2009.09.08 (シャニム28号掲載)
節税を実現する日々のちょっとしたアイデア
中小企業のための節税基礎講座
節税を実現する
日々のちょっとしたアイデア
日 新税理士事務所所長
税理士・行政書士・大阪工業大学非常勤講師(会計学)
桐元久佳
http://www.ns-1.biz/
100年に1度といわれる不景気・ 大不況です。自分たちの会社は自分たちの手で守るためにも、多くの会社で使えそうな節税の小ネタを3本ご用意しました。ちょっとした手間をかけるだけでで きる節税ネタを厳選したので、ぜひご活用ください。
節税ネタ
その1 慶弔見舞金
K税理士「経理担当のお嬢様が9月に結婚されるそうですね」
M社長「そうなんです。よい人を見つけたみたいで…。私もほっとしているのですが。 結婚祝い金を会社で支給しようと思うのですが、親族で役員に支給するのは税務上、問題ないでしょうか?」
従業員の結婚祝い金を支給した 場合や従業員の親族の葬儀に際して、「慶弔見舞金規定」に従って生花と香典を用意した場合は、福利厚生費となり、会社の経費(損金)となります。しかも、 受け取った従業員さんも給与になることはありません。
これが役員に対して支払われたものとなると、少し基準が厳しくなります。従業員と 比べて支給金額に著しく差がある場合、「役員賞与」とみなされる可能性があるからです。役員賞与は経費(損金)にはならず、個人の所得税の対象となりま す。
事前に世間並みの金額の社内規定を作っておき、それに基づいて支払うことが必要です。
役員への慶弔見舞金が福利厚生費と して経費(損金)とみなされるためには、
1)社内規定に基づいていること
2)支給額が世間並みであること
3)他の従業員に 対する慶弔見舞金と比べても、バランスがとれていること
上記3点がポイントとなります。
なお「バランスがとれていること」と は、「他の従業員さんと同じでなければならない」ということではありません。役員として常識内の金額なら問題ないということです。つまり、多くの企業の基 準と同じ程度であれば、問題ないということです。
ちなみに従業員の結婚祝い金の場合は3万円、役員の場合は5万円未満が妥当です。従業 員の親族の葬儀では香典が5万円、役員の場合は10万円未満で大丈夫だと思います。この場合も社内規定の「慶弔見舞金規定」に基づくことが大前提です。
なお、取引先の慶事の「祝い金」や葬儀の「香典」「供花」を出すと、同じ金額でも交際費になります。社内の場合は「福利厚生費」となり、社外の場合は「交 際費」となります。
節税ネタ
その2 広告宣伝費
K税理士 「社長、今度の決算は何とか黒字を維持できそうですね」
T社長「上半期の業績がよかったのが、主因やけど…。ただし現状の受注状況を考えると、 来期の決算はしんどいですわ」
K税理士「では、今期の決算対策で、できるだけ経費を前倒し計上して来期の決算に備えましょう」
ということで決算対策の検討を始めたのですが、どんな経費を前倒ししましょうか?
今期の決算は何とか黒字という会社にお勧めなのが、経 費を前払い計上することで、来期の経費を削減できるという節税策です。とはいえ、どんな経費でも可能なのかというと、家賃の場合は、継続適用が前提条件と なります。そこで、お勧めは「広告宣伝費」の計上です。
来期の売り上げを作るために、経費を今期に計上しながら、売り上げは来期に計上 される−−。まさに賢い節税の典型パターンです。
注意すべきポイントは、広告の掲載日です。例えば8月決算の会社であれば、8月末日ま でに広告が掲載されれれば、お金が未払いでも債務は確定しており、問題なく計上できます。今期黒字で、来期の売り上げが広告によって少しでも上向きそうな ら、「広告宣伝費」を使った節税を検討して頂ければと思います。
節税ネタ
その3 印紙税
N社長「この前教えてもらった印紙税の節税を参考にやりました。見てもらえますか?」
K税理士「社長、さっそく行動していただけてうれしいで す。ありがとう……。あ、社長。これはダメですね」
N社長「何でですか? 双方1通ずつという文言を削除しているじゃないですか?」
印紙を節税したつもりがなっていない。何が原因なのでしょうか?
よくある契約書の最後の文言は、「上記の○○契約を証するため、本契約 書2通を作成し、各当事者署名押印のうえ、各1通を所持する」となっています。この場合は、各々の文書が課税文書となってしまい、印紙を貼付する必要性が あります。
重要な契約書でなければ、1通だけ作成し、必要な分だけコピーをとります。コピーはあくまで契約書ではなく複写したものです から、印紙は必要ありません。1通でいい場合や、控え用に必要なだけの場合はコピーでも十分です。
コピーに署名押印してしまうと、コ ピーではなく契約書ですから、印紙を貼らなければなりません。契約書を2通作成する場合は、コピーかプリントアウトを2通しますよね。だから、印紙を節約 するためには、署名押印後の書類をコピーしないと効果がないのです。
また「副本」とか「写」と記載しても同じことになります。「副本」 や「写」に署名押印すると契約書とみなされ、印紙が必要となります。ポイントは、コピーするタイミングが、署名押印後なのか否かということです。
印 紙を貼りすぎてしまった場合
Y経理担当者「Kさん、どないしましょ?」
K税理士「Yさん、どうされたのですか?」
Y担当者 「実は契約書の印紙を間違えて、多く貼りすぎたのですが…」
K税理士「では、過誤納付確認申請の手続きをすれば、還付してもらえます。納めすぎ たものは取り戻しましょう」
ということですが、具体的にはどういう風にして手続きをすればいいのでしょうか?
所定の金額を超 えて印紙を貼ってしまった場合は、印紙税を誤って多く納めたことになります。この場合、余分に納めた印紙税額について還付を受けることができます。
還付を受けるためには、税務署に用意してある「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入し、納税地の税務署に提出します。
なお納税地 は、課税文書に作成場所が明らかにされている場合には、その作成場所となります。
還付される税金は銀行もしくは郵便局の口座に振り込まれます。 実際に還付金を受け取るまでには多少の日数がかかります。でも、納付しすぎたものは、ぜひ取り戻してください。
この連載では今後とも、 ちょっとした手間をかけるだけでできる節税ネタを厳選してご紹介します。自社を守るためにも、賢い節税を実践してください。
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