2008.05.20 (シャニム23号掲載)
子どもがネットの危険を疑似体験―岩手県のリスク教育:Page2
ネットリスク対策実践講座
子どもがネットの危険を疑似体験
注目集める岩手県のリスク教育
授業参観に「情報サイト8」活用
親子でネットリスクを 体験
陸前高田市立気仙小学校

岩手県内では、「情報サイト8」を活用した事例が増えつつあ るが、注目を集めるのはネットの危うさを親子で疑似体験する取り組みを行なった陸前高田市立気仙小学校だ。
07年の12月中旬。授業参観に集 まった親や子どもたちはネット検索中に突然現われた有害サイト、掲示板を楽しんでいる最中に見せられたネットの裏側に一喜一憂。子どもたちが驚いたことは いうまでもなく、親からも「こういう仕組みだとは知らなかった」という驚きの声が上がった。
親を参加させた意図について、同校の柳田秀雄教頭は 「ネットリスクの現状がどういうものか、大人も知っているようで実は分かっていない。子どもと一緒に体験することで、問題意識を持ってもらいたかった」と 語る。
「帰って子どもと話し合う」という親もいたということで、柳田教頭の狙いは当たったようだ。
気仙小学校が、情報サイト8の活 用を決めた理由は①リアル性、②多彩なコンテンツ、③応用性——この3つだという。
まず、①リアル性については本文でも述べた通り。実際のサイ トで被害に合わずに、ネットの怖さを体験できるメリットを第一に挙げる。「体験型ソフトは他にもあるが、多くはシナリオが決まっていたり紙芝居的なもの。 子どもの興味を引くには、アニメーション的な教材がいいのだろうが、効果を考えるとこれ以外に選択の余地はなかった」と柳田教頭。特に、管理者側の事情を 見せることができるリアル性を評価する。
初めて体験が生む教育効果
学年に合ったリスク体験が可能となることから、②多彩なコンテンツも利用価値が高い。
ネットオークションなどは中学生以上向けだが、ネットの仕 組みを教えるツールとして掲示板、調べ学習でネット検索をしている時に出くわす可能性がある有害サイトやフィッシングサイトなどは小学生にも役立つとい う。
ただ、一方では「知らなくていいことを教えて寝た子を起こしていいのか」との意見もある。だが、柳田教頭は次のように語る。「掲示板や チャットをやったことがないという子どもは多い。初めてやれば楽しいし、確かにはまってしまう子どももいるかもしれない。しかし、知らないからこそ体験に よる驚きやインパクトが大きく、リスク意識を高めることができる。隠しておくよりも、はるかに効果的ではないか」。
③応用性とは、情報サイト8 がネットの怖さやモラル学習以外のツールとしても活用できる可能性があること。例えば、「情報教育の体系的教材として、あるいは普通授業でも使えるので は」(柳田教頭)という。
情報教育でもルールやモラルの定着には、国語や算数のように継続性が欠かせない。だが、総合的な学習の時間で断片的に 取り組まれているに過ぎないのが現状だ。この理由の1つには、情報教育には体系的な教材がなかったことがある。外部ネットワークの世界をLAN内で実現し た情報サイト8は体系的教材として大いに期待できるのだという。
また、様々なコンテンツを校内システムとして活用することで、例えば普通教科の 確認テストなど、利用の幅は使い方次第とも。「情報教育用の教材ソフトとしてはもちろん、それ以外にも便利な利用法を見つけていきたい」と柳田教頭。今後 の事例に注目していきたい。
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