2007.10.20 (シャニム21号掲載)
’08年春の市販目指し3Dテレビ開発に全力投球
YAMADA BUSINESS NETWORK
有沢製作所(新潟県上越市)
http://www.arisawa.co.jp/
08年春の市販を目指し
3Dテレビ開発に全力投球
電機・電子機器の部材メーカーとして知られる有沢製作所では、来春の市販を視野にした3D(立体)テレビ開発が急ピッチで進んでいる。工場の生産管理や安全管理システムではヤマダ電機の提案も随所に取り入れられている。
創業100年の歴史

「有沢製作所さんのご要望は、実に幅広い。こちらも知識や仕入れ先が広がり、本当に勉強になる」。
こう語るのはヤマダ電機法人営業部上越営業所の布施昭則所長だ。上越営業所の上得意先である有沢製作所は、上越市に本社を構える東証一部上場企業だ。電機・電子機器の各種部材メーカーとして、独自技術に定評がある。
例えば携帯電話やデジタルカメラでは、内部で使われるフレキシブルプリント基板(薄くて屈曲性のあるプリント基板)で高いシェアを持つ。また、プロジェクターやプロジェクションテレビなどの関連部材、航空機の内装材料、そしてスノーボードやスキー板の芯材など実に多くの分野を手がけている。
例え有沢製作所の社名は知らなくても、気付かないうちにその製品を使っているケースも多いわけだ。文字通り「縁の下の力持ち」である。
最先端の部材メーカーであるが、その歴史は古く、創業は1909年(明治42年)だ。もともとはレース編みの一種であるバテンレースの製造からスタートした。ドイツで生まれたバテンレースは当時、非常に高価で欧米への輸出が盛んだった。高田市(現・上越市)でも冬の内職として製造が始まり、有沢製作所はこれを組織化した草分け的存在である。
バテンレースではリボン状のテープを用いる。有沢製作所はそこから電気絶縁テープやファスナーテープなど工業分野に進出。以後、自社の技術を新たな成長分野に応用するイノベーションを繰り返し、100年もの歴史を刻んできたのである。
3D技術「X pol」とは?
そんな同社が今後の成長分野に位置づけているのが、3D(立体)映像再生技術「X pol(エックスポール)」である。
3D映像は今、急速に技術開発が進んでおり、米国では3D映画館の設立が盛んだ。日本でも上映され始めている。スクリーンに投写された映像を専用の偏光メガネで見ることにより、3D映像が再現される。すでに体感した読者も少なくないだろう。
3D映像の用途は4つが有望視されている。①広告、②映画(及びDVD再生)、③ゲーム、④テレビ放送。現状では映画館での利用が先行しているが、有沢製作所が重視している用途はDVDやゲーム、テレビ放送だ。いずれも家庭での再生を念頭にしたものである。
3Dでは各種の技術が開発されており、中には裸眼で再生可能なものもある。
しかし、有沢製作所が進めるのは、映画館と同様に偏光メガネをかけて視聴するタイプだ。同社取締役の松廣憲治氏は「メガネを使用する技術の方が、高いクオリティの映像を再生できる」と話す。偏光メガネは映画館で使用するものとまったく同じ。映画館でも家庭でも、手軽に楽しめるシステムというわけである。
そのシステム構成はシンプルだ。必要な機器は、同社が開発した3D用特殊フィルム「X pol」を画面に装着した液晶テレビと、コンテンツデータを3Dデータに変換するセットトップボックス、そして市販のブルーレイやHD-DVDプレイヤーである。
このシステムで3Dコンテンツを再生し、映画館と同様の偏光メガネを装着することで、3D映像の視聴が家庭でも実現する。まだ3Dの専用ソフトは市販されていないが、一般の2D映像でも変換技術により、擬似的な3D再生が可能だという。
△左
X polを搭載した3Dテレビのプロトタイプ
△右
X pol開発を急ピッチで進める松廣常務
同社、及びソフト開発メーカー、機器メーカーなどが共同で開発を進めており、松廣取締役は「来春あたりから本格的な市販が開始できそう」と話す。まだ確定ではないが、当面は、どこかの液晶テレビメーカーのオプションとして発売される可能性が高そうだ。セットトップボックスも別体ではなく、テレビやプレーヤーに内蔵される可能性もある。いずれにしても、市販まで秒読み段階にあることは確かである。
有沢製作所はX polの研究開発にすでに10年を費やしており、完成度には絶対の自信を持っている。というのも、同社は液晶ディスプレイに不可欠な「偏光フィルム」や「位相差フィルム」などで、高い技術力を持つからだ。同社関連会社のポラテクノ社はカーナビやプロジェクターなど、高負荷が加わる液晶分野において、偏光フィルムのトップシェアを持っている。この技術がX polに生きているわけだ。
3D再生可能なPCモニターは、テレビより一足早くこの秋から発売開始するとのこと。詳細はぜひ、同社ホームページを参照してほしい。
頼れるパートナー
ここまで見たように、有沢製作所は優れた技術力・開発力で成長を続けている。ヤマダ電機への要望も、この技術を支えるものが中心だ。
例えばこの春に納入したバーコードリーダーシステムは、工場内の生産管理に不可欠のもの。工程ごとに施された作業内容や時間などをバーコードを用いて入力し、次の工程へと引き渡すのである。その際「現場がストレスを感じずスムーズに入力できることが絶対条件」(情報システムグループ・塚田雄一課長代理)だったという。
効率的な生産管理を実現する無線バーコードリーダーシステム
もっとも、当初はヤマダ電機で要望通りのものを扱えるのか「半信半疑だった」ともいう。他の量販店や商社が「扱っていないか、扱っていても1社の製品のみ」という状況だったからだ。確かにヤマダ電機もバーコードリーダーは頻繁に扱う商品ではない。だが、布施所長は「要望に添うメーカーをピックアップし、仕入れルートを見極めながら提案した」と話す。
同様の提案は遠隔モニタリングシステムでも行なった。これは工場内の保全を目的とし、作業状況を確認するもの。生産工程の細かい部分まで自席のパソコンでリアルタイムに確認できることや、過去の映像の呼び出しが簡単に行なえることなどから、WEBを使ったネットワークカメラを採用することになった。
布施所長は当初、取り扱い実績のあるネットワークHDDサーバーを提案した。だが、有沢製作所が求めるスペックには届かなかったことから、耐久性や無線機能などに優れた新たな製品を探し出し提案。納入にこぎ着けたのである。
「要望があれば、とにかくそれに見合った製品を調達する。そうしなければ、有沢製作所さんのような大規模な工場への提案はできない」(布施所長)。この姿勢が通じたのか、有沢製作所でも「ヤマダ電機さんは、無茶なお願いに応えてくれるのがいい」(情報システムグループ・吉原英宏氏)と評価は高い。「これを試したいとお願いすると、その週のうちには届けてくれる。ここまで迅速な業者さんは今までいなかった」(同前)という。
3D映像システムなど、新分野の開拓を進める有沢製作所にとって、ヤマダ電機の提案力は、頼れる存在といえそうである。
■表 ヤマダ電機納入機器一覧
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