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2009.02.20 (シャニム26号掲載)

World Report「2009 International CES」 近未来のデジタル家電が集結/Part2

「CES2009」現地取材レポート

World Report「2009 International CES」
近未来のデジタル家電が集結
世界最大の家電見本市「CES」

開催地:米国ネバダ州ラスベガス
開催日:2009.1.8〜1.11

 

PART2|インターネットTVの攻防

パナソニック対ヤフー・インテル連合
2陣営の攻防が激化か!?

 CES 2009で大きく注目された技術の1つに、インターネット対応テレビがある。映画やスポーツなどのフルハイビジョン動画コンテンツを、インターネットを経由して、テレビで簡単に楽しめるサービスだ。

 日本ではアクトビラがフルハイビジョン動画配信を始めているが、米国でも同タイプのサービスの普及が一気に進みそうだ。しかも、複数陣営がデファクトスタンダードを巡り、凌ぎを削るという、日本とは異なる展開が予測される。

 その詳細の前に、まずはインターネット配信の基本的な流れを見てみよう(図)。日本を例にとると、アクトビラ社は図中央の「インターネット番組配信会社」にあたる。そして「NHKオンデマンド」や「TSUTAYA TV」などは、上部の「コンテンツ供給会社」になる。

図) インターネット動画配信サービスの概要

インターネット動画配信サービスの概要

 ユーザーは対応テレビをネット回線に接続するだけで、好きな番組を好きなときに見られる。アクトビラの場合、入会金や基本料金などは不要。番組ごとに設定された料金だけを支払うシステムである。

2陣営の攻防が本格化

 インターネット動画配信サービスでは、2つの競争が考えられる。1つはコンテンツ供給会社同士の競争であり、もう1つが米国で今後本格化するであろうインターネット番組配信会社同士の競争である。
 米国ではヤフー&インテル連合による「ウィジェットチャンネル」と、パナソニックの「ビエラキャスト」が、各々の優位性をアピールしている。

 ウィジェットチャンネルはヤフーとインテルが共同開発し、昨年8月に正式発表した技術。09年中に米国でサービスを開始する予定だ。
 ヤフーがチャンネルを運営し、コンテンツ供給会社にソフトウェア開発キットを提供。インテルはメーカーに対応機器向けCPU「メディアプロセッサーCE3100」を供給する。

 写真1のように、リモコンで画面下にコンテンツ供給各社のアイコンを表示させ、そこから1社を選ぶと、その番組一覧が表示される(写真2)。そこで見たい番組を選び再生するという流れである。

リモコンのボタン操作でアイコンを呼び出す。コンテンツ会社を選ぶと左側に番組一覧が表示される。

 

△写真
左:写真1/リモコンのボタン操作でアイコンを呼び出す。
右:写真2/コンテンツ会社を選ぶと左側に番組一覧が表示される。

 ウィジェットチャンネルの特徴は、参加するプレイヤーの多さだ。CESのデモコーナーでは、米3大ネットワークの1つ「CBS」や、映画配信サービス大手「CINEMANOW」などがコンテンツを供給していた。対応テレビも東芝、ソニー、サムスン、LG電子などがデモ機による試写を行ない、年内の発売を示唆していた。

 ウィジェットチャンネルについて、東芝では「パソコンのインターネットのように、多様なジャンルの企業が、原則自由に参加できるオープンさが魅力。ユーザーはコンテンツの中から、好みの番組を自由に選択することが可能」と話している。

焦点は「検索」の有無

 これに対して、パナソニックが展開するビエラキャストは、パナソニックがインターネット番組配信会社を運営し、対応テレビの発売も現状はパナソニックのみ。コンテンツ供給会社についても、基本的にはパナソニックと協業する企業である。

 今年のCESではアマゾンの映画配信サービス「アマゾン・ビデオ・オン・デマンド」への対応開始を発表し、話題を集めていた。同サービスでは4万タイトル以上の映画やテレビ番組を鑑賞することが可能だ。
 この他、「ユーチューブ」やグーグルの写真サービス「ピカサ・ウェブ・アルバム」、そして「ブルームバーグニュース」などが視聴できる。

 ビエラキャストも着実に参加企業を増やしている。だが、現状で名を連ねる企業数はウィジェットチャンネルの方が多く、より多様なコンテンツの配信やテレビの選択肢の広がりなどを、実現する可能性が高いといえるだろう。

 これについてパナソニックでは、「パソコンと異なりテレビの視聴者は、多くのコンテンツから検索したいとは考えていない。テレビの使命は見たいサービスにすぐにアクセスできること。これを実現するためには、動画や映画配信などでトップの企業を当社が厳選し、強固なパートナーシップのもと、最適な画質で配信する」と語っている。

 現状で、どちらの方式がユーザーの支持を得られるのかは未知数だ。だが、両陣営によるデファクトスタンダードを巡る攻防が、本格化することは間違いないだろう。


インターネットTVの本質

 ここで明らかな点は、インターネット動画配信サービスは、これまでのテレビ放送のように、テレビが共通チューナーを搭載することを、前提とはしていないことだ。これまでは地デジであれ、CSであれ、チューナーさえ搭載していれば、どこのメーカーのテレビでも同じ番組を見ることができた。

 しかし、インターネット配信は、パナソニックのテレビではウィジェットチャンネルを見られず、東芝やソニーのテレビではビエラキャストを見ることができない。公共の電波を使う放送とは大きく異なる点だ。

 配信規格の統一や、複数のインターネット配信に対応したテレビが発売されれば状況は変わるが、関係者の間では「現状では考えにくい」との声が支配的だ。理由の1つとして、メーカーも配信企業もインターネット対応を1つの差別化要素として大きく訴求したいからだという。

 実際、ウィジェットチャンネル陣営内でも「メーカーによって、ネットの対応状況に違いが現れるはず」との声が聞かれる。ある関係者は「ヤフーと各家電メーカーの契約の違いにより、同じウィジェットチャンネル対応テレビでも、メーカーによって見られる番組、見られない番組が出てくるはず」と予測する。

  「テレビのCPU性能は、パソコンほど高くない。そのためヤフーはテレビの性能に合わせた番組を配信するが、その際、どの番組をどのメーカーのテレビに配信するかは契約によって異なるはず。メーカーもその違いを差別化要素に使ってくるだろう」(同前)。

 ウィジェットチャンネルはサービスが始まっていないため、今後の展開には、まだ不明な点も多い。このため様々な予測が飛び交っているのが現状だ。当面はサービス開始を見守る以外にないだろう。
 さらには、現状でアクトビラがサービスを開始している日本の展開も興味深い。

 アクトビラはパナソニック、ソニー、東芝、シャープ、日立などが出資して設立した会社であり、米国とは状況が大きく異なる。基本的には一本化の方向にあるが、第2勢力が出てこない保証はどこにもない。インターネットを主戦場とする、今後の攻防が注目される。

 

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