2015年度 中小企業者関連 税制ガイド2015年度 中小企業者関連 税制ガイド

概要

法人税減税、少額減価償却資産の特例、グリーン投資減税、etc.

法人税の軽減税率「15%」2年間延長
投資関連減税が充実、設備増強の好機

2015年度(平成27年度)の与党税制改正大綱が、昨年12月30日にまとまった。アベノミクス「第3の矢(成長戦略)」の柱と位置付ける法人税減税が決まり、国税と地方税を合わせた実効税率は2.51%に引き下げられた。この税収減を別の増税で穴埋めする代替税源が求められる厳しい状況だったが、拡充や延長措置が講じられたという。拡充・延長された施策に前年度からの継続税制を加えた2015年度中小企業「税制」は、それなりに充実したものとなりそうだ。なお、本稿は税制改正大綱ベースの解説であり、最終決定や詳細は通達や省令を確認すると共に、具体策は必ず税理士や会計士などに相談してほしい。

2015年度における中小企業に関連した主な税制には、改正税制と前年度からの継続税制を合わせて11項目が並んだ。以下、各税制の概要やポイントを見ていく。詳細については図表を参照してほしい。

■2015年度改正の注目税制

法人税減税

2015年度税制の目玉は、やはり法人実効税率(法人税に法人住民税などの地方税を加味した実質的な税負担率)の引き下げを背景にした法人税減税だ。

税法上の中小企業(資本金1億円以下)に適用される法人税体系は下表の通り。年800万円を基準に、これ以下の所得金額部分については租税特別措置法により税率15%が適用される。2015年3月末までの時限措置だったが、今年度改正で2年間の延長措置として大綱に盛り込まれた。

さらに、法人実効税率引き下げにより年800万円を超える所得金額について、従来の25.5%から23.9%へ軽減されることになる。

また、法人税減税分の穴埋め財源として、外形標準課税(赤字でも企業規模に応じて課される税)の規模が拡大される。

現在、同課税は資本金1億円以上の企業に適用されているが、これを税法上の中小法人にも導入するという議論がある。今改正では見送られることになりそうだが、引き続き検討事項となっており、その動向には注視しておきたいところだ。

■図 2015年度の法人税率

対象 法人税法における税率 租税特別措置法における軽減税率
中小企業等
(資本金1億円以下の法人)
年800万円以下の所得金額 19% 15%
年800万円超の所得金額 23.9%
大企業(資本金1億円超の法人) 所得区分なし 23.9%

■投資関連の減税制度/小規模投資

少額減価償却資産の特例
商業・サービス業・農林水産業活性化税制

投資減税では投資規模や対象設備などにより、使い分けが必要だ。この2制度は適用要件のハードルが低いので、小規模企業や個人事業者にも使いやすい減税策である。

少額減価償却資産の特例は、青色申告を行う税法上の中小企業(資本金1億円以下)や個人事業者などに適用される減税策だ。30万円未満の設備を購入して年度内に事業用として使い始めることで、年間で合計300万円まで全額を損金算入できる。

機械類はもちろん、PCやカラー複合機、プロジェクター、ソフトウエアなど様々な設備が対象だ。

前年度改正で2年間の延長措置が講じられた継続税制なので、2016年3月末まで適用できる。2014年度決算を控えた企業は、限度額をフルに使った上で次年度を迎えるなど、賢く活用して設備資産の充実を図りつつ節税にも取り組みたい。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制は、2014年度末までの時限措置だったが、今改正で一部要件が見直された上で2年間延長される。

減税内容は以下の通り。商工会議所や認定経営革新等支援機関などの専門機関に相談。その助言に従い行った設備投資に対して、30%の特別償却か7%の税額控除(控除適用は資本金3000万円以下)を選択適用できる。

同減税策は、小規模事業者や個人店舗などの消費増税対策に配慮した制度だ。「顧客満足や集客力アップにつながる設備や器具を導入して、増税前に店舗の魅力向上や効率化を促すことを目的としている」(中小企業庁財務課)。

このため、対象となる設備は照明やトイレ、冷暖設備、椅子などの「快適な空間やサービスの実現により集客効果を高められるもの」とされている。今改正では延長措置と共に、これまで以上に経営改善に効果的な設備であることが求められ、この点を申告書に添付すべき書類で明確にすることが必要となりそうだ。

■投資関連の減税制度/大規模投資

中小企業投資促進税制、生産性向上設備等投資促進税制、グリーン投資減税、研究開発税制

この4項目は、比較的規模の大きな投資に適した減税策だ。まず、中小企業投資促進税制は、前年度からの継続税制である。

基本の制度設計は、機械装置や電子計算機などの対象設備を導入した場合、30%の特別償却か7%の税額控除を選択適用できる仕組みだ。

この中小企業投資促進税制については、前年度改正で「上乗せ措置」が講じられた。「先端設備」と認定された対象機器を導入した場合や、生産ラインなどの改善につながる設備を導入した場合に、即時償却か10%の税額控除(控除適用は資本金3000万円以下)かを選択して適用できる制度である。

詳細は表を参照してほしいが、見ての通り先端設備の要件はやや複雑だが、認定作業は設備メーカーや工業会などが行い、証明書を発行してくれる。減税の適用を受けたい中小企業等は、申告時にそれを提出すればいいので実務負担は少ない。

生産性向上設備等投資促進税制は前年度改正で創設された施策だ。生産性を向上させる先端設備の導入や生産ライン改善につながる設備投資を行った場合に、即時償却や税額控除の適用を受けられる。

適用要件などの仕組みは、前述の中小企業投資促進税制の上乗せ措置とほぼ同じだ。このため、まずは税額控除などの優遇措置が中小法人に手厚い中小企業投資促進税制の適用を検討することがポイント。これに対して、生産性向上設備等投資促進税制は対象機器が幅広く、中小企業投資促進税制には含まれないLED照明や冷凍器付陳列ケースなども扱う。

導入したい設備が中小企業投資促進税制にない場合は、生産性向上設備等投資促進税制を適用するといった考え方がよい。

グリーン投資減税は、太陽光発電や電気自動車などの省エネ設備投資に対して、30%の特別償却か7%の税額控除を選択適用できる制度だ。

2015年3月末で終了予定の同減税の即時償却措置については、「対象資産から太陽光発電設備を除いて1年延長する」とされた。

風力発電設備などは引き続き即時償却が可能だが、太陽光発電設備は30%の特別償却(または7%の税額控除)となる。なお、適用要件などは変わらない見通し。

また、研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)は、2015年度改正で大学や企業間など産学連携を促進する方向性に制度改正された(制度設計の概要は下図参照)。

これまで「総額型」に含まれていた特別試験研究費(産学連携などによる共同研究費)を別枠化し、控除率を現行12%から30%(一部20%)に引き上げる。さらに、対象の研究費用として企業からの知財権使用料が追加される。

■投資関連の減税制度/その他

所得拡大促進税制の拡充
交際費課税の特例

人的投資制度として位置づけられる所得拡大促進税制は、国内勤務の従業員給与などを増加させると、増加額の10%を税額控除できる制度。2015年度改正では、着実に賃上げに取り組む企業のサポートを目的に、拡充措置により要件が緩和される。

同制度では基準年(2012年度)から一定割合以上での支給額増加が要件とされている。現行では、2016年度以降で5%増が求められるが、改正により3%へと増加要件が引き下げられる。従業員給与には金額の増減を調整しやすいボーナスや残業手当、パート・アルバイトの給与も含まれるので、経営状況を考えながら柔軟に対応して節税にいかしたい。

取引先などとの円滑なコミュニケーションを図る投資といえば、交際費だ。前年度改正で拡充・延長された交際費課税の特例は、2016年3月末までの継続税制である。

税法上の中小企業は、「定額控除限度額800万円までの交際費を損金算入」と「支出した飲食費の50%を損金算入(上限なし)」のいずれかを選択適用できる。年間交際費が1600万円を超える場合は後者が有利。医薬品メーカーなど交際費が多い企業で高い減税効果が期待できる。

■その他税制改正

事業承継税制
外国人旅行者向け消費税免税店の拡大

この2制度も、2015年度改正で制度が変更される見通しだ。

事業承継税制は、事業後継者(2代目)が先代経営者(1代目)から生前贈与された非上場株式について、一定の要件を満たした場合に、納税義務が猶予される制度である。

現行制度では、贈与を受けた2代目が、先代経営者が存命中に3代目に株式を贈与すると2代目に納税義務が発生する。これを、スムーズな経営権の引き継ぎを実現するため、「1代目存命中に2代目から3代目へ株式贈与した場合も納税義務が免除となる」ように制度改正を行う。

要件緩和により、例えば、先代経営者と息子との間に2代目経営者として番頭など第三者をはさんで承継させるといったことが可能となる。

今改正では、外国人観光客の増加や2020年の東京オリンピック開催を背景に、外国人旅行者向け消費税免税店の拡大措置も講じられる。

現行、免税手続きは個別店舗ごとに対応しなければならないが、小規模店舗にとっては事務処理や外国人対応など負担が大きい。そこで、「免税販売関連の手続きを第三者に委託(ワンストップ化)できる」ように制度を改正。これにより、商店街やショッピングセンター内にカウンターを設置して、免税手続きを一括処理するといったことが可能となり、規模の小さい店舗でも免税品が扱いやすくなる。