2011.02.28 (シャニム34号掲載)
2010年12月10日 ヤマダ電機 「瀋陽店」オープン!!
中国家電業界の新たな夜明け

ヤマダ電機の海外1号店がついにベールを脱いだ。中国「瀋陽店」(遼寧省瀋陽市)だ。総売り場面積2万4000㎡の広大な売り場に、150万点もの商品を揃えた中国でも屈指の大型家電量販店の誕生である。
その最大の特徴は日本のLABIと同様に、売り場ごとにメーカー各社の主力モデルを並列陳列したこと。日本では当たり前のレイアウトだが、メーカーごとのブース型売り場が主流の中国家電市場では非常に斬新。しかもメーカー社員ではなく、自社スタッフが接客販売するスタイルも中国では画期的である。
また、家電以外にも玩具や化粧品、日用雑貨品などを取り揃えており、キッズコーナーやレストラン街などを施設。「家族で1日楽しめる」という日本のLABIならではのコンセプトを踏襲している。この日本型家電販売手法が、中国の消費者にどう評価されるのかが、最大の注目点であろう。
ヤマダ電機の一宮忠男社長はオープンに先立ち「今後の中国における家電量販専門店の新たな方向性を示したい」といい、「中日友好の架け橋となるため、ネットワーク化を進める」と今後の抱負を語った(参照)。
ヤマダ電機初の海外店「瀋陽店」の全容レポートをお届けしよう。
1階 ▶▶▶ テレビ、ホームシアター、オーディオ

左上:正面入り口前に備えられた4基のエスカレーターが目を引く
左下:回遊性に優れた売り場レイアウトもLABI譲りだ、
ゆったりとくつろげるホームシアター体験コーナー
右上:3Dテレビ体験コーナー。ビエラの中国でのキャラクターは「ブルース・リー」
右下:フロア中央部に設置された大型カウンター
地下1階 ▶▶▶ 理美容、健康、日用雑貨、食品、化粧品

左:内外トップブランドが揃う化粧品コーナー
右上:食品コーナーには、日本から取り寄せたお馴染みのブランドがズラリ!
右下:健康機器コーナーも体験型の展示がなされている
2階 ▶▶▶ 携帯電話、デジカメ、メガネ

左上:モバイルデコレーションは中国初上陸だろう
左下:コンパクトから一眼レフまで揃えたデジカメコーナー
右:中国でも人気が高まっているスマートフォン
3階 ▶▶▶ 冷蔵庫、洗濯機、調理家電、玩具

左:見通しがよく、ゆったりと買い物ができる白モノコーナー
右上:玩具やキッズコーナーなど3階は親子で楽しめるはずだ
右下:ラッピングコーナー。家電をギフトに! というヤマダの提案だ
4階 ▶▶▶ パソコン、PC周辺機器、法人カウンター

左上:最新モデルを豊富に用意しているパソコンコーナー
左下:法人カウンターも4階。当面の狙いは日系企業か!?
ビジネスプリンターを多数展示するのもヤマダの特長だろう
右上:組み立てパソコンやグレードアップ、修理などの相談カウンター
右下:中国でも人気の中心はノートパソコンだ
5階 ▶▶▶ 空調、季節家電、ボイラー、住宅設備機器

左上:理科室のようにズラリと並んだキッチンコーナー
左下:中国富裕層の間で人気が高まっている温水洗浄便座
右上:日本と最も異なる品揃えが5階だ。写真は家庭用大型ボイラー
右下:家具と家電とを組み合わせたインテリア提案もヤマダならでは
中国消費者の環境意識を啓蒙する太陽光発電の提案
ヤマダ電機・一宮忠男社長
瀋陽店のコンセプトは世界最先端、最新の家電製品・情報機器をいち早く提案し、提供していくことです。家電製品のみならず、化粧品、玩具、日用雑貨など、約150万点の商品を豊富に取り揃え、さらにレストランやキッズコーナーなどまで完備し、ご家族が一日中楽しめる、これまでの中国家電業界になかった新しいタイプの店舗です。
また、私どもが現在、最も力を入れて取り組んでおりますのがCSの向上、すなわち顧客第一主義ということです。このお客様第一主義をモットーにこの店を運営していきたいと思っております。そのためにも“For Your JUST”を合い言葉に、中国でも日本と同様のサービスをご提供していきます。
商品展示方法についてもユーザーの視点に立ったレイアウトと、瀋陽店の正社員による接客に努めてまいります。これらは今後の中国における家電量販専門店としての新しい方向性を示すものになると考えています。同じカテゴリーで複数メーカーの商品を並列陳列し、メーカーにとらわれず、お客様にとって最適な商品を紹介していきます。さらに長期安心保証など、当社ならではの安心・親切サービスをご提供していきたいと考えております。
今後、瀋陽店スタッフ500名が心を1つに合わせて、お客様にご満足いただけますよう、努力してまいる所存です。
今後の中国展開においても、家電流通を通じ、中日友好の架け橋となるため、ネットワーク化を進めてまいりたいと考えております。そして、中国の消費者の皆様に心から感謝され、地域貢献の一助となるように共に発展していくことを目指し努力してまいります。
(2010年12月9日記者会見より)
「国美」「蘇寧」「ウォルマート」
ヤマダ電機を迎え撃つライバル家電量販店

中国最大の家電量販店「国美電器」。テレビや冷蔵庫、洗濯機やエアコンなどは壁際のメーカーブースが売り場になっている
ライバルの筆頭は国美電器(Gome)だ。設立は1987年と比較的新しいが、積極的なM&Aなどがあいまって、今や中国全土に1100以上の店舗網を持つトップ家電量販店だ。2014年までに2000店舗・年商1800億元(約2兆5000億円)の達成を公表。瀋陽にも出店しており、ヤマダ電機瀋陽店からは徒歩数分の立地に店舗を構えている。
国美に優るとも劣らないのが蘇寧電器(Suning)だ。900店舗以上を構え、日本では2009年にラオックスの筆頭株主となったことで知られる。瀋陽店はヤマダ電機から徒歩10分ほど。12月10日のヤマダ電機オープン日には「来店ポイントプレゼント」など派手な販促を展開した。
国美、蘇寧とも現状で売上高1兆円を突破しており、ヤマダ電機としては初の兆円クラス企業との競合となる。しかも、世界最大の小売業ウォルマートも、中国ではすでに200近い店舗を運営している。同社は家電販売にも長けているだけに、ヤマダ電機の強力なライバルとなろう。
国内で破竹の進撃を続けるヤマダ電機が今後、世界の有力企業を相手にどう戦うか──。瀋陽はその行方を占う重要な市場である。
你好。歓迎光臨、「挨拶」「笑顔」「丁寧な説明」で差別化
明らかに異なる接客姿勢
「你好。歓迎光臨」(こんにちは。ようこそ、いらっしゃいませ)。
ヤマダ電機瀋陽店に一歩足を踏み入れると、店内の至る所から、この挨拶の声が聞かれる。瀋陽店のスタッフは若く、元気でとにかく明るい。そして何より、一生懸命に接客する姿が初々しい。
これが日本であれば、特に珍しい光景ではないだろう。
しかし、中国となると話は別。中国国内での買い物経験があればお分かりいただけるかも知れないが、中国、少なくとも瀋陽では家電量販店はもちろんデパートであっても、挨拶されるケースは希だ。数人の店員がかたまってフロアの片隅で雑談していたり、携帯電話で話し込んでいる光景が珍しくないのである。
ましてやコンビニなどの小型店舗であれば、「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」の声を聞くことは非常に難しく、時には携帯電話で話し込みながら、釣り銭を投げ返すように渡されることもある。
瀋陽市内すべての小売業スタッフがそうだとはいわないが、買い物をしていて「CSやホスピタリティとは無縁だ」と思わされることが多いのは確かである。
それだけにヤマダ電機瀋陽店は、スタッフの明るく丁寧な挨拶や接客が一際目立つ。「これが同じ国に生まれて育った小売業スタッフなのか」と思わされるほど、地元企業とは大きく異なっている。
ヤマダ電機の山田昇会長は前号のインタビューで、「中国では他の小売業経験者を一切採用しない純血主義に徹する」と語っていたが、その正当性は現地を取材してはっきりと認識できた。
「今までは誰も教えなかっただけ。ちゃんと教えれば、彼らにだってできるんですよ」──。ヤマダ電機のある幹部が漏らしたこの一言が、非常に印象的だった。

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