサービスを提供し続けない限り、お客様に見放されてしまう」と表情を引き締める。
ここ数年は温泉ブームといわれるが、その特徴は客室数の少ない小宿(小規模旅館)人気の高まりだ。一方、各種施設を完備した大規模旅館は、団体旅行件数の減少傾向などもあり決して芳しいとはいえない。「四国はまだ団体旅行客も多く、喜んでいただいている」というが、それでも、河内社長は「時代の変化は着実に表れてきている。大規模旅館として、今の時代に応じた役割を求められている」と話す。
そのため道後プリンスホテルが重視しているのは、団体客と個人客の双方のニーズに分けたサービスの提供だ。団体客と個人客の入り口を別に設けたり、食事内容を分けることなど。さらに重視しているのは「コンセプトルーム」の拡充である。

いくつかの部屋に明確な個性を持たせ、宿泊客に非日常的空間を楽しんでもらおうというもの。例えば65型プラズマTVを設置した「ムービールーム」、豪華なベッドを設置した「天蓋ベッドルーム」、各種健康機器を設置した「健康ルーム」、露天風呂の付いた客室など。これらは120以上もの客室を持つ大規模旅館ならではの、個人客へ向けた新たなサービス提案といえる。
「個性的なコンセプトルームから、リーズナブルな部屋まで、好みに応じてお選びいただけるところが、大規模旅館の強み。シティホテルにとってスイートルームがシンボリックな存在であるように、当社にとってはコンセプトルームがその役割を担っている」(河内社長)。
△写真
左:65型プラズマ・ビエラが堪能できる「ムービールーム」
右:和室にもマッチする液晶アクオス
万全の配送・工事体制
コンセプトルームへの家電設備を納入したのが松山営業所である。特にムービールームは、道後プリンスホテルにとって一番のシンボルルームだけに、65型プラズマTV(パナソニック・ビエラ)の配送・設置には一際気をつかったという。仕上がりに万が一のことがあれば、せっかくのアミューズメントサービスが台無しになりかねないからだ。石本所長自ら工事に立ち会い、最終の仕上がり具合を自分の目で確認。「絶対に大丈夫」との確信を得るまで、何度もチェックし直したという。
また、露天風呂付き個室には32型液晶アクオスを納入したが、これも直前まで32型か37型かが決まらなかった。そこで石本所長は両サイズのTVを部屋に持ち込み、どちらがフィットするかを実際に確かめてもらったのである。
ヤマダ電機の商売だけを考えれば、単価の高い37型の方がありがたいことは確か。だが、非日常的空間のトータル演出には、どちらがいいのか、という視点からサイズを選択。最終的に32型に落ち着いたという。
「各コンセプトルームにとって、どのサイズが最適なのか。その視点から選んだ。結果としてコンセプトルームの考え方を、しっかりと体現できるTVを設置できたと思う」(石本所長)。
石本所長の提案はプラズマのような大型製品だけにとどまらない。例えば電気ポットを30台納入したが、これも女将さんから聞かされた苦労話がきっかけだった。仲居さんたちが顧客にお茶を淹れる際、ポットが使いにくいというのだ。石本所長はサイズが小型で操作のシンプルな電気ポットを選別。実際に試してもらい、納得して選んでもらったという。
「プラズマも液晶も電気ポットもすべて、道後プリンスさんにとってはビジネスの道具。その視点から選ぶよう、常に心がけている」(石本所長)。
道後温泉の試練
コンセプトルームの拡充などで大規模旅館の新境地を切り開く道後プリンスホテル。
だが、これは同時に道後温泉本館の改修工事に備えた、新たな魅力作りへのチャレンジでもある。設立から110年以上経過した本館の改修工事が、2010年以降、始まる計画なのである。
そうなれば道後の温泉街はしばらくの間、街のシンボルに頼ってばかりはいられなくなる。「道後温泉にとっては試練のようなもの」と河内社長。だが、道後温泉が未来永劫にわたって道後温泉であり続けるためには、「避けては通れない道」というわけである。
「こういう時こそ、街が結束して魅力を高めていくことが重要。街に元気がなくなれば、お客様にはきていただけない。まずは個々の旅館が自力を高め、個性を発揮。その集合体として街の魅力をさらにアップさせたい」(河内社長)。
道後プリンスホテルのコンセプトルーム拡充は、こうした街の試練への対策でもある。
この2月には新たな試みとして「シノワズリー」ルームをオープンする計画だ。シノワズリーとはフランス語で「中国趣味」のこと。部屋は「フランス文化の影響を強く受けた中国・上海のデザイン」がモチーフになるという。
「大規模旅館の新たな役割として、普段はなかなか泊まることのできない非日常的な空間を、積極的に提案していく。そして『道後温泉に、ぜひとも、またいきたい』というお客様を一人でも多く増やしたい」(河内社長)。
大規模旅館ならではのアミューズメントを次々と展開する道後プリンスホテル。その取り組みは、温泉旅館の新たな役割や価値を、必ずや創造するはずである。

△写真
左:街のシンボル「道後温泉本館」
右:河内広志社長
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