2014年度 中小企業者関連 税制ガイド2014年度 中小企業者関連 税制ガイド

概要

設備投資から交際費、研究開発まで減税策が充実!

「少額減価償却資産の特例」が延長
太陽光発電の即時償却期限は残り1年

2014年(平成26年)度税制の概要が明らかとなった。新税制は、昨年10月の「民間投資活性化のための税制改正」を軸に、新たに減税措置を追加する形でまとめられている。アベノミクス第三の矢(成長戦略)実現を目指す姿勢が反映され、積極的な設備投資を検討する企業にとっては、大いに期待できるものとなりそうだ。なお、本稿は税制改正大綱ベースの解説であり、最終決定や詳細は通達や省令などを確認すると共に、具体策は税理士などに相談してほしい。

中小企業や小規模事業者が2014年度に活用できる主な減税策は、既存施策を含めると9項目にも及ぶ(次ページ表参照)。新たな措置を中心に詳しく見ていきたい。

注目は、個人事業者や法人を問わず利用率が高い「少額減価償却資産の特例」だ。この3月末で終了予定だったが、今改正において2年間の延長措置が講じられ、2016年3月末までの適用が可能となる。

単純延長なので制度内容は従来通り。30万円未満の減価償却資産を購入して年度内に事業で使い始めることで、全額を即時償却して損金算入できる。限度額は累計で年間300万円以下だ。

機械類はもちろん、PCやカラー複合機、プロジェクター、ソフトウエアなど様々な資産が対象となり、新品規定がなく中古品にも適用される。

同税制を使えるのは、青色申告を行う税法上の中小企業(資本金1億円以下)や個人事業者など。賢く活用して生産性向上と節税を両立させたい。

なお、同税制が適用された償却資産は、償却資産税の対象となる点には留意すること。

■図1 少額減価償却資産の特例

充実の減税策で大規模投資の好機

大型投資の減税策として利用できる制度としては、2014年度税制で拡充や創設された「中小企業投資促進税制」と「生産性向上を促す設備等投資促進税制(以下、生産性向上設備等投資促進税制)」に加え、既存の「生産等設備投資促進税制」「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」「グリーン投資減税」などが挙げられる。

まず、1998年に創設され何度も延長措置が講じられてきた中小企業投資促進税制は、今改正でも2017年3月末まで適用期間が延長されると共に、拡充策が講じられる見通しだ。投資額に対し特別償却30%か税額控除7%を選択適用できる減税内容、対象設備や価額要件など基本的な枠組みは同じだが、拡充策として「上乗せ措置」が講じられる。

具体的には、生産性向上に貢献する設備投資に対し、「特別償却30%を即時償却に」「税額控除7%を10%に(資本金3000万円までの法人)」「税額控除を選択できる法人の範囲を資本金3000万円以下から1億円に」など、現行措置に上乗せする形で優遇税制を受けることが可能となる。

この措置の対象となる生産性向上に貢献する設備とは、「先端設備」要件か「生産ラインやオペレーションを改善する設備」要件のいずれかを満たすものとされている。

先端設備として挙げられているのは、「すべての機械装置」や「サーバー、試験・測定機器」などで、さらにこれら設備が、「最新モデル」や「年平均1%以上の生産性向上」などの要件をクリアすることが必要だ。

最新モデルの定義は、「各メーカーが一定期間内(機械装置:10年以内/サーバー、試験・測定機器:6年以内)に販売を開始した最も新しい製品」。ただし、NC旋盤などのソフトウエアが組み込まれた装置については最新製品から1つ前のモデルでも認められる。

年平均1%以上の生産性向上については、例えば2008年発売の旧機種に対し2013年発売の最新モデルであれば、5%(1%x5年間)以上の生産性アップが必要という。

要件確認は複雑だが、基本的に中小企業が実務面で負担を負うことはない。設備メーカーが工業会などで要件確認を行った上で証明書を発行してもらい、中小企業はメーカーから受け取った証明書を確定申告時に提出する枠組みが導入される予定である。

一方、生産ラインやオペレーションを改善する設備とは、中小企業がラインなどを刷新して生産性アップに取り組むケースが当てはまる。この場合、前述の最新モデルや生産性向上要件は不要で、年平均の投資利益率が5%以上となる投資計画を作成。税理士や公認会計士の事前確認と経済産業局の確認を受けることで、計画書に記載された設備について上乗せ措置を適用することが可能だ。

上乗せ措置は産業競争力強化法が施行された2014年1月20日にさかのぼって適用できる。

設備投資関連で、2014年度改正において新たに創設された減税策が生産性向上設備等投資促進税制だ。産業競争力強化法の施行日から、2017年3月末までの時限制度である。

生産性を向上させる設備を導入した場合に、2016年3月末までは即時償却または税額控除5%(建物や構築物は3%)、以降2017年3月末までは特別償却50%(同25%)または税額控除4%(同2%)を選択適用できる。

適用要件など基本的な仕組みは中小企業投資促進税制の上乗せ措置と同じだが、生産性向上設備等投資促進税制は優遇内容、対象企業に大法人も含まれること、対象設備の範囲が広いといった点で異なる。例えば、中小企業投資促進税制にはないLED照明や冷凍器付陳列ケースなどが本税制には含まれている。

既存制度にも注目

これら2つの減税策に似た制度として、生産等設備投資促進税制(2013年度税制で創設)がある。

国内の生産設備投資を増加させた場合、新たに国内で取得した機械や装置について特別償却30%か税額控除3%が認められる。すべての法人が対象で、税額控除の選択にも資本金による縛りはない。

前述の2税制が生産性アップという質に着目しているのに対し、生産等設備投資促進税制は量的側面にスポットを当てた施策だ。このため国内生産等設備への年間総投資額が、「適用事業年度の減価償却費を超えていること」と「前事業年度と比較して10%以上増加していること」という要件を満たす必要がある。

なお、ここでいう生産等設備は企業の事業に直接関わる減価償却資産であり、PCや事務機器などバックオフィスで使われる資産、建物、自動車といった生産規模の拡大に関係しない設備は含まれない。

これらの設備投資減税は価額要件などのハードルが高く、規模の小さい企業や個人事業者などには利用しにくい。そこで、注目したい措置が昨年度改正で創設された商業・サービス業・農林水産業活性化税制だ。

商業やサービス業、農林水産業を営む資本金1億円以下の中小企業や青色申告を行う個人事業者が、60万円以上の建物附属設備/30万円以上の器具・備品を取得した場合、特別償却30%か税額控除7%のいずれかを適用できる。ただし、税額控除は資本金が3000万円以下の中小企業などに限られる。

対象資産は、建物附属設備では冷暖設備や給排水設備、照明、トイレなどが該当し、設置のための工事代なども含む。器具・備品は、椅子や什器といった顧客満足や集客力アップにつながる設備や器具をいう。

同制度の利用に際しては、商工会議所や認定経営革新等支援機関などでアドバイスを受け、それを踏まえた投資であることが要求される。確定申告時には、相談したことを示す証明書の提出が必要となる。

また、再生可能エネルギー導入や省エネ推進に向けた投資を支援するグリーン投資減税も引き続き利用できる。太陽光発電や風力発電設備などは取得後1年以内に事業用として稼働させることで、取得価格全額の即時償却か税額控除7%(税法上の中小企業者や個人事業者のみ)の選択適用が可能だ。

取得額には設備の購入代金に加えて、荷役費や運送保険料、据付費なども含まれるので減税効果は高い。