「法・制度」解説2016年度中小企業関連補助金ガイド販路開拓や新規事業開発向けが充実
軽減税率対策補助金の受付は継続

PART2 2016年オススメ補助金

2016年度に小規模事業者や中小企業が利用できる補助金・助成金は、国による施策だけでも60近い制度が用意されている。その探し方などについてはPART3で解説している。ここでは2016年度重点施策の中から、小規模事業者などが比較的に使いやすい制度を、いくつか紹介する。

公募時期や期間、必要書類、条件といった詳細情報は適宜公開され、終了した施策でも補正予算により継続される場合もあるため、興味があるものについては管轄先などに問い合わせてほしい。

小規模事業者支援パッケージ事業(小規模事業者持続化補助金等)

小規模事業者の持続的な経営推進を目的とし、商工会や商工会議所の支援を受けて作成した経営計画に基づいて国内外で販路開拓に取り組む小規模事業者(注1)を支援する制度だ。

販路開拓の取り組みに要した費用の3分の2(補助率)、50万円を上限として補助金を受けられる。海外展開や雇用増、移動販売などによる買い物弱者対策などの取り組みは、重点支援とされ上限100万円に。また、複数事業者による連携の場合も補助額の上限が変わる。

具体的な取組例は幅広く、新規顧客層を取り込むために配布するチラシ作成に必要な広告宣伝費、集客力アップを目指す店舗改装費、国内外での商談会や展示会への出展費、新市場を狙った商品パッケージや包装紙のデザイン開発費、さらに、インターネットでの販路開拓を目的としたホームページ作成の費用なども支援される。

公募受け付けは、全国の商工会議所など。事業支援計画書の作成や、交付の依頼が必要となる。

(注1)小売業・卸売業:常時雇用従業員5人以下/サービス業:常時雇用従業員5人以下(宿泊業や娯楽業などは20人以下)/製造業・その他:常時雇用従業員20人以下
※2016年7月末時点、同年度の申請終了。追加公募の実施と時期は未定
※表_小規模事業者支援パッケージ事業(小規模事業者持続化補助金等)

ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金

革新的なサービス開発や試作品の開発、生産プロセスの改善に取り組む中小企業と小規模事業者の設備投資などを支援し、国内外のニーズに対応したサービスやものづくり新事業の創出を目的とした施策である。

金融機関や税理士などの認定支援機関(中小企業庁のHPに掲示)による全面バックアップを受けた事業であり、さらに「革新的サービス・ものづくり開発支援」と「サービス・ものづくり高度生産性向上支援」のいずれかに取り組むことが要件。規定のガイドラインや特定の基盤技術を活用するなど、満たすべき条件が複雑(下記の表参照)なため、認定機関による支援が要件に含まれている。

要件を満たした事業の設備投資に対して、「革新的サービス・ものづくり開発支援」は一般型1000万円/小規模型500万円(いずれも補助率は投資費用の3分の2以内)、「サービス・ものづくり高度生産性向上支援」は3000万円(補助率は同前)を上限とした補助金を受け取れる。

革新的サービス・ものづくり開発支援の小規模型とは、小規模事業者を重点的に支援するもの。中小企業と小規模事業者とも一般型/小規模型のいずれにも申請できるが、「小規模型に公募した小規模事業者は加点されるため、例えば中小企業の申請者と事業評価が同じ場合は有利に働く」という。

※2016年7月末現在、第2次公募受付中(2016年8月24日まで)。3次公募は未定
※表_ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金

中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業

省エネ設備の更新を検討している事業者に適した制度が、この「中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業」だ。一定の基準を満たした高効率な省エネ設備への入れ替えで、設備の購入費用が補助される。

LEDなどの高効率照明、高効率空調といった省エネ機器が対象で、購入する機器の設備費用に対する補助となる。設置に伴う工事費や据え付け費用、輸送費は対象外だ。補助金額の上限は1事業者あたり1億円、下限金額も要件として決められており、30万円(中小企業者・個人事業者でない場合は50万円)以上の設備導入が必要だ。

公募回数は年2回。1次公募はすでに終了しており、第2次公募については、1次公募者の採択発表後に実施される。

※表_中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業

JAPANブランド育成支援事業

連携した複数事業者が、自らの強みを最大限にいかして海外販路を開拓する取り組みを後押しする制度である。中小企業や小規模事業者などが連携し、自らが持つ素材や技術をベースに戦略を策定。この戦略に基づいた商品開発や海外見本市出展などのプロジェクトを支援する。

補助金の支給は「戦略策定」「ブランド確立」の段階ごとに実施。戦略策定段階では、強みの分析し明確なブランドコンセプトと基本戦略の立案を目的とした専門家の招へいや市場調査、セミナー開催などに200万円を上限に補助される。期間は1年間だ。

ブランド確立段階の支援は、策定した戦略をベースとした海外販路開拓への取り組み(専門家の招へい、新商品開発、海外展示会への出展など)に対し、2000万円を上限(補助率はプロジェクト費用の3分の2)に実施される。最大3年間で、単年度ごとに申請と審査が必要だ。

さらに、「プロデュース支援」も実施。海外ニーズなど現地の状況に詳しい外部人材を活用し、日本の技術や文化をいかした商材による海外需要獲得を目指す取り組みに対して定額補助が行われる。

過去の採択事例には、「甲州ワインのEU輸出プロジェクト」や「今治タオルプロジェクト」などがある。前者は、ワインの本場である欧州市場をターゲットに、日本固有の甲州ぶどうを原料とした「甲州ワイン」の世界的な認知と産地の確立、市場拡大を目指した取り組みで、海外プロモーションなどについて3年間にわたり継続支援を受けた。また、後者の今治タオルプロジェクトは、アートディレクターとして著名な佐藤可士和氏を起用し、海外でのブランディングに取り組んでいるという。

※表_JAPANブランド育成支援事業

下請中小企業・小規模事業者自立化支援補助金

「下請中小企業・小規模事業者の自立化支援」制度下で設けられている補助金制度。経営環境上で弱い立場にある下請中小企業や小規模事業者の自立化を支援する。

具体的な支援は、「下請中小企業自立化基盤構築事業」と「下請小規模事業者等新分野需要開拓支援事業」の2つ。下請中小企業自立化基盤構築事業は下請事業者が連携して経営基盤を強化する取り組みを支援することが目的で、勉強会や共同受注システム導入などの費用に対して、2000万円を上限(補助率は費用の3分の2以内)に補助を受けられる。

下請小規模事業者等新分野需要開拓支援事業は、親事業者の不振の影響を受けた下請事業者の新分野進出を支援。独自商品の試作開発などの費用の3分の2以内、500万円を上限に補助金給付が実施される。

下請中小企業・小規模事業者の自立化支援では、ここで紹介した補助金制度以外に「下請中小企業振興法に基づく支援」もある。主に下請中小企業の振興を目的としており、振興事業計画の策定や低利融資、一部補助金などの支援制度が用意されている。

※表_下請中小企業・小規模事業者の自立化支援

消費税軽減税率対策補助金

2017年4月の消費増税に伴い導入が予定されていた消費税軽減税率制度(複数税率)で、複数税率対応レジの導入や受発注システム改修などが必要な中小企業と小規模事業者を支援する制度だ。その導入は2019年10月に延期されたが、この補助金公募は継続される。

支援内容は、「複数税率対応レジの導入等支援(A型)」と「受発注システムの改修等支援(B型)」の2つがあり、補助金額や補助率などは下記表の通り。

A型は複数税率対応レジの新規導入や非対応レジの改修を補助対象としたもので、レジ本体に加え、バーコードリーダーやクレジットカード決済端末、電子マネーリーダーといったレジ機能に直結する付属機器なども対象となる。また、B型は電子的受発注システムをすでに利用している事業者が対象だ。

留意点は、申請方式が分かれていること。A型はレジ種類や対応方法(導入か改修か)により、「レジ導入型(A-1型)」「レジ改修型(A-2型)」「モバイルPOSレジシステム(A-3型)」「POSレジシステム(A-4型)」の4種類に分類されている。

B型は、受発注システムの改修などを指定事業者に依頼する(B-1型)か、事業者自身で行う(B-2型)かにより2種類に分類される。B-1型は指定事業者による代理申請を原則とし、交付決定以前に作業に着手した場合は補助対象とならない。これに対し、B-1型は事務局に登録されたパッケージ製品やサービスが対象で、改修や入れ替え後に申請を行う。

申請受付期限はA型とB-2型が2017年5月31日(事後申請)、B-1型は2017年3月31日までに事業が完了するように申請(事前申請)となっている。その他、詳細については軽減税率対策補助金事務局、または事務局ホームページ(Http://kzt-hojo.jp)を確認してほしい。

<表:小規模事業者支援パッケージ事業(小規模事業者持続化補助金)>

支援の目的 小規模事業者の持続的な経営の推進を目的に、国内外での販路開拓を経営計画の作成支援や補助金などを通じて総合的に支援する
対象 小規模事業者
支援内容 商工会や商工会議所と一体で経営計画を作成し、それに基づいて販路開拓に取り組む費用を支援(複数事業者による連携も可。海外展開、雇用増加、買い物弱者対策への取り組みは、より重点的に支援)
・補助率:3分の2/補助上限:50万円
・海外展開、雇用増、買い物弱者対策への取り組みは上限100万円
・複数事業者連携は、その数により上限100万円から500万円
利用方法 日本商工会議所・全国商工会連合会で事業公募
問い合わせ先 最寄りの商工会、または商工会議所

<表:ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金>

支援の目的 国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業創出を目的に、革新的なサービス・試作品の開発、生産プロセス改善を行う中小企業と小規模事業者の設備投資などを支援する
対象 認定支援機関の全面バックアップを得て、「革新的サービス・ものづくり開発支援(*1)」と「サービス・ものづくり開発支援(*2)」のいずれかに取り組む中小企業と小規模事業者
支援内容 「革新的サービス・ものづくり開発支援」は、補助率:3分の2/補助金額:一般型1000万円(*3)、小規模型500万円
「サービス・ものづくり開発支援は、補助率:3分の2/補助金額3000万円以内
利用方法 各都道府県の地域事務局に、公募期間中に申請書を提出。審査を経て選択先が決定され、採択された事業者は投資終了後に成果を報告し、補助金を受給する
問い合わせ先 各都道府県の地域事務局(中小企業団体中央会)

(*1)「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に従い、3~5年で「付加価値額」年率3%、および「経常利益」年率1%の向上を達成できる改善計画など
(*2)「革新的サービス・ものづくり開発支援」の要件を満たし、IoTなどを用いた設備投資により生産性を向上させ、「投資利益率」5%を達成する計画
(*3)5社を上限として複数社での共同事業(連携体)が可能

<表:中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業>

支援の目的 一定基準を満たす高効率な省エネ設備への更新を行う際に、必要となる設備の購入費用を補助する
対象 中小企業などの事業を営む法人と個人事業者
支援内容 〈対象設備〉
高効率照明、高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高性能ボイラー、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵庫、FEMSなどの設備費用
〈補助金額〉
1事業者あたり上限1億円、加減は30万円(中小企業者や個人事業主でない場合は50万円)
利用方法 下記問い合わせ先に連絡
問い合わせ先 一般社団法人 環境共創イニシアチブ〈補助金の申請に関するお問い合わせ窓口〉

<表:JAPANブランド育成支援事業>

支援の目的 中小企業や小規模事業者が連携し、自らの素材や技術をベースとした商品開発や海外見本市への出展などを支援することで、海外販路の開拓を実現する
対象 商工会、商工会議所、組合、NPO法人、中小企業・小規模事業者(4者以上)など
支援内容 ①戦略策定段階への支援/定額補助:上限200万円
・ブランドコンセプトなどの基本戦略を固めるプロジェクトを支援(1年間)
②ブランド確立段階への支援/補助率:3分の2、上限2000万円
・具体的な海外販路開拓を行うためのプロジェクトを支援(最大3年間、単年度ごとに申請と審査が必要)
③プロデュース支援/定額補助
・外部人材による市場調査や商材改良、PR活動、海外販路開拓の一貫したプロデュースを支援
利用方法 下記問い合わせ先に連絡
問い合わせ先 ①②各経済産業局や中小企業課など、③経済産業省商務情報局クリエイティブ産業課

<表:下請中小企業・小規模事業者自立化支援補助金>

支援の目的 下請中小企業と小規模事業者の自立化に向けた取り組みなどを支援する
対象 下請取引(*1)を行う中小企業
支援内容 ①下請中小企業自立化基盤構築事業/補助率:3分の2以内、上限2000万円
・下請中小企業振興法の認定を受けた事業計画の下で、下請事業者同士が共同で行う勉強会、共同受注用システム構築、設備導入、展示会出展などの費用を補助
②下請小規模事業者等新分野需要開拓支援事業/補助率:3分の2以内、上限500万円
・親事業者の生産拠点の閉鎖や縮小などにより売上が減少する下請事業者が、新分野進出のために行う試作開発、展示会出展などの費用を補助
利用方法 経済産業局に申請。審査委員会での審査により採択先を決定
問い合わせ先 中小企業庁取引課、各経済産業局中小企業課

(*1)物品の製造・修理、情報成果物(プログラム、映像等のコンテンツ、設計図、商品デザインなど)の作成、または役務の提供の委託

<表:消費税軽減税率補助金>

支援の目的 消費税軽減税率に対応が必要な事業者によるレジ導入やシステム改修などが、円滑に進むように支援する
対象 消費税軽減税率制度への対応が必要な中小企業と小規模事業者
支援内容 A型:複数税率対応レジの導入等支援
・複数税率に対応するレジの新規導入や受発注システム改修などに補助金支給(*1)
・補助率:3万円未満の機器1台のみ購入する場合4分の3/3万円以上の機器の場合3分の2/タブレットなどの汎用端末は2分の1
・補助上限:レジ1台あたり20万円。新たに行う商品マスター設定や機器設置に費用を要する場合は、1台あたり20万円を加算。複数導入では1事業者あたり200万円が上限
B型:受発注システム改修などの支援
・電子的な受発注システム(EDI/EOS等)を利用する事業者が、複数税率に対応するために必要な機能の改修や入れ替え
・補助率:費用の3分の2
・補助上限:小売事業者などの発注システムの場合1000万円/卸売事業者などの受注システムの場合150万円/発注・受注システム両方の場合1000万円"
利用方法 下記問い合わせ先に連絡
問い合わせ先 軽減税率対策補助事務局 URL:kzt-hojo.jp