有機ELテレビ&音声認識家電2017年のトレンドを抑えたLG

サムスン対LGに新展開!?

世界の家電市場を牽引しているメーカーが韓国のサムスンとLGであることには、異論を挟む余地はないでしょう。日本国内市場だけを見ているとまったくピンときませんが、北米で両社が、圧倒的な支持を得ていることは確か。

そして、彼らに続く2番手グループがTCLやハイアールなどの中国メーカー。CESにくると、この現実をまざまざと見せつけられることになります。さらにいえばトップをゆく韓国メーカーについても、これまでは、ひたすらぐいぐいと突進し続けるサムスンと、それに必死に追いつこうとするLGというイメージでした。

しかし今年のCESでは、両社の様相が変わりつつあるように感じました。それはLGが、2017年家電市場の新たなトレンドについて、その根幹をしっかりと握っているからです。

CES2017の新たなトレンドとは「量産型有機ELテレビ」と「音声認識(AI、IoT)家電」の二つ。LGはそのどちらにも深く関わっていますが、サムスンは有機ELテレビを出品しておらず、音声認識家電も今ひとつ本腰感が足りないように思えます。

加えてサムスンは同社製スマホのバッテリー出火が、世界的な大問題となったばかり。イメージ的な衰退感が大きいというのもあるでしょうが。

有機ELパネルはLGの独壇場

CES2017における有機EL(OLED)テレビは、間違いなく大きな話題の一つ。過去も出品されていましたが、そのほとんどがプロトタイプ。しかし、今年の展示品はパナソニックもソニーも年内の商品化を前提としています。他にも複数の中国メーカーが商品化を前提にしたモデルを出品しており、このことが2017年を「有機ELテレビ元年」といわしめているポイントです。

正式に発売を開始しても今年はまだまだ高価なプレミアムモデルとしての位置づけでしょうが、これは時間が解決するはず。そのための実質初号機といえる量産モデルの生産を、各社が今年から開始することの意味は、とてつもなく大きいといえます。

ところがテレビ用の大型有機ELディスプレイの量産技術を確立したのは、今のところLG1社のみ。液晶テレビで世界的なトップシェアを確保しているサムスンも、テレビ用有機ELディスプレイの生産からは数年前に撤退しています。

今やパナソニックもソニーも中国メーカーも、独自の画像処理エンジンや付加価値機能などを搭載して独自性や優位性を打ち出していますが、肝心のディスプレイはLGに頼らざるを得ないのが実情。

つまり有機ELテレビの世界的な普及拡大は、そのままLGの業績拡大やブランドバリューのアップに直結するわけです。かつてVHSデッキで世界を席巻した日本ビクターのような存在になることさえ考えられるわけで、この状況変化が今のLGの勢いになっていることは確かだと思われます。

音声認識のパートナーはアマゾン

もう一つの音声認識家電ですが、LGはCES2017で「LG Smart InstaView Refrigerator」を発表。これはアマゾンの音声認識ソフト「Alexa」を内蔵し、29インチのタッチパネルを搭載した話題のニューモデルです。

冷蔵庫に話しかけるだけで、料理のレシピを表示したり、必要な食材をアマゾン経由で発注できます。他にも天気予報の確認や家族への伝言などにも対応。庫内にはカメラが設置されており、ドアを開けずに庫内を確認(パネルへ表示)することもできます。

何よりアマゾンと組んだことが、大きなポイントとなりそうです。サムスンも同タイプの冷蔵庫を発表しましたが、提携先は別の米Eコマース企業。発注端末がスマホであれ冷蔵庫であれ、ECでは品揃えや配送能力が大きな差になるだけに、世界的トップのアマゾンをECパートナーに選択したLGの優位性が、より高そうに感じられます。

音声認識家電はまだスタートしたばかり。今後、市場として確立するかは未知数ですが、LGが先鞭をつけたことは確かです。(征矢野毅彦)