2008.05.20 (シャニム23号掲載)
中小企業関連「減税」徹底解説:Part1
念願だった事業承継税制の抜本改正が実現!
08年度中小企業関連「減税」徹底解説
08年度税制改正の目玉は、長年にわたり課題となっていた「事業承継税制」の抜本改革だ。また、投資関連減税も延長や拡充措置が講じられており、増税基調の中にあって前向きに経営努力を続ける中小企業には追い風となる改正となった。PART1では「事業承継税制」を、そしてPART2では「投資関連減税」の概要とポイントを解説しよう。なお、本稿は法案ベースの解説であり、最終決定は通達や省令などを確認すると共に、具体策については税理士に相談してほしい。
PART1:「事業承継」の概要とポイント
事業承継税制の抜本改正
中小企業で世代交代が進まない最大の要因であった相続税負担の課題が、解決されそうだ。08年度税制改正において、事業継続円滑化法(仮称:以下、円滑化法)に基づく事業承継税制の抜本改正案が提示されたのである。
国会審議を経て、円滑化法が施行される予定時期は08年10月。これを待った上で、新しい事業承継税制は09年度の税制改正で創設されるが、対象となる相続は同法の施行日までさかのぼって適用される予定だ。
こうした背景から詳細要件など未確定事項も多いが、現状で明らかになっていることから新税制の概要とポイントを見ていこう。
相続株式の80%を納税猶予
改正概要は図1に示した通り。自社株式を相続した場合、「評価額の80%が納税猶予」となる。しかも、一定の要件を満たすことで「最終的には納税が免除される」という措置が講じられるのだ。現行税制が「相続した自社株式評価額の10%減額」であることを考えると、大幅な拡充といえる。

現行制度で規定されている「発行済株式総額20億円未満の会社」という対象要件が緩和。新税制では、中小企業基本法で規定される中小企業が対象(*1)となることから、多くの企業が利用できそうだ。
「発行済株式総数の3分の2、または評価額10億円までの部分でいずれか低い額」という現行制度の規定も緩和される。軽減対象となる相続株式の限度額は撤廃され、「発行済議決権株式総数(*2)の3分の2以下」という限度のみとなった。この規定が残されたのは、「議決権の3分の2を保持していれば会社の安定した経営が可能である」(中小企業庁)との判断が背景にある。
中小企業庁の判断根拠に見られるように、新事業承継税制は「課税の公平性を維持した上での、中小企業の安定経営と地域経済活性化」が大きなポイントとなっている。これを念頭に適用要件の詳細を見てみたい。
適用には、大きく「人的要件」と「時間的要件」の2つを満たすことが必要となる(図2/図3)。

図3-(*1)最終的な詳細要件は省令などを確認のこと
まず、人的要件は「被相続人」と「相続人」の関係のこと。被相続人の要件は、「会社の代表であったこと」「被相続人と同族関係者で発行済株式総数の50%以上を保有し、同族内で筆頭株主であること」の2項目を満たす必要がある。
前者の要件では過去の一時点で社長職についていれば、相続時は会長や相談役であっても構わない。後者の要件は安定経営の視点から、まとまった自社株が後継者へと相続されることを狙いとして規定されたものだ。
一方、相続人(後継者)側の要件については、「会社の代表者であること」「相続人と同族関係者で発行済株式総数の50%以上を保有し、同族内で筆頭株主となること」と規定。要は被相続人と同等の立場を継承することが要求されている。
新税制は被相続人と相続人の関係が「1対1」の場合のみに適用されるもの。例えば、2人の兄弟に相続させるケースで、新税制を適用できるのは前述の要件を満たす1人だけ。もう1人が継承した自社株に対しては通常の相続税が課される。株式の分散を防ぎ、安定した経営を促したいという改正の狙いがあるからだ。
(*1)製造業その他:資本金3億円以下、または従業員数300人以下/卸売業:同1億円以下、または同100人以下/小売業:同5000万円以下、または同50人以下/サービス業:同5000万円以下、または同100人以下
(*2)議決権株式とは、取締役会の決議で議決権を行使できる権利が付された株式のこと
自社株の保有継続で納税免除に
以上の要件を満たした上で、さらに規定されるのが「時間的要件」。まずは、一定の要件を満たして事業を5年間継続することが不可欠となる。
一定の要件とは、「代表者であること」「8割の雇用維持」「相続株式の継続保有」の3つだ。人的要件で相続人が代表者であることと規定されていたが、5年間は代表者として経営に携わることが必要である。
さらに、従業員の8割以上の雇用維持が義務づけられる。これは、優遇税制の措置を講じる代わりとして、地域経済に対する責任を負ってもらうことが狙い。中小企業庁も「地域経済活性化に向けた新税制の肝」としている。
相続株式の継続保有も絶対条件であり、5年間の間に1株でも売却した場合には納税猶予は即刻解除。猶予されていた相続税を納めなければならなくなる。
M&Aなど組織改編に伴う株式交換などについては、株式を売却しない限りは認められる。「事業を継続していく上での














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