太陽光発電の新たな可能性高騰する再エネ発電賦課金
防御策として有力視される「蓄電池」併用システム

太陽光発電の新たな可能性

2月9日、政府は再生可能エネルギーによる固定価格買取制度(FIT)の改正案を閣議決定した。

これは「電源間でのバランスの取れた発電設備導入の促進」や「国民負担抑制のため、コスト効率的な導入の促進」及び「効率的な電力の取引・流通の実現」などを目的としたもの。2017年4月の施行を目指している。

2012年7月からスタートしたFITにより、この3年間で約23ギガワットもの再生可能エネルギー発電設備が稼働した。

そして、その9割が出力10kW以上の産業用太陽光発電設備だ。

太陽光発電は他の再生可能エネルギー発電(地熱・風力・バイオマス・中小水力)と比べて、設置が容易で工期も短いことから、急速に普及が進んでいる。

ただし、太陽光による発電は日中のみに限られる。しかも、天候の状態により発電量が安定しないという課題もある。

一昨年、九州電力などが新たな買い取りを一時中断して話題となったが、これも太陽光発電による不安定な電力供給の拡大が、既存電力網に与える今後の悪影響を懸念したもの(これについては出力制御義務の導入で決着をみている)。

こうしたこともあり、政府は太陽光発電に偏っている現状の是正を重視し、改正案を閣議決定したわけである。

今後の方向としては、例えば地熱など電力の安定供給が見込める設備の導入を促進する施策が、新たに講じられることになるようだ。

また、産業用太陽光発電の新設に対する新たなハードルとして、大規模案件から入札制の導入を目指すとしている。

詳細はまだ明確ではないが、例えば朝日新聞は2015年11月14日付け紙面で、入札制度について次のように予想・解説している。

「事業用太陽光の買い取り価格は、発電コストが低い事業者を基準に決めるように改める。

その価格での年間導入量が想定を超えた場合、翌年度は国が導入量を決めて入札にかけ、価格が安い業者から順に落札する仕組みにする。

導入量がどの程度なら入札に切り替えるかは今後詰める」

入札制度が新設へのハードルを高めることは確かだろう。

これと同時に入札制度には、高騰を続ける賦課金を抑制する狙いもあるようだ。

ある関係者は次のように話している。

「入札制度の導入で、産業用太陽光発電の新設に対するハードルを高め、電力供給量の伸びを抑制する。

同時に新規の電力買い取り額の引き下げも実現可能となるため、賦課金単価の伸びも抑制されるだろう」

周知のようにFITでは電力会社に、再生可能エネルギー設備からの電力の買い取りを義務づけている。

そして、その買い取り原資を電力需要家(契約顧客)から賦課金として徴収することを認めている。

これは全国民が原資を均等に負担することで、再生可能エネルギー発電設備のスムーズな拡大を実現するためである。

このため賦課金単価は、再生可能エネルギー発電設備の拡大と共に、毎年急速にアップしている(図1)。

2015年度は1kWh当たり1.58円だが、これは前年度比で2倍強、FITがスタートした2012年度比では7倍以上の伸びである。

一般の電力ユーザーには、賦課金単価に毎月の電力使用量をかけた金額が、再エネ発電賦課金として請求されている。

図2の例でみれば請求された再エネ賦課金は922円。

これは総支払額の5.5%に相当する。

この負担割合をどう考えるかは、意見が分かれるだろう。

明らかなことは来年度以降、賦課金単価のさらなるアップが避けられないこと。

このため、再生可能エネルギー発電の普及に対する国民負担の議論が、活発化してくることが確実視されている。

図1 賦課金単価の推移

図2 電気料金の請求内訳例

###田淵電機の蓄電池提案
賦課金に関する政府動向には今後とも注視する必要がある。

だが、それとは別に一般電力ユーザーが自力で防衛するための施策として、近い将来の実現を期待されているのが「太陽光発電設備と蓄電池ユニットを組み合わせた設備の普及」だ。

太陽光発電はこれまで「FITによる売電を主目的とする設備」との認識が一般的だった。

だが、蓄電池を組み込むことにより「エネルギーを自給自足するための設備」として大きく変貌することになる。

暮らしぶりを変えることなく、電力会社への支払額を極力減らし、地球環境にも最大限の貢献をしよう、との考え方である。

まずは住宅用の10kW未満設備での提案が、活発化することになりそうだ。

例えば家庭用にエネテラス・インテリジェント・バッテリー・システム「アイビス」を商品化している田淵電機では、蓄電池の活用について、シチュエーション別に三つの提案をしている。

62-01

エネテラス・インテリジェント・
バッテリー・システム「アイビス」

1.ノーマルモード

これは太陽光発電の発電中は余剰電力の売電を優先的に行い、夕方の家庭内負荷電力が高まる時間帯は蓄電池からの放電電力を自家使用。
そして電気料金が安い深夜に充電を行うもの。余剰売電と電力購入のバランスを重視したモードである。

2.節エネモード

これは太陽光発電の発電中に、蓄電池の充電を行い、その余剰分のみを売電するもの。
夕方以降は蓄電池の放電電力を使用し、蓄電池では不足する電力分のみを購入する。電力の自給自足を優先的に行い、電力購入を最小限とするモードである。

3.蓄電モード

万が一の災害や停電等に備えて、昼間は太陽光で充電し(その余剰分は売電)、夜間も電力会社から買電することにより、常に蓄電池を満充電に保つモードである。

どのモードが最適であるかは、ライフスタイルやエネルギーに対する考え方などで異なるだろう。

いずれにしても、電力の自給自足を高レベルで実現することは確かである。

アイビスの蓄電池ユニットは最大2.0kVaの電力を安定供給可能だ。

非常時にも冷蔵庫(50W)を24時間稼動し、照明器具(50W) を1日4時間点灯した上 で、テレビ(150W)やパソコン(30W) なども1日数時間使用する生活が約3日間継続できる1

しかも、電力を分電盤に供給するため、コンセントのつなぎ替えなしに複数の機器を使用できる。

田淵電機営業推進本部の黒肱正彦統括は、「当社はパワコンだけでなく、蓄電池の制御技術にも10年以上前から取り組んでいる」といい、「この技術を機軸とした新商品を積極展開することで、太陽光発電の新たな可能性を提案する」と語っている。

蓄電池については現状、「コストが高く時期尚早」との声が多いことは確かだ。だが、この課題は時間と共に解決される。

そしてその時間は今後、急速に早まるはずである。