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2010.02.28 (シャニム30号掲載)

10年度中小企業関連減税徹底解説

 減 価償却資産特例で「複合機」を入れ替え!

10 年度中小企業関連
「減税」徹底解説

増税基調を背景に、10年度税 制は中小企業にとって大きな目玉減税のない小幅な改正に留まりそうだ。とはいえ、投資関連の減税制度で延長や拡充措置が講じられており、厳しい経営環境下 で前向きに努力する企業はメリットを享受できるだろう。なお、本稿は税制改正大綱に基づく法案ベースの解説であり、最終決定や詳細は通達や省令などを確認 すると共に、具体策は税理士などに相談してほしい。

 09年3月末日までの時限措置とされていた中小企業対象の投資関連減税のう ち、10年度改正で延長が講じられた減税策は①中小企業投資促進税制、②少額減価償却資産の特例、③交際費の損金算入特例、④研究開発促進税制──この4 つだ。

 これに加えて、減税につながる措置として拡充措置が講じられたものには⑤中小企業等基盤強化税制、⑥小規模企業共済制度、⑦中小 企業倒産防止共済制度──この3つ。さらに、二重控除対策として講じられた⑧特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限措置(オーナー課税)が廃止される 方向である。以下、この8項目について、詳しく見ていこう。

少額資産や交際費の特例が延長

  まず、①中小企業投資促進税制は設備投資により中小企業の競争力強化を目的としたものだ。大手に比べて労働生産性で2倍の格差があるとされる中小企業。減 税措置により投資を促進し資本装備率(*1)を高めるこ とで、これを是正したい意向がある。

 10年度改正では、この考えに基づき引き続き2年間の延長措置が講じられる。4度目の延長だけに利 用経験のある中小企業も増えており、「増産のための能力拡充」や「高性能な設備への更新」といった目的で利用されているという(*2)

 

 図1) 「少額減価償却資産の特例」の概要

「少額減価償却資産の特例」の概要

 概要や適用要件などは現行制度と同じだ。税法上の中小企業 (*3)や青色申告書を提出する個人事業者なら、「設備投資に対して7%の税額控除、あるいは30%の特別償却のいずれかを選択適用」できる。対象となる 資産/設備や価額要件などの概略は本稿末の表を参照してほしい。

 ②少額減価償却資産の特例も2年間延長される。この減税制度は、経理担 当者の少ない中小企業や個人事業者には負担が大きい償却資産の管理の手間などを軽減することや、パソコンなど少額資産の取得促進により事業効率を向上させ ることを目的としている。

 内容は現行通り。税法上の中小企業や青色申告を行なう個人事業者などは、「30万円未満の減価償却資産を購入 した場合、累計300万円を限度に全額を即時償却できる」制度だ。本則では即時償却可能な資産は10万円未満なだけに、使い勝手のいい減税措置といえる。 パソコンだけでなく、カラー複合機やビジネスプロジェクターといったデジタルOA機器も十分に即時償却できるだろう。

 新品が要件とされ ていないため中古品にも活用可能だ。ただし、適用年度内に事業活動に利用することが必要である。

 取引先や営業先との付き合いは、スムー ズな事業活動を行なう上では欠かせない。この意味で、接待交際費は投資と同じだろう。10年度税制改正では、③交際費の損金算入の特例が2年間の延長とな る見通しだ。

 本則として、法人が支出した交際費は損金として処理できないが、税法上の中小企業に限り特例として「定額控除限度額の 600万円までは、その90%を損金に算入できる」と認められている。つまり、対象企業なら最大で540万円までは交際費支出を損金として計上することが できる。

 より効果的に節税するために抑えておきたいポイントが、06年度改正で明確化された会議費を交際費の隣接費用として区分するこ と。「1人当たり5000円以下の飲食代は会議費として損金算入を認める(全法人が対象)」と規定されており、税法上の中小企業は交際費と会議費をしっか りと分けることで別々に損金算入可能となるからだ。

 なお、交際費の損金算入特例は法人税に関係したもので、青色申告書を提出する個人事 業者などは事業に関わる交際費を基本的に経費として処理できる。


積極的な研究開発に追い風


 企業の試験研究費に対する優遇措置であ る④研究開発促進税制も、基本的には現行制度のまま2年間の延長措置が講じられる。

 同税制の概要は図2の通り。恒久措置の「総額型」に 時限措置である上乗せ部分を加えた合計額を税額控除できる。08年度改正で上乗せ部分が中小企業向けの特例として拡充されており、10年度改正ではこの部 分が延長となる。

 上乗せ部分では「増加型」と「高水準型」を選択適用。つまり、「総額型+増加型」、「総額型+高水準型」のいずれかを 法人税額から控除可能だ。

 総額型は年間の試験研究費の総額に12%(*4)をかけて算 出。これに、増加型なら前3事業年度の平均試験研究費をベースとして当該事業年度に増加した研究費に5%を乗じた金額を、高水準型なら売上高に占める試験 研究費の比率で10%を超える分について税額控除割合を乗じた金額を加算して控除額を計算する。

 いずれを選ぶかは税理士に相談してほし いが、「特に試験研究費が必要な創業間もないベンチャー企業などを支援することが主な目的」(中小企業庁)というように、研究開発に対する支出が売上高で 大きなウェートを占める場合には高水準型の方が有利という。

 また、総額型と上乗せ部分とも控除限度額が決まっており総額型は「法人税額 ×30%」、上乗せ部分は「法人税額×10%」の範囲内となる。上限設定は別枠のため、合計で法人税額の40%まで税額控除が可能だ。

  なお、総額型の控除限度は10年度分までの時限措置で、11年度分以降は未定という(*5)。控除限度 額を超過した部分については、翌年度まで繰り越すことが可能となる(*6)

  延長される投資関連減税策がある一方で、廃止される制度がサーバーやファイアウォールなど情報セキュリティ関連の強化に対する投資減税だった「情報基盤強 化税制」だ。

図2) 「研究開発促進税制」の概要

「研究開発促進税制」の概要

 この廃止を受けて講じられる措置が、⑤中小企業等基盤強化税 制の拡充である。対象資産として、従来の財務省令で規定されていた機械/装置、器具/備品に、情報基盤強化税制で支援されていた対象資産(*7)を追加する と共に、サーバーを有効利用するためのソフトウエアが加わる。

 前述した中小企業投資促進税制では、情報セキュリティ関連のソフトウエア などはカバーされない。これまで情報基盤強化税制で処理してきたIT設備投資は中小企業等基盤強化税制で対応することになる。ただし、法案ベースであり最 終決定や通達などを確認してほしい。

 投資関連減税については、「人材投資促進税制」や「エネルギー需給構造改革推進投資促進税制(エネ 革税制)」など、前年度改正からの継続制度も含めて表にまとめた。エネ革税制に関しては「LED電球」ガイドでも触れている。

共済掛金 の税額控除幅が拡大

 小規模事業者の廃業・引退時の生活資金や事業再建資金を確保することを目的と した⑥小規模企業共済制度が拡充される。

 この共済制度は、いわば小規模企業や個人事業主の退職金制度ともいわれており、常時雇用する従 業員が20人以下(商業やサービス業は同5人以下)の個人事業主や会社役員などが加入できる。掛金は月額1000円?7000円までの範囲で自由に設定で き、全額所得控除が可能。共済金は「一括」「分割」「一括と分割の併用」で受け取れるため、税法上も退職所得や公的年金等の雑所得扱いとして処理できるな ど利点が多い制度だ。

 10年度改正では、加入対象者を拡大。個人事業主に加えて配偶者や後継者などの共同経営者も同共済に加入でき、こ の拡充分も税額控除の対象となる。

 ⑦中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)とは、取引先企業が倒産した影響により中小企業が 連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度。契約者が払う掛金を原資として、取引先が倒産した場合には積み立て掛金総額の10倍を上限に無利子等で貸し 付ける。掛金は全額を損金に算入することが可能だ。

 10年度改正では、貸付上限を現行の3200万円から8000万円に、積み立て掛金 の上限を同320万円から800万円に、月額掛金の上限を同8万円から20万円に引き上げる。

図3) 「中小企業倒産防止共済制度」のスキームと改正概要

「中小企業倒産防止共済制度」のスキームと改正概要

 上限アップにより、損金に算入可能な金額が増えることにな る。結果として、減税につながるというわけだ。
 「二重控除」問題(*8)の対策とし て06年度改正で創設された⑧オーナー課税は、10年度改正で廃止されそうである。同税制は、「実質1人会社(*9)のオーナー 社長の報酬については、給与所得控除分を法人段階では損金不算入とする」というもの。今改正では廃止となるが、11年度改正で同問題を解消するための抜本 的な措置を講じるとのこと。

 これまで同規制の対象となっていた企業は、10年度に限り減税となりそうだ。
 依然として厳しい経 済環境が続いているが、小幅ながらも減税措置が講じられている10年度税制をうまく活用して効果的な節税に取り組んでほしい。


(*1)資本ストック(有形固定資産)を労働投入量(従業員数)で割ったもの。数値が大きいほど、機械化が進ん でいる
(*2)中小企業庁実施の09年度「中小企業税制に関するアンケート調査」による
(*3)資本金1億円以下、大企業の子会社は対象 外
(*4)中小企業と産学官連携のみ。それ以外の法人は8?10%
(*5)本則は「法人税額×20%まで」
(*6)10年度の超 過分を11年度に繰り越した場合、繰越控除の適用を受けられる上限は「法人税額×30%」
(*7)サーバー用OS/OSがインストールされたサー バー/データベース管理ソフトやそれを利用するためのソフト/ファイアウォールなど
(*8)例えば、個人事業者が法人化してオーナー社長になるこ とで、その報酬が法人段階で損金算入、さらに個人段階では給与所得控除が適用されるという経費の二重控除が生じること
(*9)同族関係者が株式の 90%超を保有しており、その関係者が役員の過半数を占める会社。ただし、「課税所得とオーナー社長報酬の合計額が800万円以下」、または「所得 3000万円以下でオーナー社長報酬の占める比率が2分の1以下」は適用除外

–中小企 業の法人税率引き下げが検討項目に–

 10年度改正で検討項 目として挙げられた税制が、中小企業等の法人税率だ。現在、特例として「軽減税率の時限的引き下げ」の措置が講じられており、税法上の中小企業は売り上げ から経費などを引いた年間の課税所得800万円を超える部分には30%、同800万円以下の部分については18%の税率が課されている(10年度までの時 限措置)。

 法人税率は一律30%が本則となっているが、税法上の中小法人を対象に課税所得800万円以下については22%課税という軽 減措置が適用されてきた。

 これが、景気悪化の影響を受けている中小企業を支援する狙いから、さらに09年度改正で18%まで引き下げら れたのは周知の通りだ。

 民主党への政権交代を受け、同党のマニフェストでは「中小企業向けの法人税率を18%から11%に引き下げる」 と謳われている。これに対し、「課税ベースの見直しによる財源確保などと合わせ、その早急な実施に向けて検討する」としている。

 実現す れば大きな減税策となるだけに、その動向には注目しておきたい。

表1) 10年度税制において利用可能な主な投資関連減税制度

(1)10年度税制において利用可能な主な投資関連減税制度(2)10年度税制において利用可能な主な投資関連減税制度(3)10年度税制において利用可能な主な投資関連減税制度

 

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