商品研究国際家電見本市「IFA2015」レポート1

国際家電見本市「IFA 2015」レポート1

International Funkausstellung Berlin 2015

家電業界変革の兆し!?
近未来のライフスタイル提案が主軸

「IFA2015 国際コンシューマー・エレクトロニクス展」

  • 期間:2015年9月4日~9月9日
  • 会場:ドイツ・ベルリン国際見本市(メッセ・ベルリン)
  • 総展示面積:14万9500㎡
  • 出展者数:1645社
  • 来場者数:24万5000人
  • 会期中取引額:43.5億ユーロ

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IFA2015は、昨年を上回る出展者と来場者数を記録し、
過去最大規模の大盛況となった

昨年に続き過去最大規模を更新

雑多な宝箱――コンシューマ・エレクトロニクスやホームアプライアンス、通信機器など多彩なカテゴリーから新製品が集うIFAをひと言で表現すると、そんなイメージだ。

第55回を迎えた「IFA2015」ではウエアラブル機器にスポットを当てたエリアの特設や、近未来を視野に入れた研究成果や製品を発表するIFA TechWatchゾーンではスタートアップ企業によるサービスや製品の特別展示など、さらに扱う領域の拡大に拍車がかかった。

また、様々な分野の有識者が未来を語り合い成長の展望を描くことを目的に、昨年からスタートしたトーク&ディスカッション形式の併催イベント「IFA+Summit」には、京都大学の新熊亮一准教授が登壇。同カンファレンスで日本人初の参加者として「ビッグデータ」をテーマに語った。

大手メーカーから小規模事業者まで、世界各国からベルリンの地に集まった出展者は1645社。来場者も24万5000人に達するなど、昨年に続き今年も過去最大規模を更新した。

価値訴求型の展示が増加

例年のIFAでは、メーカー各社が最新製品を競うように展示し、先端技術や機能を前面にアピール。ここ数年は、特にテレビが来場者の注目を集めてきた。今年も4Kや8Kに加えて、有機EL、HDRといったキーワードで新製品が並ぶ構図は基本的には変わっていない。

だが、こうした傾向に変化が見られたことがIFA2015の特徴だ。具体的には、展示の主軸が「IoT(Internet of Thing:物のインターネット)」製品や「コネクティッド・ホーム」などによるライフ提案型の価値訴求にシフトしたのである。
実際、会場では数多くのメーカーが冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの白物家電をはじめ、健康家電、調理家電、さらには自動車まで、様々な機器がインターネットにつながることを前面にアピールすると共に、新しいライフスタイルを提案していた。

特にIoTを前面に展開したのが、韓国サムスンだ。展示スペース中央に専用コーナーを確保し、同社家電と昨年夏に買収した米国スマートシングスが持つホーム用ネット連携サービスとの組み合わせで実現される新しい生活スタイルを提唱した。

製品では、センサーで睡眠状態をチェックして健康管理を行う「SLEEP sense」や、スマートウォッチの新製品「Gear S2」などを展示。S2の通信機能を利用し、車載システムやホームアプライアンスなどと連携するサービスも紹介していた。

この他、韓国のLG、中国のHisenseやハイアール、トルコのVESTELなども専用コーナーを設け、ITが融合する生活スタイルを積極的にアピールした。

パナソニック&ソニーが存在感

日本メーカーでは、欧州市場でのシェア拡大に力を入れるパナソニックが、「Future Lifestyle」をテーマに2020年前後を想定した近未来の生活像を提案。ITと家電の融合により実現される「憧れの暮らし」を、コンセプト展示として4つの生活シーンから表現した。

例えば、キッチンではタブレット型パーソナルキッチンスクリーンを中核とし、ベッドルームやリビングの家電製品とのネット連携から得た情報を元に家族の健康に適したレシピ提案を行うクラウドサービス、コードレスキッチン家電やフリースタイルIHクッキングヒーターなどの先進調理家電を紹介。「自宅にプロのシェフと栄養士がいるかのような食生活」の実現を提案した。

ソニーは、現状の空間をそのまま活用して新しい体験を創出するというコンセプトを掲げた「Life Space UX」専用の展示コーナーを設置。

日本では2016年春頃の発売を予定する製品として、設置の自由度が高いバッテリー駆動型「ポータブル短焦点プロジェクター」や、LED電球スピーカーの技術をベースにした「シンフォニックライトスピーカー」などを参考展示し、空間演出や情報共有などのライフ提案を行った。

出展メーカーが価値訴求に重きを置いた展示へとシフトしている背景には、世界規模で家電の需要が飽和しつつある中、技術や機能を前面に機器単品を売るビジネスが立ち行かなくなってきたことがある。今年のIFAは大盛況ながら、そうした変化の兆しを垣間見られるものとなった。