2008.05.20 (シャニム23号掲載)
「構図・ピント・露出」を完全マスター/デジタル一眼レフ 達人への道:Part3
「構図・ピント・露出」を完全マスター
デジタル一眼レ フ「達人」への道

PART3 露出
「開 けたら速く、絞れば遅く」が原則
構図は決まった、ピントもバッチリと来たら、仕上げは「露出」だ。写真上達に露出の知識習得は避 けられないが、奥が深いだけに初級ユーザーにとってはなかなか難しい。
とはいえ、原理は単純そのもの。基本を押さえ、カメラの機能を活用しつつ 露出を理解していくことにしよう。
そもそも露出とは、「被写体を画像として再現するためにイメージセンサーに光を当てる」こと。被写体の明暗を 最適に再現できる光量が当てられた状態を適正露出という。また、光量が多すぎて写真が明るくなり過ぎた状態を露出オーバー、光量が不足して暗い状態を露出 アンダーと呼ぶのである。
絞り×シャッタースピード
露出は、「絞り(F値)」と「シャッ タースピード」——この2つの要素で決まる。絞りはレンズから入ってくる光が通る窓の大きさを調整し、シャッタースピードはイメージセンサーに光が当たる 時間をコントロールする役割を担う。
この2要素は相関関係にあり露出を考える場合、常にその関係を考えることが欠かせない。一方の光量 が増えれば、他方の光量を減らさなければ適正な光量を得られないからだ。
よく例えとして、引き合いに出されるのが水道(図1)。蛇口が絞りで、 シャッタースピードが水を流す時間に相当し、水槽がいっぱいになった状態が適正露出となる。同じ水量をためる場合、蛇口を全開にすれば水を流す時間は短 く、蛇口を細めれば流す時間は長くなる。また、水を流し過ぎると水槽からあふれ(露出オーバー)、流す時間が短いと水槽はいっぱいにならない(露出アン ダー)。
■図1) 水道に例えたシャッ タースピードと絞りの関係

実際の数値を使って少し具体的に見てみよう。絞りとシャッタースピードの関係を表したのが表1である。
絞り(F値)5.6、シャッタースピード 60分の1で適正露出が得られる状況で、F値を4に変えるとどうなるか。これは絞りの窓が開いて光量が増えたことを意味し、同じ適正露出を得るにはシャッ タースピードを速くして増量分だけ光を減らしてやることが必要。この場合、125分の1にシャッタースピードを速めてやればいいわけだ。
では、F値を4に変えたにも関わらず、シャッタースピードを60分の1に固定するとどうなるか。適正露出に対して光量が増えたままなので、露出オーバーと いうことになる。
絞りとシャッタースピードの関係は、「開けたら速く、絞れば遅く」と覚えておくといいだろう。
背 景をボカすには“開ける”
さらに、ワンステップ上を目指すために知っておきたいポイントが、絞りとシャッタースピードの 設定次第で写真の表現を変えられること。表1の例でいうと、「500分の1、2」も「8分の1、16」も露出は同じだが、写真の雰囲気は違ったものにな る。
■表1) 「シャッタースピード」と 「絞り」の関係

これは、絞りが被 写界深度(ピントの合う範囲)に、シャッタースピードの変化が流動感に影響を与えるからだ。詳しく見ていこう。
まず、絞りの確認だ。前 述したように、絞りは光が通る窓のことでレンズ内の「絞り羽」が動くことで大きさを調整。サイズの変化はF値として数字で表され、数値が大きくなるほど窓 は狭くなり、これを「絞りを絞る」という。逆に、F値が小さくなると窓は広がる。これを「絞りを開ける」といい、最も絞りが開いた状態を「開放」と呼ぶ。
こうした絞りの変化が、ピントの合う範囲を左右するのだ。F値が大きくなる(絞りを絞る)とピントの合う範囲は広くなり、写真は全体的に鮮明でシャープな 印象になる。また、F値が小さくなる(絞りを開ける)とピントの合う範囲は狭くなり、前後がボケてピントの合った主要被写体が浮き上がった柔らかな写真と なる。「風景写真は絞りを絞って、ポートレートは絞りを開けて撮るといい」といわれるのは、このような理由からだ。
シャッタース ピードが流動感を左右することについては、容易にイメージできるだろう。シャッタースピードが高速になれば被写体の動きは瞬間的になり、低速になるほど被 写体の流動感が出てくるわけだ。
こうした絞りとシャッタースピードの特長を踏まえた上で、適正露出を決めていくことが露出コントロールのコツと いえる。
シーンモードで露出感覚を
だが、初級ユーザーにとっては慣れないと露出コントロー ルは難しいもの。そこで、デジタル一眼に備えられた「撮影モード」(*1)を活用したい。
撮影モードとはプログラムモードのこと。メニューを選 ぶだけで、カメラ側で露出などを自動設定してくれる機能だ。「シーンモード」と「露出モード」があり、初級者はシーンモードから始めたい。エントリークラ スの機種には、必ず搭載されているはずだ。
シーンモードには、「スポーツ」「ポートレート」「夜景」など様々なメニューが用意されてお り、撮影シーンに合わせて選択するだけ。例えば、ポートレートなら背景がボケて人物が引き立った写真が撮れるが、これはカメラ側が絞りを開けて適正露出に 設定しているためである。
このシーンモードを利用する際、カメラが設定した露出を意識してみることだ。どんな露出設定をすれば、どのようなイ メージになるかが理解できる。
そして、シーンモードに慣れてきたら「絞り優先」(*2)や「シャッタースピード優先」(*3)といった メニューを揃えた露出モードを使ってみるといい。カメラ任せながら、かなり自由に露出コントロールを楽しめる。
段階を踏んでステップアップして いくことが、露出を覚える近道。ここで解説したこと意識するだけでも写真の表現力がアップすることは間違いないはずだ。
(*1)撮影モード は、本誌19号で詳述。シャニムHPで一読してほしい
(*2)撮影者が絞りを設定すると、カメラ側が適正露出を判断してシャッタースピードを自動 設定するモード
(*3)撮影者がシャッタースピードを設定すると、カメラ側が適正露出を判断して絞りを自動設定するモード
△シャッタースピードをコントロール、スローシャッターによる流し撮りではこうした表現も可能となる
被写界深度 とは
ピントには被写体がシャープに見える一定の範囲があり、これを被写界深度(ピントの範 囲)という。また、ピントの合う範囲が広いことを「被写界深度が深い」、狭いことを「被写界深度が浅い」という。
被写界深度が深いと手前から奥 までピントの合ったシャープな写真となり、浅いとピンポイントで焦点の合った柔らかな写真となる。
被写界深度を決定する要素には、本文で述べた 「絞り」以外に「焦点距離」や「撮影距離」がある。
焦点距離とは、簡単にいうとレンズの「○○mm」に相当するもの。この距離が短いと被写界深 度は深く、長いと浅くなる。つまり、広角レンズはピントの合う範囲は広く、望遠レンズは狭くなるということだ。
一方、撮影距離が近いと被写界深 度は浅くなり、遠くなるほど深くなるもの。この3つの組み合わせで、最終的な被写界深度が決まるのだ。このため、望遠レンズで近い被写体を、絞りを開けて 撮影すると、前後がかなりボケて主要被写体が浮き上がった写真になるというわけである。

左)絞りを絞って、広角、さらにできるだけ被写体から離れて撮影。被写界深度が深くなり、画面全体に ピントのあった写真(パンフォーカス)となる
右)絞りを開き、望遠、被写体に近づいて撮影。被写界深度が浅くなり、背景がボケて主要被写 体が浮き上がる。














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