オフィス機器「基礎講座」今さら聞けない!?
オフィス機器「基礎講座」

PC周辺機器◎無線LAN/NAS

家庭用Wi-Fi上位機はSOHOに好適
データ保護を重視したビジネスNAS

 PC周辺機器では、環境変化により大きく進化している「無線LANアクセスポイント」と、SOHOや小規模事業者、中堅企業のワークグループなどで注目度が高まっている「NAS」について解説する。

■無線LANアクセスポイント

まず、無線LANはWi-Fiとも呼ばれているが、これは無線LANの相互接続技術として、業界団体のWi-Fi Allianceにより策定されている規格の「IEEE802.11」(詳細は後述)が主流となっていることが理由だ。

そして、端末を相互接続する電波中継の役割を担う機器が無線LANアクセスポイントであり、大きくは「コンシューマー用」と「エンタープライズ(業務)用」の2つに分類される。

いずれもWi-Fiに準拠しており、使う帯域や通信方式は基本的に同じだが、「同時接続台数」「信頼性」「搭載機能」などに違いがある(表1)。

価格が安く手に入れやすいコンシューマータイプは家庭での使用が前提で、同時接続台数は上位モデルで10台前後だ。実使用環境では同時に接続する端末は数台ほどと想定され、これらが快適に通信できることに設計の軸が置かれている。

また、ルーター(複数の端末をネットワークに接続する)機能が内蔵された一体型が一般的。大容量での同時接続や複数台設置などは想定されていないが、無線LAN親機としての性能は高いので、従業員の少ないオフィス、マンションやビルの一室を事務所としている事業者なら、問題なく使えるスペックを持つ。

一方、業務機タイプは同時接続台数や信頼性に優れる。例えば、十数名の社員がいるオフィスでは同時に接続する端末数は10台や20台を超え、学校授業での使用やホテルなどでは50台前後になるケースもある。こうした用途に対応するため、高性能CPUや処理負担を平準化する機能などを搭載し、多台数の同時接続にも通信品質の安定性が高い。

故障や安全性への対策として設計段階から耐久性に配慮され、コンシューマー機にはない屋外向けモデルでは、防水/防じん設計や腐食に強い内部基盤を採用するなど、徹底して信頼性が担保されている。

この他、複数台を設置して一括管理できる拡張性や機能を持ち、使う環境に合わせて最適に活用できるように設定オプションも充実する。

<表1 無線LANアクセスポイントのコンシューマー向けと業務向けの概要>

    コンシューマー機 エンタープライズ(業務)機
同時接続数 上位機で10台前後が主流。数人のユーザーが高速通信できることに重点が置かれ、ビームフォーミング(電波を特定方向に集中照射すること)などの通信品質を向上する技術も採用されている。 多人数が同時に接続した場合でも、安定した通信品質が確保されることに重点が置かれる。100台の端末からの同時接続に対応するモデルなども用意されている。
信頼性 家庭向けの一般的な電子機器と同等の信頼性が確保されている。 セキュリティカバーの付属や高耐久設計、屋外向けモデルでは腐食に強い内部基盤を採用するなど物理的な信頼性に加え、侵入検知などネットリスク対策にも配慮されている。
拡張性 1台設置が基本。複数台設置では管理が煩雑で、1台ずつ設定変更が必要となるケースが多い。 複数台設置が想定され、リモートによる一括管理なども可能である。
搭載機能 ルーター機能一体型が一般的。写真やムービーの保存・再生など、コンテンツを楽しむための機能の搭載も見られる 基本的にルーター機能は非搭載。VLANやVPNなどの多彩な設定オプション、さまざまな管理機能、PoE給電などを備える。
その他 ユーザー自身による導入が基本。設置や設定が簡単なインターフェイスを持つ。 導入は、ネットワーク環境調査から設置・設定まで、専門業者に依頼するのが一般的。

Wi-Fi内にも数種類の規格

次に、通信規格について見ておきたい。前述の通り、コンシューマーと業務機とも周波数帯や通信方式はWi-Fiをベースとし、準拠規格により数種類に分かれる(表2)。ただし、いずれかの規格だけに単独で準拠しているわけではなく、複数規格に対応しているのが一般的だ。

各規格の概要は表2に譲るとし、大きな違いは新しい規格ほど伝送スピードが速いことと、周波数帯により特性があること。無線LAN専用の周波数帯である5GHzは他のオフィス機器や家電製品からの電波干渉を受けにくく安定した通信環境を確保できるが、壁などの障害物に弱い。

これに対して、2.4GHzは障害物に強く遠距離まで電波は届くが、電子レンジなどの家電やBluetooth搭載の電子機器といった同じ周波数帯を使う機器に近い場所では、その影響により通信速度が不安定となりやすい。

また、現時点で主流の最新規格といえば「11ac」だが、今後は60GHz帯を利用する「11ad」など、いくつかの新規格に対応した製品が登場してくる見通しだ。

<表2 無線規格の種類と概要>

企画 伝送速度(*1) 周波数帯 概要
IEEE802.11ad 最大7Gbps 60GHz帯 2009年5月に策定された規格。広い帯域を確保できるミリ波(60GHz帯)を使うので、高速化しやすい。ただし、指向性が強く障害物に弱いため、利用想定距離は10m前後である。従来のWi-Fiではなく、「WiGig」として策定されており、対応の無線LAN機器や端末は、これから登場してくる見通し。
IEEE802.11ac 最大6.8Gbps 5GHz帯 2014年1月に策定された最新規格。帯域幅の拡大やMIMO(複数のアンテナによりデータを同時通信する技術)の拡張により、従来規格で最も高速の「11n」と比べて理論値で約11.5倍も速い。家電製品などの電波干渉を受けにくく、遠距離や障害物が多くとも、安定した通信環境を確保できる。
IEEE802.11n 最大600Mbps 2.4GHz帯/5GHz帯 2009年9月に策定された規格。チャネルボンディング(2チャンネルを束ねて通信する技術)とMIMOという2つの技術により高速化を実現。2つの周波数帯域を使用できることも同規格の特徴。
IEEE802.11a 最大54Mbps 5GHz帯 1999年10月に策定された規格。オフィス機器や家電製品、Bluetooth搭載端末などとは使う周波数帯が異なるため電波干渉を受けにくいが、壁や床などの障害物に弱いことがデメリット。
IEEE802.11g 最大54Mbps 2.4GHz帯 「11g」は2003年6月、「11b」は1999年10月に策定された規格。壁や床などの障害物に強く電波も遠くまで飛ぶが、同一周波数帯を使う家電製品やオフィス機器、Bluetooth搭載端末などの電波干渉を受けやすい。
IEEE802.11b 最大11Mbps 2.4GHz帯 「11g」は2003年6月、「11b」は1999年10月に策定された規格。壁や床などの障害物に強く電波も遠くまで飛ぶが、同一周波数帯を使う家電製品やオフィス機器、Bluetooth搭載端末などの電波干渉を受けやすい。

■NAS

NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワークに接続して使うハードディスクドライブ(HDD)のこと。LAN接続HDDともいい、ファイルデータの保存先として急速に普及が進む。

LAN接続の外付けHDDではあるが、USBタイプとは異なり、プロセッサー(CPU)やメモリー、OSを搭載するなど、パソコンとほぼ同じ構造を持っている。

カタログなどを見ての通り、NASは大きくホームタイプとビジネスタイプでカテゴリー分けされている。

ホームタイプは、写真やムービーなどを保存して少人数で楽しむことに主眼が置かれている。このため、AV機器との連携、録画/音源保存や再生、スマートフォンによる操作・設定といった家庭用途ならではの機能を備えるモデルなどが揃う。

これに対して、ビジネスタイプではデータ保護や業務での利便性を徹底追及。高性能で耐久性に優れたパーツの採用により物理的な信頼性が高められている他、データのバックアップ機能も多彩だ。

例えば、1台のNASに複数ドライブを内蔵しHDD故障時にデータの消失を防ぎ復旧する技術であるRAIDや、別のHDDにデータを複製するレプリケーション機能などである。

さらに、ビジネス向けのNASは搭載OSにより、「Linux」と「Windows Storage Server(WSS)」の2タイプがある。それぞれの特徴は表3にまとめた通りだ。

大規模用途や拡張性には欠けるが安価で導入しやすいことがLinux機の特徴といえる。

WSS機はWindows環境下で快適に使うことができ、さまざまなソフトウエアをインストールできるので、ログ情報やタイムスタンプなどのソフトと組み合わせてマイナンバー対策サーバーや電子帳簿保存システムなどとしても活用できる。

ただし、WSSは導入コストの高さがネックだ。小規模事業者などが主にファイル保存用途に使うならLinux機、数十人規模のオフィスやデータ保存以外での用途も考えるならWSS機といった方向で検討したい。

   メリット デメリット
Linux 低価格(ほとんどの家庭向けモデルでも採用)でシステム構築できる、Windowsだけでなく、Macからもアクセスできる。 規模が大きくなると、設定やメンテナンスに手間がかかりパフォーマンスが落ちやすい。ウイルス対策など、ソフトウエアの導入が制限される。
Windows Storage Server Windows系OSなので、大規模なWindowsドメイン環境下でも快適で使いやすい。操作もWindowsパソコンと同じ感覚。さまざまなソフトウエアの導入に対応する。 価格が高く、導入時のシステム構築に手間がかかる。Windows以外のOSからのアクセスが制限される可能性がある。
壁内設置! 11ac対応の情報コンセント型モデル
WAB-S1167P

●景観に配慮、盗難や破壊防止にも効果的

コンセント型で壁に埋め込めるタイプの無線LANアクセスポイントで、室内景観に配慮して設置できる他、盗難や破壊防止にも役立つ。LANケーブル経由で電源供給が可能なPoE受電に対応しているので、配線や電源工事は不要だ。

●最新「11ac」規格対応

無線は最新規格「11ac」に対応し、最大867Mbps(5GHz/規格理論値)の高速通信を実現。2.4GHz対応の無線端末とも同時接続できる(*1)。

●法人用途に適した機能が満載

1台の無線アクセスポイントで複数SSIDを管理する「マルチSSID(最大10個)」や、多台数導入時の管理ツール「WAB-MAT」(有償)などに対応している。
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100台同時接続! 混雑時でも安定した通信を実現
バッファロー AirStationPro WAPM-1750D

●授業など教育用途に最適

同時接続は最大100台、通信環境を安定させる「公平通信制御機能」を搭載するなど、学校現場などに最適な仕様だ。
例えば、数十台の端末が同時に動画を再生しても、端末ごとに通信状況が制御されるので、ほぼ同じタイミングで再生される。

●ノイズ回避による優れた通信品質

コードレス電話や無線カメラなど、Wi-Fi以外の機器から出るノイズを自動検知し、干渉しないチャンネルへ変更する「干渉波自動回避機能」を搭載している。

●最大1300Mbpsの高速転送

最新規格「11ac」対応で、データ転送は最大1300Mbpsと高速。大容量データも素早くダウンロードできる。従来規格にも準拠し、幅広い環境で利用できる。
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11ac規格対応! 同時接続8台でSOHOなどに好適
WN-AC1600DGR3

●使いやすい高速&簡単設定

最新規格の802.11ac対応で、最大1300Mbps(規格理論値)の高速通信を実現。
現行の全Wi-Fi規格に対応し、利用端末の規格を気にする必要がない。PC、スマートフォンやタブレットなどの端末ごとに設定方法を用意し、導入時のWi-Fi設定が簡単だ。

●多機能なプレミアムモデル

本体背面にUSBポートを搭載し、複数のPCで同時にプリンターの共有が可能となる「プリントサーバー」や、外付けHDDによる「簡易NAS」などの機能を搭載する。

●「VPNリモートアクセス」に対応

外出先からでも外付けHDD(USB接続)にアクセスでき、保存ファイルの閲覧が可能だ。Windows PCのリモートデスクトップ機能により、自宅PCを操作できる。
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小規模事業者や部門用途に最適! 4ベイ搭載機
NetStor NSR-6Sシリーズ

●ハイパフォーマンスで快適な使い心地

利用人数50人規模まで対応でき、小規模オフィスやワークグループなどに適したLinux搭載タイプ。
高性能CPUと大容量RAMによりデータ通信が高速で、複数端末からの同時接続にも速度が低下しにくい。同時アクセスは32台まで対応する。

●多彩なRAID構成に対応

4ベイ(HDDを4台内蔵)を搭載しており、RAID(複数ディスクで信頼性を実現する仕組み)構成は0/1/10/5/6に対応。利用シーンに応じて選べる。

●ディスク障害時も安心の簡単復旧

異常が発生時、電源を落とさずにディスク交換できるホットスワップに対応(RAID0など除く)し、オートリビルド機能により自動的にRAIDの復旧が開始される。
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TeraStation WS5200DNW2シリーズ
バッファロー TeraStation WS5200DNW2シリーズ

●Windows環境に導入しやすい

Windows PCと親和性が高いWindows Storage Server 2012 R2を採用した2ベイ(2台のHDD内蔵)タイプ。
高度なファイル管理やActive Directoryとの連携が可能だ。

●必要な機能を後付け

Windowsベースなので、市販ソフトのインストールが可能。
各種バックアップ機能やウイルス対策ソフトなど、用途に応じたソフトウエアの追加により、ムダなく最適なストレージ環境を構築できる。

●長時間稼働に適した専用HDD採用

HDDには、高い信頼性と安定動作、高耐久により故障リスクを低減したNAS専用タイプを採用。
さらに、製品本体とHDDとも3年保証で安心だ。
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「拡張ボリューム」採用! 情報損失リスクを大幅削減
アイ・オー・データ機器 LAN DISK HDL2-Hシリーズ

●拡張性に優れた2ベイタイプ

高速CPUや信頼性に優れるNAS専用HDDなどを搭載した2ベイタイプ。
容量不足にも、ドライブ交換や外付けドライブ増設により継続使用が可能だ。

●拡張ボリューム方式による高い信頼性

ブロック単位で書き込む一般的なミラーリングと異なり、1つのファイルを2台のハードディスクに同時保存する「拡張ボリューム」方式を採用。
故障時のデータ損失リスクを大幅に軽減すると共に、高速処理が実現されている。

●品質を徹底追及

自社設計の筐体を採用し、剛性やエアフロー、振動軽減を追求。
さらに、高速レプリケーションや外付けハードディスクへの暗号化などに対応している。
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