「法・制度」解説2016年度中小企業関連補助金ガイド販路開拓や新規事業開発向けが充実
軽減税率対策補助金の受付は継続

PART1 補助金・助成金とは

補助金・助成金とは、国や自治体が掲げた政策目標(施策事業)の実現を目的に、その事業に取り組む企業や個人事業者、民間団体などに対して給付されるもの。基本的に、条件を満たしていれば返金不要の資金だ。補助金としてひと括りにされることも多いが、補助金とは主に経済産業省が所管する施策事業をベースに給付されるものをいい、産業活性化を目的とした資金的支援を指す。

中小企業や小規模事業者向け施策では、2016年度だけでも下表の通り様々な事業で予算取りされている。注目の補助金制度については、PART2で解説しているので、そちらを参照してほしい。

また、補助金では各施策に沿った事業計画書の策定、認定や審査などを必要とするものが多く、公募期間も短めだ。予算の範囲で何度か公募が行われるケースもあるが、一般的に回を重ねるごとに条件が厳しくなり応募事業者も増える傾向があるという。申請を検討する場合、早めの準備と公募開始期間、補正予算の動向などの定期的チェックがポイントだ。

一方、助成金は厚生労働省が所管する事業に基づいて給付される資金のこと。雇用を促進(助成)することが目的のため、労働者の雇用や教育訓練、福利厚生の充実などに関連するものが多い。

助成金には、経済産業省が管轄する補助金のように、事業計画書などによる認定や審査などはなく、要件を満たすことで給付が受けられることが一般的だ。申請期間も比較的長いことが特徴である。

<表:2016年度中小企業・小規模事業者関係予算>

1. 被災地の中小企業へのきめ細かな支援

事業名 2016年度当初予算 2015年度補正予算
○中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(グループ補助金)
被災3件の津波浸水地域や福島県の避難指示区域などを対象に、中小企業を含むグループが作成した復興事業計画に基づいた施設の復旧や整備等を支援する
290億円
○被災中小企業等への資金繰り・事業再生支援
日本政策金融公庫の「東日本大震災復興特別貸付」による低利融資等や、「産業復興相談センター」における相談受付、再生計画策定支援等を実施。
182.6億円
◇自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金
福島県の避難指示区域等を対象に、工場や商業施設をはじめ、店舗、社宅等の新増設を行う企業を支援
320億円

2. 中小企業の生産性向上支援

事業名 2016年度当初予算 2015年度補正予算
○ものくづり・商業。サービス新展開支援補助金(ものづくり補助金)
中小企業の革新的な新商品・サービス開発、生産性向上のための設備導入を支援。特に、生産性向上に取り組む場合は補助上限額を引き上げると共に、設備投資を伴わない小規模な取組も支援。
1020.5億円
○戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(サポイン事業)
中小企業が大学等と連携して行う、革新的な研究開発やサービスモデル開発等を支援。
139.7億円
○中小企業取引対策事業
交渉ノウハウについて、普及や相談対応を行い、下請け等中小企業の価格交渉力の強化を支援。また、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用、官公需情報の提供等、取引の適正化を図る。
13.9億円
◇中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業
「設備単位」ごとの省エネ効果等で簡易に申請が行える制度を創設し、高効率な省エネ設備への更新を重点的に支援することで、中小企業等の事業の生産性や省エネ性能を向上させる。
442億円
◇中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業
革新的な技術シーズを事業化に結び付ける橋渡し研究機関(公設試等)と中堅・中小企業の共同研究を支援
11億円

3. TPPを活用した中小企業の海外展開支援

事業名 2016年度当初予算 2015年度補正予算
○農商工連携等によるふるさと名物の開発支援
農商工連携等により付加価値を高めた商品・サービスの開発や販路開拓等を支援。
40億円
◇農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築事業
我が国の農産品等の海外需要の創出・拡大のため、新たな輸送着技術の実証や販路拡大の取組等を支援
10億円
○中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業
海外市場獲得を目指す中小企業が行う、国内外展示会や商談会への出展等を支援
34.3億円
◇海外天下戦略等支援事業(コンソーシアム構築)
専門家による実務相談・海外戦略策定・販路開拓等の総合的な支援を実施
59.9億円
◇知財を活用した海外展開のワンストップ支援
中小企業や地域ブランドの海外展開を、先行調査から出願、侵害対策までワンストップで支援
19.7億円

4. 小規模事業者の持続的発展支援

事業名 2016年度当初予算 2015年度補正予算
○小規模事業者支援パッケージ事業(持続化補助金 等)
小規模事業者が商工会・商工会議所と一体となって取り組む販路開拓等の取組を支援。特に、海外展開や雇用増加等に取り組む事業者を重点的に支援。
100億円
○小規模事業対策推進事業
商工会・商工会議所が小規模事業者に寄り添って行う事業計画の作成支援等の推進。
51.6億円
○小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)
商工会・商工会議所の経営指導を受けた小規模事業者に対する低利融資を実施。
40億円

5. 地域経済の活性化・新陳代謝の促進

事業名 2016年度当初予算 2015年度補正予算
○中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業
中小企業の様々な経営課題を解決するため、相談窓口「よろず支援拠点」の拡充と専門家の派遣を実施。
59.7億円
○地域・まちなか商業活性化支援事業
商店街や中心市街地における外国人観光客の消費を取り込むための環境整備等の取組を支援すると共に、商業施設の整備や空き店舗への店舗誘致等のモデル性の高い取組を支援。
30.3億円
○中小企業・小規模事業者人材対策事業
ニーズに応じて多様な人材を発掘し、中小企業への紹介・定着まで支援。また、「職場定着支援助成金(*)」の対象拡大や「両立支援等助成金(*)」の拡充といった厚生労働省の関係施策とも連携して、人材不足等に悩む中小企業を支援。
18.1億円
○地域創業促進支援事業
産業競争力強化法の認定を受けた市区町村における創業者・第二創業者、創業支援事業者の取組を支援。また、全国で創業スクールを開催。
8.5億円
○中小企業の事業承継、事業再生支援
後継者問題を抱える事業者の事業引き継ぎの促進、財務上の問題を抱える事業者の抜本的な再生支援を推進。
58.4億円
◇地域中核企業創出・支援事業
新分野等に挑戦する事業者に対して、全国の大学や協力企業等とのネットワーク構築、ハンズオン支援を実施。
20.5億円

(*)厚生労働省計上の助成金で2016年度当初予算138.3億円

6. 事業環境の整備

事業名 2016年度当初予算 2015年度補正予算
○きめ細かな資金繰り支援
政策金融・信用保証制度による資金供給の円滑化
966.2億円(*1)
○消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業
転嫁Gメン474名体制で、円滑かつ適正な転嫁が行われるよう書面調査や取締りを実施
32.1億円
○消費税軽減税税率対策
2017年4月の消費税軽減税率の導入に伴う事業者の事務負担の増大に対応するため、レジの導入支援、受発注システムの改修支援、制度の周知、窓口相談対応等を実施
1165.8億円(*2)

(*1)うち財務省計上717.4億円 (*2)2015年度予備費995.8億円(うち財務省計上23億円/内閣府計上1億円)、2015年度補正予算170億円