ビジネスに役立つ情報サイト。 ヤマダ電機法人営業部と連動し、中小企業に役立つ経営情報やIT情報を発信します。

RSSfeed

2008.02.20 (シャニム22号掲載)

中小企業のための節税基礎講座|賢い節税対策の第1歩は 「固定資産の管理」と「税額控除」

中小企業のための節税基礎講座

賢い節税 対策の第1歩は
「固定資産の管理」と「税額控除」

日新税理士事務所所長 桐元久佳
ポータル税理士WEBサイト

 

固定 資産への投資から考える節税

 桐元税理士(以下K)「来月は、決算ですが、このままいけば1000万 位の経常利益を出せそうですね」
 田中社長(以下T)「となると税金はいくら位いるんですか?」

 K「法人税や消費税も考慮すると500万ほどです。と ころで来期は売り上げ増加しそうですか?」
 T「3%程度の売り上げ増加は見込んでいますが、原油上昇や昇給などを考えると利益率 は落ちそうです」

 K「と なると、今期は来期のために設備投資を先行させて、利益を調整した方がいいですね。30万円未満で何かほしいけど我慢されていた設備はないでしょうか?」
 T「そ ういわれると、会議用プロジェクターや営業マンのノートパソコン4台ほか…」

 K「それらの金額を合計すると180万円あります。300万円までなら全額を経費と して処理できますよ。ただし、平成20年3月31日までに購入してくださいね」
 T「なぜ3月31日までなのですか? 決算期は4 月末ですよ。」

 K「期 限が延長される可能性があるのですが、小額減価償却資産の一括損金計上といいまして、平成20年3月31日までに購入したもので年間300万円までを減価 償却資産として資産計上することなく、経費処理できるからです」
 T「なるほど。これで820万まで利益を圧縮できたので、あと 200万ほど圧縮して増収増益の決算としたいですね〜」

 K「そうですね。では残り200万でお金の支出と経費が一致する項目を探しましょう。前期と比較すると修繕費 がほとんどかかっていません。固定資産台帳をチェックしていきましょう」

 ということで始まった節税ネタ探し。どんなネタがあるのでしょ うか。まずは固定資産に、不要な資産や未利用のものがないか確認しましょう。除却することで、残存価額を除却損として計上できるからです。

  この方法の一番のメリットは、資金の支出がないこと。さらに、固定資産税の圧縮にもなります。毎年1月31日までに提出する「償却資産(固定資産)申告 書」に基づいて市町村役場が、固定資産税を決定しています。不必要な資産を持っているだけで、固定資産の課税標準額の1.4%が税金として課税されます。 無駄な資産は、どんどん除却していきましょう。

 ただし、税務調査のときに問題とならないよう、除却・廃棄の際は業者さんに「廃棄証明 書」を作成してもらってください。自社で廃棄する場合でも、日付入りの写真を作成して保存することをお勧めします。

 

今回の節税ポイント

節税のポイント

 T「保 有しているけれど実際には使用しておらず、除却・廃棄していないものは費用処理できないの?」
 K「有姿除却という手段があります。これは、固定資産の使用を廃止しており、通常の 方法では事業に使用することが不可能だと思われ、将来的にも再利用されることがないことが明らかな固定資産が対象です」

 T「具 体的にはどんなものが対象となるのですか?」
 K「例 えば、製造を中止した製品を作るために使用していた金型や、パソコンのソフトウェアで業務を廃止した場合や、新しいソフトウェアに移行させている場合など が考えられます。ただ、税務調査では問題になりますので、翌期には実際に処分されたほうがよいでしょう」

 T「ということ は、有姿除却した固定資産は、他の固定資産と区別して管理する必要がありますね」

 次に、使用中の固定資産を有効活用する ため、メンテナンス・修理費用を上手に支出して節税しましょう。
 固定資産の修理・修繕のための支出は、①「資本的支出」として固定資産の取得原 価にしなければならないものと、②「修繕費」として損金算入(経費処理)できるものと2種類に分けなければなりません。

 ①資本的 支出とは、その固定資産の使用可能期間を延長させたり、その固定資産の価値を増加させたりする支出のこと。固定資産に加えるたに、減価償却費として耐用年 数に応じが経費化がなされ、お金の出るタイミングと経費になるタイミングが大幅に変わる可能性があります。

 ②修繕費は、その固定資産の 原状を回復し、維持するために支出する費用のこと。支出と経費化のタイミングが同じため、節税という観点からは、できるだけ修繕費で処理する方がよいので す。

 

■図表1

  1)1回の支出が20万円未満のものは、すべて修繕費とする。

 2)3年以内の周期で行われるものは、すべて修繕費とする。

  3)資本的支出か修繕費であるか明らかでない場合は、
       ①60万円未満のものは、すべて修繕費
       ②前期末の取得 価額の10%以下の支出はすべて修繕費

 

 

 しかし、実務上は使用可能期間を延長させ るかどうか、固定資産の価値を増加させるかどうかの判定が難しく、恣意的な経理処理をさけるために図表1ような形式基準が設けられています。
 図 表2でチェックしてみてはいかがでしょう。

 

■図表2

修繕費チェック表

A:支出金額×30% or 前期末取得金額×10%  との少ない 金額
B:支出金額−A

 賢く節税をするためには、資本的支出となりそうな修繕費は、支出金額を20万円未満におさえる か、修繕を3年以内ごとに周期的に行うようにしましょう。そうすることで、資本的な支出を減らし、「修繕費」として損金に算入することができます。

 

  

「税 額控除」の活用テクニック

 K「なんとか除却損と修繕費を利用して100万ほど圧縮することに成功しましたね」
 T「工 場の奥にある工作機械ですが、老朽化が激しいので新しい機械を購入しようと思うんやけど、どう思います?」

 K「社長、減価償却資産として計上されるので、資金が 出ている割に節税効果は少ないです。ただ『中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除』や『リース税額控除』などの税額控除を受けられる 可能性がありますね」
 T「税額控除……、なんですか、それ?」

 税額控除を説明する前に、まずこれを覚 えてください。節税は効果の面から「一次的効果:税の先送り」と「永久効果:税の削減」の2種類に分けられるということです。

① 一次的効果:税金の先送り
 経費の前倒し計上や生命保険の活用で利益を先送りする方法。利益を先送りしているだけなので、将来は税金を負 担しなくてはならない。
例)家賃などの経費の前払い 計上、生命保険の活用等。

②永久効果:税の削減
 利益の先送りや経費の前倒し計上ではなく、節税効果が永久に発生 するもの。
例)売掛債権の貸倒損失の計上、固定資産 の除却損の計上、税額控除等。
 税額控除とは、一定の要件に該当する場合に、課税所得金額に税率を掛けて算出した所得税額から、一定の金額を控除 するというものです。

 一番馴染みがあるものは「住宅借入金等特別控除」でしょう。課税される所得税から、住宅ローンの一 部を控除(税金の削減)してくれます。税額控除の一番のメリットは、実質的に税金を削減し、しかも要件に該当するように経費の負担をするだけで、特別な支 出が不必要な点です。

 K「税 額控除を受けられるようにするため、社長が購入したい資産をリース契約してはいかがですか? リース税額控除の活用だけでなく、リース料の1年分を前払い することで節税もできます」
 T「そうだね。リースの方が付帯費用はかかるけれども、税額控除や経費化の問題を比較するとメリット があるようだしね」

 K「こ れで目標通りの利益に削減することができましたね。しかも税額控除を活用したので、納税額の圧縮も実現しました。なお、このリース税額控除は法人税額の 20%が限度ですが、1年間だけ繰り越すことができます」
 T「そうですか。あとは予定通り売り上げをあげるだけでなく、物品の購 入と修理を実施していきます」

 なお、税額控除は、リース税額控除以外にも、中小企業等投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場 合の特別償却又は税額控除)、人材投資促進税制(教育訓練費の税額控除)や情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除などがあります。制度 の詳細については、弊所のホームページをご覧ください。

関連記事がありません。

コメント

コメントはありません

コメント