2009.05.20 (シャニム27号掲載)
家電・AVの新世界を切り開く! 高速無線データ通信「WiMAX」
NEWTECHNOLOGY
家電・AVの新世界を切り開く!
高速無線データ通信「WiMAX」
「WiMAX」というキーワードをニュースなどで目にした向きも少なくないだろう。新たな高速無線データ通信として注目される技術で、日本では7月1日 から、UQコミュニケーションズが有料サービスを開始する。 同社はKDDIやインテル、JR東日本などが出資して設立した新会社だ。この2月にモニター 向け無料試験サービス(23区内)を開始し、7月から本格的な事業展開を始める。
WiMAXは通信や家電業界では次世代の無線データ通 信として注目されている。だが、大半の一般ユーザーは「また新しい携帯電話会社がスタートするのか」という程度の認識ではないだろうか。
WiMAXはパソコンの通信用途だけにとどまらず、そう遠くない将来、AV機器やカーナビなどの利便性を大きく飛躍させる可能性を秘めている。以下、その 詳細を見てみよう。
最大 40Mbpsの高速・大容量
WiMAXのメリットとしては「高速性」「常時接続」「モビリティ」 「国際標準」、そして「契約の簡単さ」の5つがあげられる。
まず「高速性」はユーザーの使い勝手を高めるメリットだ。WiMAXの通信速度は下 りが最大40Mbps(上り最大10Mbps)。携帯電話は現状で下り最大7.2Mbps(同1.4Mbps)なので、5倍以上もの高速通信が可能であ る。
この高速性が何を意味するかというと、例えばインターネット・フルハイビジョン番組の受信も可能なのである。アクトビラ ビデオ・ フルの場合、想定回線速度は12Mbps程度。WiMAXで十分に対応できる(ただし、初期段階では基地局の不足などから十分な速度を発揮できない可能性 がある。そのためAV機器などへの活用は、現状では「遠くない将来」という前置きがついている)。
また、「常時接続」もユーザーの使い 勝手を高めるメリット。携帯電話でデータ通信を行なった際、途中で回線が切れて再度、ダイヤルアップ(電話回線などを通じてインターネットに接続するこ と)を行なった経験はないだろうか。WiMAXでは、この作業は不要だ。
WiMAXでも回線が途切れるケースはある。だが、すぐに次の 電波をさがして自動接続するのだ。WiMAXにはもともとダイヤルアップという作業が存在せず、機器の立ち上げと同時に回線へ自動接続する。この特性も家 電向きといわれる理由の1つだ。ネットワークに不慣れな高齢者でも、まったく意識することなく回線接続が可能だからである。
さらには 「モビリティ(高速移動性)」も使い勝手を高めるメリットだ。WiMAXはハンドオーバー(接続する基地局の切り替え)可能であるため、時速120kmで の移動中でも通信できる。そしてUQコミュニケーションズは基地局整備を急ピッチで推進し、早期に「いつでもどこでも」を実現する計画だ。近い将来、カー ナビなどでその高速性を、存分に発揮できるわけである。
■図) WiMAXの展開構想
契約の待 ち時間“ゼロ”
一方で、ユーザーが入手しやすいというメリットもある。その1つが「国際標準」だ。これはコストの低さにつながり、ユーザーは大きな経済的負担なしに機器 等を入手できる可能性につながる。
WiMAXは03年1月にIEEE(米国電気電子学会)で承認された無線通信の標準規格であり、すでに世界 110カ国以上で普及する動きである。このため端末や部材、ソフトなどの開発でメーカーは世界のマーケットを見据えた展開が可能だ。端末1台あたりの供給 価格も、安価な設定が期待できるわけである。
しかも、WiMAXはもともとWi-Fi(Wireless Fidelity/無線LAN)から発展した技術であり、屋内向けのWi-Fiを屋外でも使えるようにしたもの。このためアンテナの共用化などWi-Fi の技術を応用できる部分が多く、これもコスト低減要素である。
Wi-Fiは今や大半のノートパソコンで標準搭載しているが、WiMAX も近い将来、同じ状況が予想される。実際、標準搭載したノートパソコンがこの夏、複数メーカーから発売される予定である。
さらには「契約の簡単 さ」も入手しやすさにつながるメリット。携帯電話などを契約する際、店舗カウンターで何十分も待たされたという経験は、誰にもあるだろう。
WiMAXではこの待ち時間がゼロだ。WiMAX搭載パソコンなどを購入した場合、自宅などで最初に回線につなげると、自動的に契約画面が現れる。そこで 必要な手続きを行なえば契約が終了するというシンプルさである。
山田会長も大注目!
こうした5つのユーザーメリットを持つWiMAXサービスが、この7月1日から本格的にスタートする。UQコミュニケーションズが発表している料金プラン は月4480円で使い放題というシンプルなもの。最大40Mbpsの高速無線通信としてはリーズナブルな設定といえよう。
7月の時点でまずは首 都圏・京阪神・名古屋で先行スタートし、順次エリアを拡大。10年度末には全国主要都市へ拡大し、12年度末までに全国エリア・人口カバー率93%を実現 する計画だ。
その用途は、サービス開始当初こそパソコンのネット接続がメインであろう。だが、基地局の拡充に伴いAV機器やカーナビ、 各種ビジネス用途へと発展する可能性が高い。
例えばインターネット・テレビと組み合わせれば、回線工事などを行なうことなく、場所を選ばずにイ ンターネットのフルハイビジョン番組を受信可能だ。
また、デジタルムービーと組み合わせれば、外出先で録画したフルハイビジョン映像を 自宅のテレビへ送ったり、子どもの運動会などを遠方の祖父母の家まで生中継することなどが可能だろう。
カーナビと組み合わせれば、いつでも最新 の地図情報を入手でき、その土地ならではの情報をリアルタイム受信することも不可能ではない。
WiMAXのこうした可能性を高く評価し ている業界人の一人が、ヤマダ電機の山田昇会長である。山田会長は2月18日付日経流通新聞でWiMAXについて「無線通信が可能なチップを組み込んだテ レビなどが出始めるだろう。(中略)有線のブロードバンド通信が無線に置き換わる」と述べている。この発言はWiMAXの高速性やモビリティ、常時接続な どを分析してのものだろう。
次世代の高速無線通信WiMAXは、これまでのデータ通信の枠を大きく超えそうだ。家電や各種のビジネス用 途をも巻き込んだ「真のモバイル・ブロードバンド時代」の幕を開けることになりそうである。
(エリア、料金等の詳細はUQコミュニケーションズ http://www.uqwimax.jp/
ま で)
ヤマダ電機のWiMAX戦略
独自の 通信サービスを開発中

ブロードバンドはADSL、光と進化 してきたが、WiMAXが拡充すれば、さらに一歩進んだ通信インフラが実現する。ワイヤレスで高速・大容量、しかも双方向。明らかに世界が変わるだろう。 例えばムービーに組み込んで今撮っている映像を親戚の家に送ったり、冷蔵庫に組み込んで庫内からなくなった食材を自動発注したりと。今ある家電製品が、 ネットワークでつながる世界が実現する。メーカーさんも商品開発で、WiMAXの付加価値を組み込むことが、新たな用途提案につながるだろう。
当社としても機器や回線の販売を積極化する。だが、それだけにとどまらず、ヤマダ電機ならではのコンテンツを組み入れたWiMAXサービスを開発中だ。 WiMAXは販売するだけでなく、自らがサービス供給事業に参入しやすいことも、大きな魅力と感じている。その内容は、いずれ発表できると思う。(談)
ヤマダ電機 山田昇会長
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