17年ぶりに施行「新・消費税」会計ソフトや電子レジで賢く対策!

概要

  • 2段階の改正や経過措置取引などにより新・消費税では税率が混在
  • これを効率的に管理するには会計ソフトや販売管理ソフトが不可欠
  • ソフトは最新版が最適。古いバージョンはリプレイスを
  • 事務負担増や納税資金の確保、価格表示の検討など総合的な視点で対策したい

 2014年4月から、消費税率が現在の5%から8%に引き上げられることが正式に決まった。17年ぶりの制度変更(以下、新・消費税)だけに、以前の消費税改正に携わった担当者でも記憶は薄れているに違ない。

しかも、新・消費税は2015年10月に10%へ税率の再引き上げが予定された2段階改正である。さらに、17年前と比べて大きく異なる点は会計や販売管理など、業務の様々なフェーズでIT導入によりシステム化が進んでいることだ。

では、こうした改正がビジネスにどう影響し、どういった対策が必要となるのか。その前に、新・消費税の制度概要を確認しておきたい。

まず、原則として2014年4月1日以降に行われる資産譲渡に消費税率8%が適用される。そして、2015年10月1日以降は10%の予定だ。

課税の判断は基本的には譲渡時期に基づくため、施行日前に契約や予約があったとしても、資産譲渡や役務の提供が施行日以降なら新税率が適用される。ホテルや飲食店を例に挙げれば、2013年3月20日に予約を受けても実際の宿泊や来店が4月1日であれば、消費税は8%となる。

■図1 消費税率引き上げと施行日

システム対応では最新版を選択

ただし、施行日に一律適用されるわけではなく、工事などの請負契約やリースといった取引については施行日以後も旧税率を適用する経過措置が講じられている。

指定日以前に契約した一定の取引については、譲渡が施行日以降に行われても、旧税率が適用されることになる(図2参照)。

例えば、年間単位で契約している月刊誌継続購読について、指定日以前に契約して購読料が支払われた場合は経過措置の対象となり、施行日以降に譲渡される雑誌にも旧税率が適用できるという。これに対して、指定日以後の購読契約では、施行日以前に譲渡した雑誌には旧税率が、指定日以降の雑誌には新税率が適用されるわけだ。

また、指定日に関係なく旧税率が適用されるケースがある。水道光熱費や新聞、鉄道の乗車券などだ。継続供給契約の電気代や電話料金などは4月1日以後、最初に請求額が確定するものについては消費税率5%。旅客運賃についても3月末日までに購入したものについては、入場が施行日以降でも旧税率が適用される。

こうした制度下で、新・消費税対策としての検討ポイントは、①自社の取引チェック、②システムへの対応、③事務負担、④納税資金の確保、⑤価格表示の検討などが挙げられる。

特に、①自社の取引チェックは対策の大前提だ。販売や仕入れ、費用計上なども含めて自社の取引に適用される税率が何%かを確実に把握すること。特に、前述したように契約時期や内容によっては判断が異なる可能性がある施行日前後の取引には注意が必要だ。しっかりと確認したい。

業務でのIT化が進んだことを考えれば、②システムへの対応も必須の対策といえる。新・消費税によるシステムに対する影響の有無を表にまとめたが、販売管理や会計、購買管理など消費税に関わる業務でソフトウエアを使用している場合は新・消費税に完全対応した最新版へのリプレイスを勧めたい。

今回の改正は短期間に2度も税率が引き上げられる可能性があるため、経過措置や税負担の軽減措置などにより異なる税率が混在する可能性が高い。新税率や経過措置取引に対応したバージョンが欠かせないからだ。

特に販売管理ソフトや会計ソフトは、ここ数年は大きな法改正もなく古いバージョンを継続利用しているユーザーも多いだろう。最新版の1つ前のバージョン(2012年末から2013年初にかけて発売)では8%対応をサポートしていたので継続利用もできるが、それ以前のバージョンについては買い替えが必須だ。

1つ前のバージョンにしても、税率が10%に引き上げられた時には対応できない。最新版は8%に完全対応しており、基本的に10%にも対応可能だ。さらに、新・消費税対策を支援する目的で通常は有料サポートを最新版に限って無償で提供を行う会計ソフトや販売管理ソフトもある。10%完全対応の次期バージョンが発売された場合、無償提供されるなど、新・消費税対策としての安心度は高い。

また、表には記していないが、電子レジスターなども新税率に対応したものを用意する必要があることはいうまでもないだろう。

■図2 旧税率が適用される経過措置と指定日

■新・消費税施行による主なシステムやソフトウエアへの影響

システム
&ソフトウエア
影響度
見積・納品・請求書 消費税率の変更に伴う影響度大。システム変更やソフトウエアの買い替えが必要
販売管理 業務内容などにより異なるが、多くは影響有。業務プロセスなどを見直して、影響がある部分は変更が必要
購買管理 消費税率の変更に伴う影響有。システム変更やソフトウエアの買い買えが必要
会計 影響度大。システム変更やソフトウエアの買い替えが必要。前年バージョンでも対応可能だが、2段階引き上げを見据えるなら最新版の導入を検討
青色申告 影響有。なお、消費税以外にも、毎年細かな改正があり毎年新バージョンを導入することが不可欠
人事 影響無
給与 限定的影響。基本給や手当などの計算・管理部分は影響無だが、交通費や立替経費などの部分で影響する可能性有
生産管理 在庫などは税抜き(原価)管理が一般的であることを考えれば、基本的には影響無

早期対応が新・消費税攻略のカギ

経理などは新・消費税に対応した会計ソフトなどで自動処理できるとはいえ、適用する税率の判断が難しい取引など定型化できない仕訳なども出てくる。判断ミスや入力ミスを防ぐためにも人手によるチェックは不可欠で、③事務負担は確実に増す。

返品や貸し倒れが発生した場合に備え、対象商品に適用された仕入れ時の税率などは確実に管理しなければならない。決算時の作業なども早めに着手することが必要だ。

ソフトウエアを使わずアナログで会計や販売管理などを行っている企業は、新・消費税による事務負担増の影響も大きい。

「この4月の増税は乗り切れるだろうが、10%への引き上げ改正では軽減措置として一部の商品や取引について税率を据え置くことが検討されている。そうなると、手書き処理では事務が追い付かない」。業務のIT化を検討した方がよいだろう。

④納税資金の確保は、特に中小企業には悩ましい。税率が8%へアップすると納税額は現在の1.6倍、10%になれば2倍となる。本来、消費税は別口座で管理するなど納付時期まで確保しておくべきもの。だが、一時的に運転資金に回してしまうなど、いざ納付となった時に納税資金が不足していた経験を持つ事業者も少なくないはずだ。

納税額が増えるだけに、これまで以上に多くの納税資金を確保しなければならない。必要な納税額を常に把握しておくなど、会計ソフトの消費税管理機能などを利用して対策したい。

こうした経理や販売管理の煩雑さに加えて、増税分を価格に転嫁できないことによる利益の減少も無視できないもの。

これについては、転嫁対策特別措置法により支援されており、その1つが⑤価格表示だ。これまで総額表示が義務づけられてきたが、一定期間に限り外税方式による表示も可能となる。

増税分を価格に転嫁して自社の利益を守るためにも、外税表示により顧客に消費課税を意識してもらうことも一考だろう。同法律はすでに施行されている。消費税の引き上げ前に取り組むことがポイントだけに、早めに検討することが大事である。

様々な影響が予想されている新・消費税。必要以上に慌てることはないが、早期に自社ビジネスへの影響と対策について考えることは必要だろう。