2009.02.20 (シャニム26号掲載)
消費低迷を吹き飛ばす! 「お馬鹿で非日常」アイテム
businesschallenger
ビジネス・チャレンジャー
(株)グレイス企画
仲田正道社長

(株)グレイス企画
設立:1992年9月
事業内容:事業支援関係、自社店舗&カルチャースクール、不動産賃貸
本社:群馬県前橋市新前橋町18-41
グレイスビル カルチャースクエア
連絡先:TEL.027-210-7677
URL:http://www.t-v.jp
消費低迷を吹き飛ばす!
「お馬鹿で非日常」アイテム
日本経済では数年前から、「クルマが売れない」という事態が象徴する“消費不況”がジワジワと進行していた。そこへ昨年末から始まった急速な経済の冷え込みである。消費はいっそう堅実さ、実用性への指向を強めると見られる。
そうした動向を意に介さず、独自の道を突き進もうとしている皮革製品ブランドがある。グレイス企画(前橋市)が立ち上げた「Mac nakata」だ。この春から本格的に始動する。同社代表であり、自ら商品をデザイン、手作りしている仲田正道社長いわく、「Mac nakataで目指すのは、お馬鹿で非日常なグッズ」である。
世界に1つのロレックス
例えば、Mac nakataの代表アイテムであるリメイク腕時計。写真①を見てもらうと一目瞭然だろう。
バンド部分が完全に“別世界”の物になっている。ゴツい革の腕輪(ブレスレットとバンドの組み合わせ)に、ド派手な飾り金具をはめ込み、なぜか、かさばって重い真鍮プレートを挟み込んでいる。リメイク元の時計には、人気のイタリアブランド「サルバトーレマーラ」などを使用しているが、主役の時計本体を圧倒する存在感だ。
このリメイク腕時計、時計本体は差し替え可能だ。仲田社長自身は、愛用のロレックスなど装着している。世界中探しても、このようなバンドでロレックスを身に付けている人はまずいないだろう。
写真①/Mac nakataのリメイク腕時計。
ブランド品の腕時計が生まれ変わる。
「腕時計は男性が気軽に身に付けられる数少ない装飾品の1つなのに、市販の腕時計はどれもバンドに個性がなく、ダサイ。ないなら、自分で作ってしまおうと考えた。他に類がなく、とにかく目立つものを」(仲田社長)。
とはいっても皮革製品を作ったことはなく、糸と針を持つのも初めて。ただ、熱くなれる性格だ。誰に教わるともなく、試行錯誤で今のスタイルを生み出した。“目立つもの”はエスカレートし、Zippo用ケースと一体化したわけの分からない腕時計も(写真②)。アイテムも広がり、バッグや財布も登場した。
写真②/奇想天外、Zippo用ケースと一体化した
「世界一大きな腕時計」。
Mac nakataのアイテムはどれも、「精巧」「洗練」といった言葉からはかけ離れ、素材の存在感が無骨に残ったままだが、そこに奔放でヘタウマ的な味わいがある。それは、本職の皮革職人をして「突き抜けているな」といわしめる。
縮み指向の消費を打破する
Mac nakataの活動は一見、趣味の範ちゅうに思えるかもしれないが、本気でビジネス化を狙っている。今春からリメイク腕時計で8万〜20万円という価格を付け、自社サイトを中心に売り出す。勝算もある。
もともと仲田社長は、大手流通で販促を担当。奇抜な店舗デザインを仕掛けて業績を大きく伸ばし、その成功体験をもとにグレイス企画を92年に設立した。現在は、店舗デザイン、Webサイト制作を中心とした販売支援から店舗やスクールの運営、不動産業まで幅広く手がけるが「遊びから始まったものが多い。自分が楽しめないと成功しない」という。
そして、どの業種でも「どうしたら人をひき付けられるか」を最優先で考えてきた。その経験からMac nakataにも手応えを感じる。最近は、街を出歩く時に必ず、自分で作った腕時計やバッグを身に付ける。そうすると何人もの見ず知らずの人から、「どこで売っているのか」「何というブランドか」などと声をかけられる。飲み会や趣味サークルの集まりでも当然、話題を大きく喚起する。
「工業品だろうが、職人手作り品だろうが、実用性一辺倒だったり、モノとしての存在感を抑えたものばかり。それでは飽き足らなくなってきた人が多い。例えば腕時計で実用性やクールさを突き詰めると、何も身に付けずケータイで十分となる。そこに今の消費不況の一因があると思う。もっと馬鹿げた非日常なモノがあってよい。ニーズはある」
金属アートとのコラボも
Mac nakataは、さらに“アート”の領域にも踏み込み始めた。群馬県在住の金属彫刻家、茂木康一氏とのコラボレーションである。
茂木氏は、巨大オブジェから身の回りの小物まで様々なものを金属の塊から彫り出す。それらは金属の質感を残しつつも、どこか柔らかい。仲田社長が作るMac nakataのアイテムも茂木氏の作品に触発されている部分があり、「革と金属を融合させて、面白いものを創り出そう」と意気投合した。
コラボアイテム専用で「gragr a」というブランド名を用意した。茂木氏が制作したスタンドにMac nakataのリメイク腕時計をしつらえた置き時計や、至るところに金属オブジェをあしらい、流木と金属を絡み合わせた展示台をセットにした“アートバッグ”(写真③)も制作中だ。
写真③/Mac nakataと茂木氏のコラボレーションブランド「gragra」。
そのフラッグシップとして制作中のアートバッグ
どこまで本気なのかといぶかしむかもしれないが、「アートも時計やバッグと組み合わせると間口が一気に広がり、Web検索で多くの人の目にとまる」と仲田社長。茂木氏も「消費動向は循環する。今の時代、多くの人は潜在的にバロック時代のように過剰なものを求めている」と話す。至って真面目だ。
企業も個人も縮み指向が強まる中、Mac nakataが目指す「お馬鹿で非日常」というコンセプトには、消費不況を打破する大きなヒントが隠されているかもしれない。
△写真
茂木氏が制作したステンレス製バッグ(左)と、このバッグに触発された仲田社長が初めて作成した革製バッグ。

Mac nakataブランドを展開する仲田正道社長(左)とコラボレーターの金属彫刻家・茂木康一氏。
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