音声認識テクノロジーの切り札!?「アマゾン・アレクサ」冷蔵庫、洗濯機、乗用車、スマフォ、4Kテレビ
業界を超えて採用が増加する未知のテクノロジー

CES 2017主役の1つ「アレクサ」

 「Amzon Alexa(アレクサ)」。この名前をCES 2017で、どれだけ見聞きしたことでしょうか。ざっと振り返っても家電の「LG」「ワールプール」、パソコンの「レノボ」、スマートフォンの「ファーウェイ」、そして乗用車の「フォード」、4Kテレビの「Seiki」…。これだけの数のメーカーブースで、アレクサの名前を見聞きし、デモなどを見てきました。

 その数もさることながら、搭載する製品分野の多彩さにも興味を引かれました。LGの冷蔵庫とフォードの乗用車など、従来であれば技術的なつながりが薄いような製品同士が、共通のテクノロジーを採用しているという現実。「アレクサ」とは何なのか? CES 2107の4日間は、このことが頭から離れない4日間だったといっても過言ではないほどです。

 アレクサを一言で言えば、アマゾンが開発した「音声認識テクノロジー」ということになります。音声認識、いわゆるボイスコントロールはIoT製品を身近で現実的なものとするための、最有力なユーザーインターフェイスとされ、アマゾン以外にも多くの企業が開発に取り組み、成果を出しつつあります。

 一番有名な音声認識といえば、やはりアップルのSiriでしょう。個人的にもSiriを通じて初めて音声認識の便利さや面白さを知りました。また、音声認識のロボット型デスクライト「Lumigent」をCES 2017に出展したCerevoも、音声認識は自社開発したテクノロジーを搭載しています。

 にもかかわらず、なぜ世界の名だたるメーカーが、こぞってアレクサなのか。その理由の1つとして、アレクサ搭載の4Kテレビ(Fire TV)の発売を開始したSeikiの関係者は、音声認識の速さと正確さ。そして動作の迅速性さんあどを優位性にあげていました。

Seikiは中国電子機器大手Tongfangが展開するブランドの1つで、他にウェスチングハウスやエレメント・エレクトロニクスなどのブランド同タイプの4Kテレビを発売するとのこと。同社ブースでデモを試聴しましたが、確かに反応が素早い。例えば見ている映像に対して1分先送りするように指示をすると、ストレスなく指示した場面に切り替わりました。

 また、100以上のチャンネルを内蔵していますが、番組選びも音声指示することですぐに指定の番組へと切り替わります。これらは従来のリモコン操作では、煩わしさを感じさせられていた部分であり、音声認識のメリットを十分に感じることができます。

 ただ、これらの機能については、他の音声認識テレビと同条件で比較したわけではないので、アレクサの優位性までは今回は確認できませんでした。

メーカー個々のカスタマイズに対応

 アレクサについてはレノボのケビン・ベック氏が、別の魅力を語ってくれました。同社はCES 2017でアレクサ搭載のスピーカー型デジタル・アシスンタント「Smart Assistant」を発表。アレクサによる音声認識機能で、家庭用の手軽で簡単な情報収集端末市場への参入を開始しました。

 ベック氏によれば「アレクサは個々のメーカーが、自社製品に応じた機能や用途へとカスタマイズ可能」といい、「メーカー個々の考え方次第で、応用範囲が無限に広がっていることが最大の魅力」とのこと。

 例えばSiriはiPone/Padaを最適化するためのテクノロジーであり、他メーカーが自社製品に搭載したり、カスタマイズすることは現状では考え難いわけです。これに対してアレクサは、「当初からオープンな展開を行い、メーカー各社とのパートナー体制を推し進めていることが、Siriやその他の音声認識テクノロジーとの根本的なの違い」(ベック氏)というわけです。

 だとすれば世界の名だたるメーカーが、業種・業界の垣根を越えてアレクサ採用に踏み切る理由も、何となくうなずけます。

 メーカー各社がアレクサをベースに自主開発した機能で、個人的に特に注目すべきと思うのは、LGのアレクサ搭載スマート冷蔵庫の「Eコマース」機能です。詳細はまだ不明ですが、例えば料理の途中に買い忘れた調味料などを、アレクサに話しかけるだけで、アマゾンを通じて購入できるといった形になるのでしょう。 

 特にアマゾンは今、1時間配送のサービスを強化しています。当初はアマゾンが現状で得意としている家電や書籍、映像ソフトなどで、1時間以内に届けてほしいニーズがどれぐらいあるのか、疑問でした。しかし、食材となると話は別。足りない食材をすぐに届けてほしいというシーンは、容易に思い浮かべることができます。

 現状で「アレクサ+Eコマース」を機能として明言しているのはLGだけ。ですが勝手に想像すれば、例えばクルマの整備中に必要な部品が不足しているとか、カークリーニング中に溶剤が切れたなどのシーンでも1時間配送は有効なように感じます。フォードがアレクサを採用したのも、こういった将来性に目をつけたから、といったら深読みのしすぎでしょうか。

 今回はまだまだ取材不足で推測的な部分も多いことをご容赦ください。いずれにしてもアマゾンが持つテクノロジーと、Eコマースに関するノウハウやインフラなどが、冷蔵庫やクルマを情報端末に見立てた上で合体したとすれば、その影響力はかなりのものとなるはず。弊誌では引き続き彼らの動向を追いかけていきたいと思います。(征矢野毅彦)