2016年度中小企業関連「税制」解説増税基調が強まる中、前期に続き設備投資減税が充実

2016年度 中小企業者関連 税制ガイド1

固定資産税で初の減税策を創設

「少額減価償却資産の特例」が延長!

2016年度(平成28年度)の与党税制改正大綱がまとまった。

消費増税を控え軽減税率が話題を集めるが、中小企業や小規模事業者向け「税制」では新たに創設、拡充・延長された制度と前年度からの継続施策により、減税幅を確保。設備投資関連を中心に充実したものとなりそうだ。

なお、本稿は税制改正大綱ベースの解説のため、最終決定や詳細については通達や省令を確認すると共に、具体策は必ず税理士や会計士などに相談してほしい。

中小企業に関連した2016年度税制は大きな改正こそないが、前年度からの継続施策を中心に積極的な投資に取り組む中小企業などには減税効果が期待できそうだ。
以下、概要やポイントを見ていきたい。

創設・拡充・延長税制

「固定資産税の特例」
「法人税引き下げ」
「減価償却方法の見直し」

延長や継続税制が大半を占める中で、新たに創設されるのが固定資産税の特例だ。

これは、「中小企業が取得する新規の機械装置について、3年間は固定資産税を2分の1に軽減する」という制度。固定資産税で設備投資減税が講じられるのは初めてのことで、赤字決算の中小企業にも大きな効果が期待できるという。

根拠法の策定など具体的な仕組みづくりはこれからだが、概要は図1の通り。根拠法に基づき作成した経営力向上計画書により事業所管大臣から認定を取得し、計画書に従い導入した設備に軽減措置が適用される。

対象の設備には、後述の「生産性向上設備投資促進税制」などとほぼ同じ要件が適用される方向だが、中小企業への配慮から「最新モデル」要件を除外。「160万円以上」「生産性1%向上(10年以内に販売開始)」といったことが求められそうだ。

固定資産税は地方税、生産性向上設備投資促進税制などは国税の特例なので、両制度は併用が可能だ。うまく活用することにより、減税効果も大きくなるだろう。

適用期間は、3年間(2019年3月末まで)。根拠法の施行日以降に取得した設備が対象となるようだ。

法人税引き下げは、2015年度税制からの拡充だ。法人実効税率(法人税に法人住民税などの地方税を加味した実質的な税負担率)の引き下げ実現を目指し、前年度に法人税は23.9%となった。

これが、今改正でさらに引き下げられる見通しで、2016年度23.4%、2017年度には23.2%まで軽減される。

税法上(資本金1億円以下)の中小企業には、所得金額800万円以下について税率15%が適用される(2017年3月末までの時限措置)。これを超える部分に対して、新たな法人税率として2016年度は23.4%が課税されることになる。

投資関連では、「少額減価償却資産の特例」と「交際費課税の特例」に加えて、「グリーン投資減税」が2年間延長される。これらは後述したい。

減税策が講じられる一方で、求められるのが代替税源だ。今改正でも様々に議論され、経済に影響が少ない制度に絞って増税による財源確保が行われる。その1つが、減価償却方法の見直しだ。

減価償却制度とは、建物や機械といった資産の取得に要した費用を、数年にわたって経費化するもの。

現行制度では、建物(定額法のみ)を除く資産について定額法か定率法を選択して適用できるが、節税の観点から定率法をとる企業が多い。

今改正では、「建物付属設備・構築物について減価償却方法が定額法に一本化」される。定率法よりも初年度に費用化できる金額が少なくなるので、結果として課税所得が増加するわけだ。

付属設備や構築物の内容は具体的に示されていないが、「建物の構造によってはパッケージエアコンや照明なども含まれる可能性がある」(税理士)だけに、動向を注視したい。

また、資本金1億円以上の企業に適用されている外形標準課税(赤字でも企業規模に応じて課される税)を、税法上の中小企業にも導入するという議論がある。今改正では見送られることになりそうだが、引き続きの検討事項とされている。

図1 「固定資産税の特例」の概要

■投資関連減税/小規模向け(表1

「少額減価償却資産の特例」
「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」

減税制度として使いやすいことから、適用社数や金額が年々増えているのが少額減価償却資産の特例だ。前述したように2年間延長される。

30万円未満の設備を購入して年度内に事業用として使い始めることを要件に、年間で合計300万円まで全額を損金算入できる。機械設備、PCや複合機、プロジェクター、ソフトウエアなど様々な設備が対象だ。

この1月から始まったマイナンバー対策機器や、2017年4月に予定されている消費増税への対応設備導入などに有効に使いたい。

なお、今改正で従業員1000人超の中小企業は適用対象から除外される。

小規模事業者や個人店舗などの消費増税対策に配慮した支援制度が、商業・サービス業・農林水産業活性化税制。前年からの継続税制だ。

商工会議所や認定経営革新等支援機関などの専門機関に相談し、その助言に従って導入した設備に対して特別償却30%か税額控除7%(控除は資本金3000万円以下が要件)を選択適用できる。

「顧客満足や集客力アップにつながる設備や器具の導入により、店舗の魅力向上や効率化を支援する」(中小企業庁財務課)ことが目的で、対象設備は照明や冷暖設備、椅子など「快適な空間やサービスにより集客効果を高められるもの」と規定されている。

実務では、経営改善に効果的な設備であることを申告時の提出書類で明確にすることが必要だ。

表1 2016年度投資関連減税/小規模向け