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2010.09.10 (シャニム32号掲載)

シリーズ|3Dテレビの開拓者たちVol.2

4原色技術&UV2A液晶パネルが生んだ
明るく、鮮やかな「AQUOSクアトロン3D」

写真はシャープ(株)液晶デジタルシステム第1事業部商品企画部 指出実副参事
▲シャープ(株)液晶デジタルシステム第1事業部商品企画部 指出実副参事

 

 「テレビの映像再現で重要な点は明るさ。特に3Dは、サングラス越しにテレビを見るようなもの。一層鮮やかで明るい映像再現が必須」。

 こう語るのはシャープのAVシステム事業本部液晶デジタルシステム第1事業部の指出実副参事だ。長年、アクオスの商品企画を担当してきた根っからの“テレビマン”である。

 シャープは7月30日、同社初の3D対応テレビ「AQUOSクアトロン3D LVシリーズ」4機種の発売を開始した。同時にブルーレイ3D対応の「AQUOSブルーレイ」2機種、3D対応シアターラック「AQUOSオーディオ」3機種など3D関連機器の発売をスタート。家庭用の3Dシステムを構築する万全の商品態勢を整えた。

 シャープの3Dテレビを語る上で、避けて通れない技術が2つある。1つは昨秋発表のAQUOS LX1シリーズに初搭載された次世代液晶パネル技術「UV2A」であり、もう1つは今回のLVシリーズで初採用された4原色技術「クアトロン」である。

 両技術とも「これまでのテレビの常識を覆す革新的なテクノロジー」と指出副参事は自信をのぞかせる。

 「3Dテレビを購入したユーザーも、今はまだ2Dを見る時間の方が圧倒的に長いはず。それだったら、まずはテレビの基本機能である画質を革新的に高めて、その上で鮮やかな3Dを満喫可能なAQUOSならではの商品を目指した」(指出副参事)。

 

3Dを支える2つの技術

 UV2Aは液晶パネルの開口率を高め、パネルを透過する光の量を増やすことで、より明るい画面を実現する技術だ。液晶パネルは微細な画素が数百万単位で集積しているが、1つひとつの画素には従来、リブやスリットと呼ばれる光を遮へいするパーツが使われていた。

 UV2Aはこれらを最小化することで、同じ画面サイズ、同じ画素数ながら光が透過する面積を拡大。開口率は従来比で20%以上アップしている。この技術を初めて採用したLX1シリーズのコントラスト比は200万:1。当時の液晶テレビとしては画期的なスペックだった。

 一方、4原色技術「クアトロン」は、テレビの色再現力を飛躍させる技術だ。カラーテレビが生まれてからの50年間、色再現は光の3原色(赤・緑・青)を用いることが大前提。これを見直す動きは皆無だった。

 しかしシャープは新たに黄色を加えた4原色とすることで、テレビの色再現力を飛躍させたのである。

 色再現力を数値で示すことは難しく、実際に画面を確認することが一番だろう。3原色テレビと比較した場合、より自然な黄色、リアルな金色、そして鮮やかなブルーなどが認識できるはずだ。

 しかも、クアトロンは光の利用効率アップというもう1つのメリットを持っており、明るい映像再現にも効果を発揮する。LEDバックライトに含まれる黄色の波長成分を、効率よく使うことができるのだ。

 この2つの技術は3Dテレビのみならず、液晶テレビの基本性能を根本から見直したもの。シャープは「4原色革命」と称しているが、決してオーバーな表現ではないだろう。

 「これまでの液晶テレビは、テレビ周辺に各種の機能を付けて進化してきた。しかしAQUOSはパネルとパネルを動かすエンジンという基本部分で差別化を図った。これが3Dテレビの、明るく鮮やかな立体映像の再現につながった」(指出副参事)。

 

写真は指出実副参事

 

スキャニングLEDバックライト

 シャープが3Dテレビで明るさにこだわるには理由がある。同社のテストでは、同じ明るさのテレビを比較した場合、一般に人の目に映る3Dテレビの明るさは2Dテレビの1/10にダウンするという。

 これは3D映像を常に、メガネ越しに、片方の目で見ることなどによるもの。左右の目それぞれ用の画像を、交互に映し出して3Dを表現するフレームシーケンシャル方式にとって、避けて通れない課題といえる。

 しかしながら大画面の3Dテレビはリビングルームへの設置が多く、明るい部屋で鑑賞するケースが多い。明るい部屋で暗い画面を見るのでは、せっかくの3D映像を満喫することは難しいといえるだろう。

 「AQUOSが3D対応テレビを出すには、この課題の克服が絶対条件だった。そのための基本技術がUV2Aとクアトロンだった。この2つの技術があったからこそ、鮮やかで明るい3D映像を存分に楽しんでいただける商品を開発できた」(指出副参事)。

 3Dテレビではクロストーク(画像の二重映り)のクリアも重要な課題だ。3D再現時は左右の画像を瞬時に切り替えている。だが、これがきちんと分離しないと、左目用の画像が右目に、右目用の画像が左目に残像として残り、クロストークが発生するのである。

 これをクリアするためにシャープは「スキャニングLEDバックライト」という新技術を開発。クロストークの大幅抑制を実現している。

 一般の液晶テレビは1秒間に60コマ(倍速液晶は120コマ)の静止画を1枚ずつ映し出して、動画として再現している。いわばパラパラ漫画の原理だ。

 AQUOSクアトロン3Dも基本的には同じ原理を用いる。だが、1枚の静止画を映す際し出す際、その静止画を1枚の絵として一気に映すのではなく、上方から下方に向けて、画面を横に分割しながら段階的に映している(ライン制御)。このため残像が残りにくい。

 しかも、前述したUV2A技術はレスポンスが早いという特長を持っており、クロストークの抑制にも効果を発揮している。

 

写真は指出実副参事

 

 

独自の「3D→2D変換」機能

 このようにAQUOSクアトロン3Dは、独自の技術を盛り込んだ最先端3Dテレビだが、一方で、ユーザーフレンドリーなきめ細かさを持つテレビでもある。

 その端的な例は「3D→2D変換」機能だろう。2D映像を3Dに変換する機能は各社が採用しているが、その逆はシャープが初だ。

 この切り替えはメガネに付いたスイッチで行なう。メガネの開閉を左右交互ではなく、両目同時に行なうことで、片方の画像だけを2D映像として見る仕組みである。

 「体調などによっては、3D映像を見るのがツライという状況も想定できる。そんな時でも2Dに変換できれば、ストーリーを楽しむことはできる。メガネをはずして、その場を離れることなく、家族や友人たちと一緒に映像を楽むために必須機能だと考えた」(指出副参事)。

 大画面テレビはリビングで家族や仲間と楽しむ道具。そこにこだわるAQUOSならではの機能といえよう。

 この秋から年末にかけて、店頭には各社の3Dテレビが出揃い、商戦が本格化する。そうした中、指出副参事の次なる役割は「根幹の技術であるクアトロンのよさを、いかに多くの人に伝えていくか」だ。商品企画マンとしての仕事は、これからが本番なのかもしれない。

 

 

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