デジタル一眼カメラ/「新商品」レポートキヤノンの新ミラーレス機「M5」登場
パナソニックは「GH5」の開発発表

ここしばらく控え目だったデジタルカメラで、一眼タイプを中心に新モデルが続々と登場している。特に、9月下旬に開催された「フォトキナ(*1)」に向けての発表が相次いだ。
(*1)2年に一度、ドイツのケルンで開催されるカメラや写真機材、映像関連機器の総合見本市。2016年は9月20日~9月25日に開催された

7月から10月にかけて十数機種が投入される中、注目はパナソニックのミラーレス一眼「GH5」やキヤノンのミラーレス一眼「M5」などである。

キヤノンの新ミラーレス機「EOS M5」

キヤノンは、8月のフルサイズデジタル一眼レフ「EOS 5D MarkⅣ」に続いて、ミラーレスカメラ「EOS M5」を9月に発表した。M5の発売は2016年11月下旬の予定だ。

同社は「ミラーレスカメラへ取り組むキャノンの本気の姿勢を体現したモデル」といい、「既存のミラーレス機に対してユーザーが抱えていた不満を解消しており、すでにミラーレスを使っているステップアップユーザー向けを意識している」という。

ミラーレス機ユーザーの不満はいくつか挙げられるが、特に多いのが「オートフォーカス(AF)の遅さ」や「モニター撮影による操作のしづらさ」といったこと。こられの点が、M5では解消されている。

AFについては、Mシリーズとして初めて「デュアルピクセルCMOS AF」が採用された。有効約2420万画素の全面全域で位相差AF(*2)によるピント合わせが可能となり、幅広いシーンで高速かつ高精度なフォーカスを実現。連写性能は、AF・AE(自動露出制御)追従で最高秒間7コマ、AF固定で最高秒間9コマだ。また、低輝度時性能も向上しており、暗所などでも顔認識によるフォーカスが可能となった。
(*2)被写体像のズレ(位相差)を感知し、位相差がなくなった点を合焦点と判断する方式。高速なフォーカシングが特徴

さらに、電子ビューファインダー(EVF)を、やはりMシリーズでは初めて搭載することにより、本格的なファインダー撮影を実現。モニターによる撮影操作の不満を解消した。撮影モードや露出補正、露出の決定といった各操作系ダイヤルやボタンなどの配置をEVF撮影に最適化し、自然なファインダー撮影を可能としている。

背面の液晶モニターとEVFを連携させた機能の「タッチ&ドラッグAF」も搭載。EVF上のフォーカスポイントを、EVFを覗きながら液晶モニターのタッチパネル操作により移動できる。

EOS-M5。新レンズとして同時発表された「EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM」のグラファイト色(シルバーも有り)を装着したイメージ
EOS-M5。新レンズとして同時発表された「EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM」のグラファイト色(シルバーも有り)を装着したイメージ

世界初! 4K/60p動画撮影対応の「GH5」

パナソニックは、写真と動画を高い次元で融合した「GH」シリーズの最新モデルとなるミラーレス一眼カメラ「GH5」を開発。フォトキナ2016に参考出品した。2017年春を目処に商品化を進め、グローバル市場で発売するという。

同社は、2008年10月にレンズ交換式デジタルカメラとして世界初のミラーレス機「G1」を発売。以降、フルハイビジョン動画撮影機能搭載「GH1」や動画撮影で4K/30pに対応した「GH4」など、常にトップランナーとして最先端の機能を搭載するモデルを手掛けている。

GH5も、こうした思想を継承。信号処理技術や熱処理技術などを進化させることにより、世界で初めて(*3)4K/60p動画撮影と4:2:2 10ビット4K動画記録(*4)に対応した。
(*3)ミラーレス一眼カメラとして。2016年9月20日時点。同社調べ
(*4)4K/30p、25p、24p、23.98p動画記録時

そして、カメラとしての特筆ポイントが「6K PHOTO」だ。これは、フルハイビジョンの約9倍に相当する約1800万画素を持つ、秒間30コマの高精細映像からベストショットを写真として切り出せる機能のこと。端的にいえば、画素数約1800万画素で秒間30コマの連写を行い、ベストショットを撮影後に選べるわけだ。しかも、シャッタースピードを任意に設定できることも、特徴といえる。

1800万画素もあれば、理論的には四切サイズ(305×254mm)まで高精細に印刷でき、実際のプリントでは画素補完により出力されるので、A1サイズ(841×594mm)くらいまで引き伸ばしても十分に耐えられる感覚だろう。

6K PHOTOイメージ。パナソニックのプレスリリースより引用
6K PHOTOイメージ。パナソニックのプレスリリースより引用

また、約800万画素の写真を切り出せる従来の「4K PHOTO」も進化し、秒間60コマの超高速連写が可能になるという。800万画素でもA3程度までは引き延ばせるので、より決定的瞬間を狙った作品作りに役立ちそうだ。

デジタル一眼「G8」なども発表

また、パナソニックではデジタル一眼カメラ「G8」のほか、レンズ一体型カメラの「FZH1」や「LX9」も発表した。

G8は、アウトドアなどの幅広いシーンに対応するフィールド向けモデル。手ブレ補正システム「Dual I.S. 2」を強化し、中望遠から望遠域でも5段分の補正効果が実現されている(*5)。防じん・防滴を施し、コントラストが高く応答性に優れた約236万ドットOLEDファインダーを搭載するなど、屋外撮影に耐える仕様を持つ。
(*5)対応レンズとファームアップが必要

DMC-G8。「4K PHOTO」に加え、撮影後にピント位置を選べる「フォーカスセレクト」なども搭載。2016年10月21日発売予定
DMC-G8。「4K PHOTO」に加え、撮影後にピント位置を選べる「フォーカスセレクト」なども搭載。2016年10月21日発売予定
DMC-FZH1。光学20倍の新開発のライカDCレンズをはじめ、様々な機能により高品位で本格的な写真&動画撮影を両立。2016年11月17日発売予定
DMC-FZH1。光学20倍の新開発のライカDCレンズをはじめ、様々な機能により高品位で本格的な写真&動画撮影を両立。2016年11月17日発売予定
DMC-LX9。大口径F1.4-2.8レンズ搭載のコンパクト機。「4K PHOTO」「フォーカスセレクト」に加え、ピントの異なる複数画像を合成できる新機能「フォーカス合成」も搭載。2016年11月17日発売予定
DMC-LX9。大口径F1.4-2.8レンズ搭載のコンパクト機。「4K PHOTO」「フォーカスセレクト」に加え、ピントの異なる複数画像を合成できる新機能「フォーカス合成」も搭載。2016年11月17日発売予定

中判サイズのミラーレス機「GFX 50S」も登場

キヤノンやパナソニック機以外にもニューモデルは様々。例えば、富士フイルムは中判サイズのミラーレス機「GFX 50S」などを発表している。

GFX 50Sは、35mmフルサイズの約1.7倍もの大型イメージセンサー(43.8×32.9mm)を搭載したミラーレスデジタルカメラシステム「GFX」を採用した有効画素5140万画素を持つ第一弾モデルだ。

フルサイズよりも多くの情報量を取り込める大型センサーだけに、質感や立体感、空気感などの優れた描写力が期待できる。GFXシステムに対応するレンズとして「フジノンGF」シリーズ6本も合わせて発表。本体の50Sと共に2017年春より順次発売していくという。

GFX 50S。中判サイズのデジタルカメラながらボディは1kgを切る軽量。拡張性を実現する豊富なアクセサリーも用意するとのこと
GFX 50S。中判サイズのデジタルカメラながらボディは1kgを切る軽量。拡張性を実現する豊富なアクセサリーも用意するとのこと

この他、オリンパスは秒間18コマのAF追従連写(メカニカルシャッターでは秒間10コマ)を実現したミラーレス一眼カメラ「OM-D E-M1 MarkⅡ(2016年末の発売予定)」、女性を意識したスタイリッシュデザインや自撮り機能などを特徴としたミラーレス一眼「PEN E-PL8(2016年11月下旬の発売予定)」を発表している。

ソニーはAマウント機のフラッグシップモデル「α99Ⅱ」をフォトキナで発表(2016年11月25日発売予定)。有効4240万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー、79点専用位相差AFセンサーと399点像面位相差AFセンサーを同時駆動できる新開発のハイブリッド位相差検出AFシステムなどを採用し、高解像度でAF・AE追従最高12コマ/秒の高速連写を実現した。

また、ニコンは、スマートフォン連携に対応したエントリー向けモデルの新機種「D3400」を2016年9月に発売開始している。

デジタルカメラの国内需要は低迷しており、2016年も対前年比2割前後の減少が予想されている。そうした市況下とはいえ、ニューモデルには注目が集まりそうだ。 (長谷川丈一)