記録メディア/データ保存の寿命を考える光ディスクも保存寿命は20年程度
1000年保存を掲げる「M-DISC」

年末年始と、過去の写真や仕事用のデータなどを保存した記録メディアを整理しました。最近は、ビジネスでもプライベートでもデータをクラウドやNASに保存しておくことが多いですが、ライフログ(人生の記録)や書籍の執筆データなどは記録メディアにも保存しています。

ごく最近に保存したものから大昔のメディアまで、その種類はDVDやCD、ブルーレイはもちろん、フロッピーディスクやMO、Zipまで出てくる始末。インデックスを記入していないメディアも多く、データを見なければ何を記録したかも分からない状態でした。しかし、フロッピーやMO、Zipは、もはや再生装置を持っていないので読めません。

かろうじて中古などで再生ドライブを入手することも可能なようですが、フロッピーやMOなどは一時保存やデータの受け渡し的な用途が主流であったため、あまり大事なデータは記録していないだろうと。多少、後ろ髪を引かれましたが、光メディア以外は一括廃棄することにしました。

改めて「技術の進化は早い」と思うと共に、50年後や100年後もデータを読むことは可能なのかという疑問が。デジタルデータそのものは確かに劣化しませんが、それを収納しておくメディアには寿命があります。仮に、ドライブがあったとして、数年で磁気が弱くなりエラーが多発するといわれていたフロッピーディスクを、それこそ20年も前に保存したデータを読むことは難しかったかもしれません。

そこで、これを機に記録メディアの寿命なるものを調べてみました(下表)。

メディア 寿命 概要
フロッピーディスク 数年 磁性体を塗った円盤型のディスクにデータを記録する。強い磁力によりデータが破壊される他、数年で磁気が弱くなりエラーが頻発するとされ、ディスクの一部が露出しているためキズや汚れ、湿気の影響を受けやすく劣化しやすい。
Zip 数年 1990年代半ばに米国のアイオメガ社が開発した磁気ディスク。フロッピーディスクを堅牢にしたような外観で、MOよりも高速を特徴としたが、日本ではあまり普及せず市場から消えた。磁力に弱く、物理的な故障リスクも指摘された。
MO 50年程度 磁気によりデータを記録するが、熱による磁性変化を利用して記録するため磁力の影響によるデータ消失に強い。紫外線にも強く、理論的には50年の長期データ保存が可能という。容量が小さく(最大2GB)使い勝手が悪くなり、市場からほぼ消えつつある。
光ディスク 5年~20年 CDやDVD、Blu-rayといった、現在主流の記録メディア。記録層に色素を採用しており、その化学変化によりデータを保存する。色素が紫外線に弱く、太陽光などに長期間にわたってさらされるとデータが読めなくなる。また、記録層を保護する素材のポリカーボネートは経年劣化により濁り、レーザー光が記録層に届かずにデータが読めなくなる。その寿命は20年程度、品質の低いディスクの場合は数年ともいわれる。
フラッシュメモリー 5年~10年 SDカードやUSBメモリー、SSDなど。半導体チップにデータを記録する方式で、気軽に書き換えられ持ち運びも便利なため、記録メディアとしての使い勝手に優れるが、長期間放置しておくとデータが消えるなど、保存メディアとしては適さないとされる。書き換え回数による寿命もある。

こうして見ると、記録メディアの寿命は意外と短いですね。ハードディスクも寿命は5年程度とされていますし、やはり手元に置いておく保存メディアとしてはDVDやブルーレイが適しているようです。

紫外線に弱いとか、経年劣化は避けられないといった課題は残りますが、保護膜に酸化しにくい素材や、指紋やキズ、汚れが付着しにくいコート処理を採用するなど、保存性を重視した商品もあり、これらを使うことで多少なりとも安全にデータを残しておけるのではないでしょうか。

1000年もデータ保存が可能な「M-DISC」!?

さらに、少し前から気になっているのが圧倒的な長期保存を謳った「M-DISC」なるもの。これは、米国のMillenniata社が開発した技術で、光や熱、湿度などの影響による経年劣化に強く、開発元では「1000年にわたってデータを保存できる」としています。

M-DISC DVDとM-DISC Bru-rayが用意されており、既存のDVDドライブやブルーレイドライブで読むことができます。

●M-DISCの外観や使用方法などはDVDやBlu-rayと同じ

その仕組みはレーザー光により記録層のデータを読む点で一般的なDVDやブルーレイと同じですが、長期保存を可能とする理由は記録方法にあるとのこと。一般的なディスクは化学変化によりデータを記録するのに対し、M-DISCでは「耐久性の高い素材に彫り込むように記録する」そうです。

つまり、物理的にデータを記録することにより光ディスクの劣化原因とされる紫外線や高温多湿などの影響を受けないので、長期間のデータ保存が可能というわけです。

※英語サイトですが、http://www.mdisc.com/mdisc-technology/に技術的な説明が掲載されています。

実際の耐久性はどれほどか

しかし、「1000年も耐える」などといわれると、実際にはどれほどの耐久性なのか気になってしまうもの。記録層の耐性が高いとはいえ、基盤の素材であるポリカーボネートや接着層などは通常の光ディスクと同じようなので、それらの劣化を考慮すると、実際の寿命はそれほど大きくは変わらないのではとの疑問は残ります。

同じことを考える人はいるようで、WebにはM-DISCと一般的な光ディスクの耐久性を比較した実験動画などがいくつかアップされています。数日間にわたっての浸水や氷漬け、太陽光下で数日間放置するといった過酷な環境にさらした上で、データを読み込めるのかといった内容です。

条件などは様々ですが、エラー多発の一般的な光ディスクに対し、M-DISCでは概ね保存データを読めるといった結果でした。

寿命はともかく、環境に対する耐性は高いようなので、メディアを手荒に扱ってしまうことも多い自分には向いている気がします。サンプル的に使ってみようかと考えており、その時には実際に耐性実験もやりたいと思います。そのレポートも報告しますので、少しお待ちください。

データの記録には対応ドライブが必要

なお、前述した通りM-DISCは既存ドライブで読めますが、データの記録には対応のドライブが必要です。

●アイ・オー・データ機器のM-DISC対応ポータブルDVDドライブ「DVRP-UT8S」シリーズ

以前は、対応ドライブは少なかったようですが、最近は国内メーカーからのラインアップが増え、アイ・オー・データ機器やバッファロー、パナソニックなどがM-DISC対応ドライブを製品化しているので、ラインアップも充実しています。(長谷川丈一)