2006.07.20
決算日現在の財政状態を示す貸借対照表
世界で2番目に易しい決算分析入門
決算日現在の財政状態を示す
貸借対照表
「シャニム」編集長 征矢野毅彦
前回は代表的な財務諸表である損益計算書について解説した。簡単におさらいすると、損益計算書とは会社の一定期間(通常は1年)の業績を表すもの。期間中の売上高や、そのためにかかった経費(売上原価、販・管費等)、そして期間中の利益などが記載されている。また、利益には、粗利益とも呼ばれる売上総利益や本業の利益である営業利益、企業の収益力を表す経常利益などがあることを解説した。もし、まだピンとこないようであれば、再度前号を読み返してみてほしい。
さて、今回は損益計算書と並んでもう一つの重要な財務諸表である「貸借対照表(B/S、Balance Sheat)」を解説しよう。貸借対照表とは、一言でいえば会社の決算日の財政状態を示すものだ。損益計算書は1年間の業績結果を示すが、貸借対照表は決算当日のその日の財政状態を示している。
A君とB君の新車購入資金計画
では、財政状態とは何か。それは「企業がどういう手段で資金を集めて(資本の調達源泉)」、その資金を「どのような事業や資産へと投下しているのか(資本の運用形態)」。資金の調達源泉とその運用形態の関係のことである。
仮にA君とB君の2人が揃って100万円の新車を買うとしよう。だが、支払い方法が異なり、A君は頭金20万円を支払い、残金80万円を銀行ローンで支払う。B君は頭金70万円、銀行ローン30万円で支払うことになった。
両者の支払い方法を前述した財政状態の定義に当てはめると、A君は自己資金20万円と銀行借り入れ80万円とで100万円の資金を集め(資本の調達源泉)、この資金を100万円の新車購入に投下した(資本の運用形態)ということになる。一方のB君は自己資金70万円と銀行借り入れ30万円とで100万円を集め、100万円の新車に投下したわけだ。
これを貸借対照表ふうに示すと図1のようになる。2人とも100万円の車を資産として所有しており、そのために集めた資金も100万円で同じだ(ちなみに貸借対照表では資産合計と負債・資本合計は常に同じ金額になる)。
唯一の違いは資金の集め方である。そしてこの違いこそ、貸借対照表を分析する上で、大きな評価の差になる。図1でいえばB君の方が財政状態はいい、という評価だ。なぜなら、銀行借入額が小さいB君の方が、支払う金利が少ないからだ。銀行に支払う金利は車を維持活用するための経費といえるが、これが少なければその分のお金を他のことに回すことなどが可能だ。また何らかの理由で銀行から一括返済を求められた場合でも、B君の方が返済がしやすく安全性が高いと判断できる。
■図1
では、ここに新たにC君が登場したらどうなるか。C君も皆と同じ100万円の新車を購入希望しているが、自己資金はA君と同じ20万円しかない。だが、どうしても銀行ローンを増やしたくないC君は両親と妹に相談。車を必要とする際はいつでも運転手を務めることを条件に3人から20万円ずつ、計60万円の出資を引き出した。そして不足額の20万円のみを銀行ローンにすることにした。
これを貸借対照表ふうに表したのが図2だ。C君の自己資金はA君と同じ20万円だが、家族の出資を取り付けたことで、負債(銀行ローン)は3人の中ではもっとも少ない20万円だ。財政状態が一番いいと評価できる。
■図2
やや大雑把ではあるが、この3人の新車購入資金計画の比較で、貸借対照表の基本を理解できるのではないだろうか。要は企業が今持っている総資産はいくらで、その資産を持つためにどのような資金調達手法を取っているか、大まかな財政状態を貸借対照表から読み取ることができるわけである。
3つに分かれる貸借対照表
では次に図3を使って貸借対照表の主要な科目について解説しよう。
■図3
貸借対照表は基本的に「資産の部」「負債の部」「資本の部」の3つに分かれており、前述した財政状態の定義のうち、「資産の部」が資本の運用形態を示し、「負債の部」と「資本の部」が資本の調達源泉を示している(図1でいえば新車は資産の部、銀行ローンは負債の部、自己資金は資本の部に示される)。
さらに、資産の部は①流動資産、②固定資産、③繰延資産の3つに区分される。①流動資産とは即時換金可能な資産、または1年以内に収入が入ることなどが想定される資産のこと。現金及び預金、受取手形、売掛金、棚卸し資産(商品在庫等)などである。
これに対して②固定資産とは、即時の換金が不可能な資産や1年以内の収入などが見込めない資産のこと。そのうち、土地、建物、機械設備、車両などは有形固定資産(ものとして存在する固定資産)として区分され、電話加入権やソフトウェア資産、営業権などのようにものとして存在しない固定資産は無形固定資産に区分さ
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