商品研究商品研究1 ビジネスプリンター

概要

実使用を意識した省エネ性能が向上節電関連機能でさらに電気代カット

  • 実使用環境を想定した省エネ指標のTEC値に注目
  • TEC方式の導入以降、消費電力の削減性能が大きく進化
  • 低消費電力が魅力のビジネス向けインクジェットが人気急上昇
  • 省エネ設計と節電関連機能でW効果

今年も夏がやってくる。エアコンや照明など、オフィスの様々な機器に節電が求められる中、プリンターや複合機も例外ではないはずだ。そこで、今回は最新モデルの“省エネ力”を探ってみたい。

ビジネスプリンターの省エネ性能を知る指標には動作時消費電力や節電モード時消費電力などいくつかあるが、まず、ここ数年で欠かせない要素となった「TEC(Typical Electricity Consumption/標準的消費電力)値」を確認したい。最近は、カタログに性能表記するメーカーも増え、省エネを重視するユーザーにとってモデル選びのポイントとなっている。

TEC値とは、具体的には時間当たりの消費電力量「kWh(キロワットアワー)」で表示される。例えば、「TEC値0.48kWh」といった場合、1時間当たりの消費電力量が0.48kWであることを意味しており、この数値が低いほど電力消費量が少なく省エネ性能が高い。

そもそもTEC値は、デジタルオフィス機器(*1)の国際的な省エネ制度である「国際エネルギースタープログラム」により策定されている省エネ指標のこと。一定基準を満たすと判断された製品には、「国際エネルギースターロゴ」の使用が許可され、高い省エネ性能を持つ機器として認定される。

現在、国際エネルギースタープログラムは世界7カ国・地域で導入されており、1995年に参加した日本では経済産業省・資源エネルギー庁が管轄している。

TEC方式導入で省エネ化が促進

実は、同プログラムがスタートした当初の適合基準はTEC値ではなく待機消費電力だけで規定されていた。ジョブ待ち時間が長いプリンターや複合機では、これも重要な要素だが、より実使用に近い省エネの追求を目的として、2007年に導入された新基準がTEC方式による測定だ。

その算出方法として、カタログやスペック表などに掲載されている表記は「概念的1週間(稼働とスリープ/オフ状態が繰り返される5日間+スリープ/オフ状態の2日間)の消費電力量」というもの。詳細は省くが、要は1週間のうち業務が行なわれる平日5日間はプリンターを使った状態、土日の2日間については休みなので未使用状態と、一般的なオフィス環境に近い使い方を想定しているわけだ。

この条件で1週間使用した場合の消費電力を、時間当たりに換算したものがTEC値となる。さらに、この変更に続き、2009年にはTEC値に優れた上位25%の製品だけにロゴの使用が可能となるように適合基準を引き上げた。

国際エネルギースタープログラムへの適合は、デジタルオフィス機器にとって必須の要件。TEC方式の採用や基準引き上げを機に、メーカー各社は設計そのものから改良するなど、さらなる省エネ性能向上に取り組む必要に迫られた。

こうした背景もあり、最新モデルの省エネ性能は飛躍的にアップしている。TEC方式の採用や基準引き上げ時期の4年〜6年前モデルを使い続けているなら、その差は一目瞭然。消費電力量などを比較してもらいたい。

特に、スタンバイ時やスリープ時の節電力は必見だ。ドキュメント機器は常に使い続けるというよりは、よほど印刷やコピーボリュームが多いオフィスでもない限り、ジョブ待ちの時間が圧倒的に長い。このため、待機状態でどれだけ消費電力を抑えられるかが省エネにつながる。

この点、どのメーカーのモデルも掛け値なしに省電力化が実現されている。中でも、もともとトップランナーとして省エネ性能を重視してきたキヤノン製品は節電性能が高い。本稿紹介のA4カラー複合機「MF8380Cdw」は、スリープ時消費電力1.4W。独自のオンデマンド定着技術や省エネ設計によりTEC値0.89kWhと群を抜いて優れている。

コニカミノルタのA3モノクロ複合機「1830f」は、同社従来機から大幅な省電力化に成功。スリープ時消費電力0.8Wで、TEC値は1.61kWhだ。

また、節電性能の視点から関心を集めている最新機がビジネスインクジェットである。

待機時やスリープ時もさることながら、動作時の消費電力が数十ワット・レベルとレーザーやLED機などに比べ圧倒的に低いからだ。ブラザーやHPに加え、昨年はエプソンがビジネス向けインクジェット機に注力したこともあって、ラインナップが充実した。

ユーザーの選択肢が大きく広がっている中、本誌紹介のエプソンのA3複合機「1700F」やブラザーのA3複合機「J6710CDW」、HPのモバイル複合機「150 Mobile AiO」などは、いずれも国際スタープログラムに適合している人気モデルだ。

最新の省エネモデルが並ぶヤマダ電機に、ぜひ足を運んでほしい

節電機能でさらなる省エネ

こうした設計面での省エネ性能向上だけでなく、最新モデルでは節電を意識した多彩な機能が装備されていることも従来機にはなかった魅力といえる。「節電ボタン」の搭載などはその好例だろう。

同ボタンに割り当てられている機能内容はメーカーにより若干の違いはあるが、多くはスタンバイ中にボタンを押すだけで、消費電力の低い節電モードへすぐに移行できるといったもの。印刷やコピーが終わった時に押すことで、簡単に節電に取り組める。

この機能では、OKIデータなどが早い時期から導入しており、筐体前面の操作パネルに節電ボタンを配置するなど、使いやすさに配慮したモデルを製品化している。

また、待機状態が一定時間続くと自動的にスリープモードなどの省電力状態へ移行する機能は以前から装備されているが、最近は移行時間をユーザー側で柔軟に変更できる。

例えば、通常は最短時間に設定してムダな電力消費を抑制し、印刷やコピーなどのジョブが集中する時間帯には移行時間を長くして利便性を重視するなど、工夫して活用できそうだ。

この他、カシオなどは使用消費電力を便利に管理できるソフトを自社プリンターに同梱するなど、各社とも様々な面から省エネへの取り組みを支援している。

とはいえ、性能や機能が犠牲にされての省エネ化は満足できないが、この点も心配無用だ。消費電力を抑えながらも、出力速度は向上。自動両面印刷機能や複合機では両面読み取りADFなど、高機能化が進むモデルも多い。

リプレイスするだけで省エネと生産性を向上させることができ、買い増しでは負担を最小限に抑えながら利便性をアップできることが最新機種の大きな魅力だ。

以下、ヤマダ電機が勧める機種を紹介しているので、モデル選びの参考にしてほしい。

(*1)対象製品はPC/プリンター/スキャナー/ディスプレイ/複写機/複合機/ファクシミリ/デジタル印刷機