2011.02.28 (シャニム34号掲載)
シリーズ|3Dテレビの開拓者たちVol.3
「REAL 3D」が提案する新テレビ像
家庭用の「AV空間創造システム」

▲三菱電機(株)AV機器製造部技術第3グループ◎長沢雅人主席技師長
オールインワンの追求
「『REAL 3D』はこれ1台で、家の中に本格的なAV空間を作っていただける商品。しかも『らく楽アシスト』による簡単操作を実現したことが、もう1つのポイント」
こう話すのは三菱電機・AV機器製造部技術第3グループの長沢雅人主席技師長だ。REALシリーズを、技術的な視点から企画し続けており、3Dにも早い段階から携わっている。
三菱のREALシリーズは、フラッグシップモデルにHDDレコーダーとBDレコーダーを内蔵した、録画テレビの代表的ブランド。その最新モデル「MDR1シリーズ」は、内蔵BDレコーダーが3D対応となり、HDDレコーダーにも3D映像を録画可能。しかも、バックライトにLEDを搭載する最先端モデルである。
3D以前からオールインワンにこだわってきた三菱だが、それは今後のテレビが単なるテレビ放送受像機の枠を超え、「家庭用のAV空間創造システム」として新たな役割を担うべき、との思いがあるからだ。テレビを「見る」道具から、「見る」「録画する」「保存する」「再生する」、そして「音を楽しむ」道具へと進化させたわけだ。
この姿勢を端的に表しているのが、BDレコーダーとHDDレコーダーのダブル搭載をいち早く実現したこと。三菱がこのモデルを発売する前まで、録画テレビはHDDレコーダーのみの搭載モデルしかなかった。
長沢技師長は「HDDのみでは、ディスクに残せないという不満が多かった」といい、「HDDにどんどん録画し、気に入ったものはディスクに保存。しかも、BDソフトも見られ、簡単に操作できるテレビを目指そうということで開発がスタートした」と話す。
三菱の強みはテレビもレコーダーも1つの部署で手がけていることだ。メーカーによってはテレビとレコーダーは事業部が異なるため、レコーダーのビジネスを考えると、テレビには内蔵しにくいというケースもあるようだ。三菱にはそのしがらみがないことが、オールインワンにいち早く取り組めた要因の1つである。
「ユーザーがいかにAVを楽しめるか、という視点だけから純粋に開発を進めてきた」(同前)

▲写真は REAL 3D「LCD-55MDR1」
臨場感をいかに引き出すか
長沢技師長が3Dに関わり始めたのは2008年頃から。フルハイビジョン画質や倍速液晶技術などが普及し始めた時期で、次のテクノロジーとして3Dに着目。これをいかにテレビ製品としてまとめあげるか、という企画に着手したのである。
「フルハイビジョンになって画質が格段にきれいになり、液晶のスピードもアップ。3Dの臨場感を生かせる技術が出揃ってきた。しかも、著名映画監督の『今後の作品はすべて3Dで撮る』というような話も聞こえてきており、コンテンツも急速に整うことが確実だった。あとは我われがいかに企画化するか、という段階にきていた」(同前)
3Dテレビの開発にあたって三菱がこだわった点は、「画像の高精細化」や「より細かなコントラスト制御」、
「3Dならではのアジャスト機能」、そして「音質のアップ」など。どれも3D映像の臨場感を最大化するために欠かせない要素だった。
まず「画像の高精細化」だが、これは2D画質の高精細化を極めることで初めて、3D映像の高精細化が可能になる。
REAL 3Dは「新DIAMOND Panel」の開発でこの課題をクリア。同パネルは4倍速駆動に対応したグレアパネルで、パネルに当たった外光が乱反射しにくく、にじみが出にくいことから精細感をアップできる。
「コントラスト制御」も2D画質を高精細化する技術。新開発の画像エンジン「DIAMOND 3D Engine PRO」により、従来は画面単位だったコントラストの制御を、画面内のエリアごとで制御すること(ローカルコントラスト)に成功した。
「2D画質をきちんと作らないと、3Dの画質は作れない」と長沢技師長。その上で3Dならではの臨場感を高めるために重視したのが「奥行きアジャスター」だ。
これは映像の奥行き感や飛び出し感を、控えめから強調まで調整できる機能。3Dは人によって見え方が異なるため、自分に合った立体感をアジャストしてもらうもの。また、斜め方向から3Dを視聴した場合、映像が不自然に見える可能性もある。これは同社伝統のオートターン機能で調整が可能だ。
「視差を利用した3D映像は、感じ方に個人差が出てくることが避けられない。より自然な臨場感を楽しんでもらうためには、調整機能が必要と判断した」(長沢技師長)
テレビの王道にこだわる

そして、画質と同じように重視したのが音質だ。「3Dの臨場感を生かすため、音質向上にも徹底的にこだわった」という。
MDR1シリーズは「10連スピーカー&最大出力50W」という本格的なシステムを搭載しており、4基のセンタースピーカー、左右2基のウーハーなどで構成されたその実力は「ミニコンポ並みのオーディオ性能は十分にクリアしている」(長沢技師長)という自信作である。
しかも音声補間技術「DIATONE HD」により、圧縮され欠落したデジタル放送の音声信号を予測補間し、原音に近いレベルに再現できる。
このようにREAL 3Dは2D画質、3D画質、そして音声にこだわった三菱のフラッグシップモデルだ。しかも、BDやHDDを搭載し、これらを「らく楽アシスト」リモコン1つで簡単に操作できる。つまりは「家の中で本格的なAV空間をすぐに作れ、簡単に楽しめるオールインワンAVシステム」というわけである。
もっとも長沢技師長は、さらなる進化を求め、3Dの技術開発に取り組む毎日だ。そのテーマは、やはり臨場感のアップである。
「3Dは今後ますます発展する。今年は3Dコンテンツが大幅に増えるだけに、いかに臨場感を高めるのかがポイント。リアルのネーミングの通り、その場にいるような臨場感を、もっと引き出すことを目指したい」
「テレビ本来の王道にこだわる」という長沢技師長にとって、3Dテレビ開発へのチャレンジは、これからが本番なのかもしれない。














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