必読!これがホントの“節税”講座非課税かつ資金使途も自由
使わぬ手はない「出張手当」

寄稿:梅川 貢一郎(有限会社トライアングル 代表取締役・税理士・公認会計士)

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まったくフリーなお金

出張手当を利用していますか。私は、出張が嫌いではありません。地方への往復の交通機関の利用も楽しいし、何といってもご当地の美味しい食べ物をいただけるのが楽しみです。夜の活動もまったくフリーなのがいいですね。

ところが、税務上、出張は「苦痛」であるという取扱いです。いわゆる「節税策」と呼ばれるものの多くがグレーゾーンであるのに対して、出張手当は堂々といえる完璧な節税法です。出張手当とは、外泊を伴う出張を行うに際して会社から出張した者に対して支払われるいわば日当です。もちろん給料の他にエクストラで支払われるお金です。

出張手当は苦痛に対する慰謝料!?

 

確かに長時間新幹線に乗るのは苦痛ですし、数日とはいえ家族と離ればなれになるのは、苦痛といえなくもありません。

それはともかく、税務上出張は苦痛なので、出張手当(日当)はその苦痛に対する補償、損害賠償、慰謝料的な性格を有するため、所得税は非課税扱いになります。これは所得税法上の例外措置といえます。

通常、休日出勤手当、家族手当、住宅手当、いわゆる手当と名のつく支給はすべて所得税がかかります。例外は、出張手当と通勤手当くらいしかありません。

しかし通勤手当は、通勤費にしか使えません。自由にできるお金ではありません。実際の1カ月の通勤費が1万円のところを3万円支給したら、残りの2万円は本人の所得として所得税が課税されます。

ところが出張手当は資金使途自由。領収書も必要ありません。給与と同様、まったくフリーなお金です。しかも所得税が非課税扱いです。これっておいしくありませんか。

社長の手当はいくらが妥当か

航空会社のキャビンアテンダントは給与がとても安いのをご存知ですが。しかし実際の収入は1千万円クラスといわれています。そのからくりが出張手当です。

もし出張の多い業種であれば、給与は限りなく安くし、その分出張手当を増やします。本人は同じ手取りになりますが、所得税をはじめ住民税、社会保険料が大幅に節約になります。
では、ここで質問です。

社長の出張手当はいくらが妥当でしょうか?多くの会社では、出張手当は旅費規程に定められています。そして、旅費規定は「ひな形」に従って作成されるため、ほとんどの会社が似たような旅費規定を持っています。

私の知る限り、社長の出張手当(日当)は1万円というのが多いようでる。ヒラの社員が5千円。部長が8千円という感じでしょうか。

しかしこれは、何ら根拠のある金額ではありません。出張手当は本来、会社が個別の事情によって決めるべきです。ある会社では社長の出張手当を日額で5万円としていました。何度も税務調査を受けていますが、問題になったことはないそうです。

私は気になったので、出張手当が過大であるとして税務署から否認され、問題になった事例はないかと、判例データベースで調べていました。しかし、そのような事例はまったくありません。過大な役員報酬や過大な役員退職金は、争われた事例が山のようにあります。

どうやら税務署は、会社が社長に対して給料や退職金としてお金を払うことには敏感ですが、出張手当の日当として支払うことには寛容なようです。
なぜでしょうか?

思うに、お役人は身内には甘い。以前、役人のカラ出張が問題になりました。私は、公務員の出張規定を知りませんが、カラ出張でお金が出たということは、宿泊費や交通費を実費精算せずに、一定額の出張手当が日当込で賄われていることが想像できます。要は、出張は公務員にとっても「おいしい」のです。

ところで、出張で実際にかかる出費、交通費や宿泊代。これらは実費支給である必要がありますか、という質問をよく受けます。必ずしも実費支給である必要はありません。

例えば社長の宿泊代は一泊2万円。部長は1万5千円。平社員は8千円と決めておきます。実際の出張では、社長が1万円のホテルに泊まって、会社からは2万円の支給を受けても何ら問題はありません。

借上げ社宅は従業員にメリット

出張手当に似た制度として、会社が用意する各種の福利厚生制度があります。私のクライアントには外資系企業も多いのですが、外資系企業では、社員の節税にはかなり熱心な会社が多く見られます。

その代表が、「借上げ社宅」。会社が大家さんと賃貸マンションなどの賃貸契約を行い、従業員に住まわせます。社宅に住む従業員は、実際の家賃の10分の1程度を「社宅家賃」として会社に支払えばよいとされています。

会社としては、給料として本人に支給しようが、家賃として支払おうが経費として支払う金額に違いはありません。

しかし、従業員にとっては現金で受け取る給与を住宅供給という形で受け取るため、実質は何も変わりませんが、所得税、住民税、社会保険料が安く済みます。

もちろん、社長をはじめとした会社役員も利用できます。ただし、役員の場合は、従業員よりも多めの社宅家賃を支払う必要があるので要注意です。

さらに非課税の手当としては、食事代があります。昼食代は、本人が二分の一を負担することを条件に会社が月に3500円まで所得税非課税で支給することができます。しかし今時、月7千円で月の昼食代を賄えるとは思えませんし、3500円では大した節税にはならないようです。

これに対して、残業食事代には特に制限が設けられていません。夜の食事代であれば、1千円くらいはかかりますから、月に2万円程度の残業食事代の支給が可能です。

もちろん、残業代は法定の金額を支払わないと後々問題になりますから支払いましょう。しかし、残業食事代は会社に支給の義務があるわけではありませんから、基本給を月額2万円減らして、その代り残業食事代という名目で2万円支払うのはありです。

会社が支払う給与総額は変わりませんが、受け取る従業員は年額で24万円分の所得税、住民税が安くなります。税率20%の人ならば、4万8千円税金が安くなりこます。

団体扱いの生命保険

また、社長にとってもお得で従業員も喜ぶ決定版が生命保険の団体扱いです。通常、加入者が10名以上いれば加入できます。加入者は、パートさんでもアルバイトでも非常勤役員の社長の家族でも構いません。

メリットは二つ。一つは、保険料が劇的に安いこと。従業員にとっては個人で普通に保険会社と契約するよりも50%ぐらい安い保険料で同じ保証の保険に加入することができます。会社は必ずしも保険料の全額を負担する必要はありません。

会社の方針にもよりますが、全額を従業員の負担にして、その分を給料から控除することもできます。半分負担してもいいし、福利厚生としての全額負担もいいでしょう。

従業員の満足度を上げるにはもってこいです。何しろ普通であれば、従業員は課税された後の手取りの給料から高い保険料を支払い、しかも年末調整で控除されるのは、4万円か5万円でしかありません。これを会社が代わって支払えば、まるまる所得税がかからないのですから、それだけで節税効果満点です。

二つ目のメリットは、通常の保険の加入であれば必須の健康診断が必要ないことです。

これは節税メリットではありませんが、40〜50歳を越えた人ならば、必ず何らかの健康上の問題を抱えているものです。高血圧、糖尿、高脂血症、痛風……。新規の生命保険には加入できないか、加入できても割高の保険料を請求されます。

ところが団体扱いの生命保険にはその制約がありません。極端な話、現在癌にかかっている方や生活習慣病の治療を受けている方でも普通に加入できてしまいます。持病をお持ちの社長様にはピッタリではありませんか。