2008.11.10 (シャニム25号掲載)
強い防犯意識が安全確保の第一歩、ハードとソフトの両面対策が不可欠~Part1
家庭&オフィスのセキュリティ
強い防犯意識が安全確保の第一歩
ハードとソフトの両面対策が不可欠
窃盗や強盗、通り魔、振り込め詐欺など犯罪が多様化している。日本の安全神話はもはや過去の話だ。防犯対策の重要性が強く意識されるようになってきた。そこで、今回は家庭とオフィスのセキュリティに焦点を当てた。
PART1では「侵入犯罪の現状と対策」、PART2では「情報漏えいの現状と対策」をガイドしていくことにしよう。
監修●綜合警備保障(ALSOK)
PART1 侵入犯罪の現状と対策
PART2 情報漏えいの現状と対策
■PART1:侵入犯罪の現状と対策
防犯意識の高さが資産を守る!
図1は、過去10年間の住居やオフィスなどに対する侵入窃盗犯罪の傾向をグラフ化したものだ。侵入窃盗とは戸建やマンション、店舗、オフィスなどに忍び込み金品を盗むこと。
98年以降、増加の一途をたどっていた侵入窃盗は02年の約33万8000件をピークに減少しており、07年には約17万6000件と20万件を下回った。08年もこの傾向は変わらず、上期は前年同期比で約12%の減少となっている。
住宅とオフィスの個別統計でも、いずれも減少傾向だ。特にオフィス等の減少幅が大きく、07年はピーク時のほぼ半減となる約6万9000件が報告されている。
減少傾向の要因は、「侵入窃盗よりもリスクが低く儲けが大きい振り込め詐欺などに犯罪者の手段が移行している」(関係者)ことに加え、「民間警備会社が提供する防犯サービスの導入が広がってきた」(同前)ことが大きい。実際、泥棒が犯行を思いとどまった要因を調査したデータでは、約3割の犯人が警備システムの導入を理由として挙げている(図6)。
住宅に比べてオフィスの減少幅が大きい理由は、民間警備会社の防犯サービスを導入する事業所や店舗などが増えていることが関係しているようだ。
また、地域的な防犯活動が盛んになるなど、侵入窃盗が行ないにくい環境になってきていることも減少傾向に寄与していることは間違いない。
とはいえ、依然として年間18万件近い侵入窃盗の被害が報告されている。しかも、犯罪者の手口が多様化しているだけに、「うちは大丈夫」といった過信は禁物。防犯意識の高い住居やオフィスの被害が減少している反面、泥棒の意識は必然的に無防備な家庭や事務所などに向くことになる。
加えて、被害件数が減る一方で検挙件数も下がるばかり。97年には約70%だった検挙率が、07年は約55%にまで落ち込んでいる。万一、被害にあった場合でも、犯人が逮捕されれば資産が戻る可能性はある。だが、検挙率が下がっていることを考えるとそれも難しくなってきているわけだ。
こうしたことから、防犯意識を強く持ち、実際に備えることが最大のセキュリティ対策といえるのではないか。
侵入手段はガラス破りが最多
効果的な防犯対策を講じるには、犯罪の実際を知ることが重要。そこで侵入手段や留守の判断方法など、犯行手口の現状を見てみよう。
図2は07年の侵入窃盗について、戸建住宅の侵入手段をまとめたものだ。データから明らかなように、「ガラス破り」と「施錠せず」が圧倒的な手段となっている。一時期、マンションなどを中心に急増したピッキングやサムターン回しによる方法は、認知度が上がり対策が講じられたことで件数が激減。ガラス破りと施錠忘れを狙うという2つの手段で、ほぼ全体の8割を占めている。
ガラス破りで、具体的な侵入口として最も多く報告されている場所が窓ガラスだ。90%近くを占めているが、戸建の構造を考えれば当然といえよう。マンションなどの共同住宅も同様となっている。
施錠忘れによる侵入では、窓ガラスが約48%、玄関(表出入口)が約25%という状況。しっかりと鍵をかけるという最も基本的なことが、防犯対策としての第一歩ということだ。
オフィスや商店などの侵入手段についても全体的な傾向は、戸建住宅とほぼ同じだ。ガラス破りが一般オフィスで約47%、商店で約40%となっている。オフィスなどは戸締まりに対する意識が高いこともあってか、施錠忘れによる侵入はいずれも15%前後と住宅に比べて低い。
ガラス破りの具体的な侵入ルートは窓の比率が高いが、表出入り口も自動ドアなどのガラスを採用しているケースが多く、割合が高くなっている。従業員専用の通用口や非常口など一般住宅に比べて侵入ルートが多いことを考えると、確実な防犯対策が不可欠となりそうだ。
次に、泥棒はどのようにして住宅の留守を見抜くのか。図3は、都市防犯研究センターによるデータをグラフ化したもの。単純な方法だが、「インター ホンで呼ぶ」ことで在宅の有無を判断しているケースが多い。
実際、呼び鈴がなってドアを開けてみたら誰もいなかったという経験があるだろう。誰 かのいたずらだと即断せず、周囲に不審者がいないか確認することが大切といえる。![]()
総合的な防犯対策が重要
では、具体的な防犯対策にはどう取り組めばいいのか。侵入盗は前科者が半数近くを占める手口で、窃盗犯罪の中でも常習性と専門性が高い部類に属する。だ が、「防犯環境設計やCP部品の採用により効果的な予防が可能」という。
防犯環境設計とは、建物や街路といった物理的な環境で防犯を意識した設 計(ハード的手法)を取り入れることにより、犯罪を予防するという考え方。住民や警察、地方自治体など人的な防犯活動(ソフト的手法)と組み合わせて、総 合的な防犯環境の構築を目指すものだ(図4)。
70年代の欧米に端を発した防犯活動で、 CPTED(Crime Prevention through Environmental Design:環境設計による犯罪予防)と呼ばれ、近年は国内でも積極的に取り組まれるようになってきた。
具体的には、図4のように「対象物の 強化」「接近の制御」「自然監視性の確保」「領域性の確保」——この4つにより環境設計を行なう。
対象物の強化とは出入口や窓のロッ ク、扉やガラスなどの強化により住居やオフィスへの侵入を防ぐこと。前述したように、ガラス破りが侵入手段の4割以上を占めることを考えれば当然である。
この時に効果的な防犯ツールとして、CP(Crime Prevention)部品の導入が推奨される。CPは防犯性の高い建物部品で、侵入行為に対して5分以上の防止性能を発揮する製品のこと。5分という基 準は図5からも分かるように、泥棒が侵入をあきらめる時間だ。約70%が、5分以上の手間を要するなら侵入を断念するというだけに、侵入の可能性が高い ルートを点検して強化することが欠かせない。

「接 近の制御」は侵入障壁などを設けて泥棒が近づくのを難しくすること。見通しを妨げない程度の塀の設置や、警備システムの導入を証明するマークなども抑止力 につながる。
また、「自然監視性の確保」は見通しを確保することで、住民の目が届きやすくする方法。「領域性の確保」は住宅やその周囲をクリー ンに保つと共に、地域活動により不審者などが侵入しにくい環境を作ることだ。
図6にもあるように、泥棒は住民の視線や声かけを最も嫌う。ドアや 窓などの対象物を強化することに加え、地域ぐるみで防犯意識を高めることが重要といえる。
こうした基本的な防犯対策は住宅もオフィスも 変わらない。ただ、企業や店舗であれば「閉店後は高価な商品を金庫に保管する」や「商品や資金の流れを公共の場で不用意に話さないよう指導する」といった ことも必要となってくる。
なお、防犯対策の具体的な取り組みについて表1にまとめた。ぜひ、参考にしてほしい。
備えあれば憂い無し ——こと防犯に関しては、まさに的を射た表現といえる。改めて自宅やオフィスの防犯状況を見直してはいかがだろうか。
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