商品研究2 プロジェクター半導体光源と水銀ランプを徹底比較
ヘビー用途にはハイブリッド型が好適

概要

  • 光源の半導体化が進むも、普及クラスやスタンダード機の主流は水銀ランプ
  • 半導体光源のメリットは長寿命、低消費電力、日常的な使い心地のよさ
  • LED、ハイブリッド型、レーザー光のそれぞれにも特徴
  • 使用機会が少なくランプ交換が不要なら、水銀ランプ搭載機がお勧め

プロジェクター光源に水銀ランプではなく、LEDやレーザーといった半導体方式を採用するモデルが増えている。

すでにカシオやNEC、ソニーなどは半導体光源を採用したモデルを製品化。さらに2016年3月には、ビジネスプロジェクターで国内シェアトップのエプソンが、レーザー光源を採用した業務用モデルを発表した。

今回、エプソンが発表したビジネスプロジェクターは、大会議室やホールなど向け6000~2万5000lmの常設モデルだ。一般的なビジネスユースのモデルでのレーザー採用については、「現時点では未定」(エプソン)としながらも、「いずれはそうした方向性に向かうだろう」(同前)とのこと。

また、水銀を使用した製品を規制する「水俣条約(水銀に関する水俣条約)」では、特殊用途としてプロジェクターの水銀ランプは規制対象外だが、「環境意識が高まる中で水銀から自然にやさしい方式へ移行していくのは必然」とメーカー関係者は口を揃えており、流れは半導体光源化に向いているといえそうだ。

とはいえ、コストや技術的な課題から、一気に半導体光源が水銀ランプに取って変わるというわけではない。そうなると、半導体光源モデルと水銀ランプ搭載モデルの混在する状況が当分は続く。
そうした中では、光源の違いによる長短所を理解することがプロジェクターの賢い活用につながるはずだ。以下、詳しく見ていこう。

長寿命、省エネ、操作性に利点

まずは、半導体光源だ。現在、製品化されているものは、「LED」「ハイブリッド型」「レーザー」の3タイプ。

いずれも光源としての基本的なメリットは、長寿命と省エネ性に優れていること。その光源寿命は約2万時間とされ、一般的な水銀ランプの約4倍にもなり、その分だけランプ交換のコストや手間を削減できる。

実は、半導体光源には日常的な操作面でもメリットがある。液晶テレビなどのように、気軽に電源スイッチのオンオフが可能なことだ。会議などではプロジェクターを使わない時間帯もあるが、この時に電源を落としても使用時には電源オンですぐに使えるので、使い勝手のよさを実現しながら省エネにも役立つ。

メリットの多い半導体光源だが、ネックは導入価格といえる。普及クラスの水銀ランプ搭載機では実売3万円台で購入できるモデルもあるが、半導体光源モデルの価格はその数倍だ。

いずれを選ぶかは、どれだけプロジェクターを使うかによる。水銀ランプ搭載モデルでは、使用頻度が多いほどランプ交換の回数が増え、ランニングコストまで考えると半導体光源を上回る可能性がある。

日常的に会議や授業などで長時間使うケース、プロモーションや販促といったデジタルサイネージ的な用途などでは、半導体光源モデルを活用した方がTCO(購入から廃棄までの総費用)を低く抑えられるだろう。

半導体光源にも個々に特徴

前述したように、半導体光源にもタイプがある。LEDプロジェクターは文字通り、発光ダイオードを光源として搭載したもの。2006年頃から登場した技術だが、国内大手では2011年9月にNECが同社初のLED光源採用モデルを発売した。

LEDは、ランプ内の水銀をヒーターで蒸発させてガス化し放電発光する水銀ランプと違い、あまり電力を消費しない。ランプの発熱も少なく、筐体サイズを小型軽量化できる。

デメリットは、LEDだけでは輝度を上げにくいこと。実際、ラインアップの多くで低輝度が主流であり、同タイプをけん引するNECでも1000lm機に留まる。ただし、色再現性に優れるLEDは輝度が低くとも発色が鮮やか。画面の明るさが違うので単純比較はできないが、「1000lmのLEDと2600lm前後の水銀ランプでは発色の点で同等」(NECディスプレイソリューションズ)。

低輝度は、照明を落とすか外光を遮って対応するか、それが難しい場合には投写サイズを40インチ程度に抑えることが実用上のポイントという。

輝度を出しにくいLEDのデメリットを補い、省エネと高輝度を両立したのが「ハイブリッド型」だ。

具体的には、カシオが2010年に開発した技術でLEDとレーザー光を併用したもの。赤色に高輝度LED、青色に半導体レーザーを利用し、緑色は青色レーザー光を蛍光体に当てて変換することで、RGBの3原色が構成されている。

ハイブリッド型は、半導体光源の中で最もラインアップが充実しているカテゴリーだ。エントリーやアドバンスドなどの各クラスが揃い、明るさも2500~4000lmと幅広い。エントリー機は価格もこなれてきており、水銀ランプ搭載モデルで1度でもランプを交換することを考えると、同社のハイブリッド機を選ぶ方がトータルコストでは経済的かもしれない。

また、レーザーは半導体光源としては最も新しい方式。文字通り光源にレーザー光を利用しており、長寿命や低消費電力、高輝度などが特徴だ。

国内では、2013年夏にソニーが業務向けで4000lmモデルを初めて製品化。以後、2015年頃から6000lm以上の高輝度カテゴリーでエプソンをはじめ、NECや日立などが相次いでレーザー光源搭載プロジェクターを発表している。

ネックは、LEDに比べてパーツが数倍も高いことや小型化が難しいことなど。主にハイエンド機での搭載が先行する理由もここにある。レーザー光源を搭載したスタンダードモデルの登場は、先のことになりそうだ。

高輝度&低価格が魅力

一方、プロジェクター光源としての主力は、まだまだ水銀ランプだ。メリットは高輝度化しやすいことと、長く使われてきて確立した光源技術だけに本体コストを抑えやすいことといえる。

実際、店頭には実売5万円以下で購入できる3000lmクラスの水銀ランプ搭載モデルが並ぶ。明るい環境下で投写したいというニーズが高まっており、高輝度モデルを低価格で導入できることは同タイプの強みだろう。

だが、水銀ランプは使用による経年劣化が大きく、一般的に光源としての寿命は2500時間~5000時間程度とされる。実際の寿命は使用環境により変わるが、時期が来ればランプを交換しなければならない。

しかも、光源寿命は輝度が半減するレベルと定義されており、寿命後半にもなれば投写品質の低下は避けられない。画質を優先するなら、交換サイクルはもっと短くなるわけだ。

このため、プロジェクターの使用時間が長いほどランニングコストもかさむことになる。とはいえ、逆に見れば「プロジェクターは必要だが使う機会は少ない」という場合には、水銀ランプは優れたコストパフォーマンスを提供してくれる。

プロジェクターの償却耐用年数は4~5年。この期間、光源交換なく使えるならば、水銀ランプ搭載機がお勧めだ。エコモード(ランプ出力を変更できる機能)などを駆使して、ランプ寿命を延ばすことも可能なので、節電への取り組みも兼ねて賢く使うとよい。

いま一度、プロジェクターの用途や使用環境を見直して、TCO削減の視点から最新モデルを導入してはいかがだろうか。

<表:主な半導体光源と水銀ランプを搭載したモデルの概要>

種類 概要
LED 発光ダイオード(LED)を光源としたプロジェクター。半導体光源としては最も早く採用されたもので、光源からの発熱が少なく筐体サイズを小型軽量化できる。輝度を上げにくく、製品ラインアップも低輝度モデルが主流だ
ハイブリッド型 LEDとレーザー(LD)を組み合わせた光源を採用したプロジェクター。カシオが2010年に開発した技術だ。エントリーから上位クラスまで、製品ラインアップが最も充実している。日常的にビジネスで使う用途では、ハイブリッド型と水銀ランプを比較してTCOを考えながら選択するのが現実的である
レーザー レーザー(LD)のみを光源として採用したプロジェクター。半導体光源としては最も新しい。LEDに比べてパーツが高価なことや技術的な点から、現状では主に常設型の高輝度クラスで採用が進んでいる
水銀ランプ 水銀ランプを光源に採用したプロジェクター。高輝度化しやすく、長年の技術だけに本体コストを抑えやすい。経年劣化が大きく、2500~5000時間ごとにランプ交換が必要となる。ランプ交換が不要という程度の使い方ならコストパフォーマンスは高い。

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エプソンが3月に発表したレーザー光源搭載の業務用常設型プロジェクター「EB-L25000U」。輝度2万5000lmは3LCD方式で世界最高光束という