A3インクジェット複合機/「新商品発表会」レポート超高速印刷・低消費電力・低印刷コスト
センター機のインクジェット化を促進

エプソンは、A3対応インクジェット複合機の新製品として、「WorkForce Enterprise LX-10000F/7000F」と「PX-M7070FX」、A3対応インクジェットプリンター「PX-S7070X」の4機種を発表。LX-10000F/7000Fは今年5月から、PX-M7070FXとPX-S7070Xは3月から発売を開始する。

●発表会の会場に展示された新製品

圧倒的な速さを実現した“WorkForce Enterprise”シリーズ

●オプションの大容量給紙ユニットやフィニッシャーを装備した「WorkForce Enterprise」シリーズ

オフィスのセンターマシン向けとして位置づけられたWorkForce Enterpriseは、低消費電力や低ランニングコストといったインクジェットならではの強みに加えて、超高速のプリントスピードを大きな特徴としており、LX-10000Fは毎分100枚/LX-7000Fは毎分75枚の圧倒的な出力性能が実現されている。

これだけの高速印刷を実現できた理由には、新開発した「ラインヘッド」を採用したことが挙げられる。

同社は、インクジェットの中軸技術であるプリントヘッドに小型化や高速化が実現しやすく熱を使わない独自の薄膜ピエゾ技術を用いた「PrecisionCore」を採用。LX-10000FとLX-7000Fには、新たに開発したPrecisionCoreラインヘッドを搭載した。

一般的なインクジェット機で用いられているシリアルヘッド方式は、用紙の搬送を停止させて横幅に合わせてプリントヘッドを動かすことにより印刷するが、ラインヘッド方式ではプリントヘッドが用紙幅をカバーするため、ヘッドの往復動作や搬送停止の必要がない。このため高速印刷が可能となる。

●新たに開発した「PrecisionCoreラインヘッド」

PrecisionCoreラインヘッドでは、多ノズル化と高密度化した新開発のマイクロTFPプリントチップを斜めに配列。これによりヘッドを小型化し、超高速モデルをオフィスに設置できるコンパクトサイズで実現すると共に、600×1200dpiの高解像度を備えた。

●36チップを斜めに配列し、約3万3500ノズル(有効ノズル)を搭載
●用紙幅方向600dpi、搬送方向は1200dpiで最高2400dpi(速度半減)

プリント時に用紙を静電気で吸着させる「静電吸着ベルト方式」を採用することで、安定した用紙搬送を実現。高速印刷時でも用紙がバタつくことなくスムーズに搬送されるなど、高速印刷を支えるための機構的な工夫を盛り込んだという。

●高速化を支える技術の1つ「静電吸着ベルト」

また、一般的なモデルでは両面プリント時の印刷スピードは片面時に比べて半分から3分の2程度に落ちるが、LX-10000FとLX-7000Fでは両面印刷経路を最短化することにより、片面プリント時と同じスピードを維持する。

●両面印刷時もLX-10000Fは毎分100枚/LX-7000Fは毎分75枚

高画質、低消費電力、etc.

インクには速乾性を向上させた水性系の顔料インクを全色で採用。にじまず用紙への裏抜けを抑えることにより、普通紙にも高画質で高速印刷できることに加え、非接触で熱を使わないインクジェットなので和紙やエンボス用紙など様々な印刷に対応する。

「ノズル自己診断システム」により1枚プリントするごとにノズルの状態を自動的に検知して画質調整を行うので、万一にノズル詰りが発生した場合でも高画質な印刷が可能という。

●裏抜けのない速乾性の顔料インクが高速性と高画質を両立
●高画質を支える「ノズル自己診断システム」

エプソンは、新モデルの低消費電力もアピール。例えば、LX-10000Fは毎分100枚の高速印刷ながら最大消費電力は320Wなので、契約電力を見直すことなく家庭用電力で稼働する。稼働時と待機時を含めたトータルの消費電力性能を示すTEC値は1.2kWhが実現されている。

●最大消費電力はLX-10000F が320W、LX-7000Fが300W
●TEC値はLX-10000F が1.2kWh、LX-7000Fが0.9kWh
●電子写真方式と比較して、内部発熱が少ないインクジェット方式

この他、インクを用紙に噴射して印刷するシンプル構造なので、定期交換部品が少ない。万一の故障時にもアクセスしやすく、ダウンタイムの低減につながる。また粉末ではなく液体であることによる高い容積率を生かした大容量インク(ブラック10万枚/カラー5万枚)を採用し、インク交換の手間を削減するなど、インクジェットならではの強みを特徴としている。

●シンプルな構造がトラブル低減につながる
●複合機としての機能や使い勝手にも配慮

販売方法は3プランを用意

LX-10000F とLX-7000Fでは、利用形態に合わせた3つのプランを用意。既存のスマートチャージに相当する「オール・イン・ワン(本体購入不要/月々定額)」プランに加え、「カウンター・チャージ(本体購入+枚数に応じた支払い)」プランと「インク・スタンダード(本体購入+インク購入+保守契約)」プランを提供する。

●ユーザーの利用スタイルに合わせて3プランから選択可能
●各プランに適したユーザーの利用状況の例

例えば、LX-7000Fの「オール・イン・ワン」プランでは基本使用料5万2000円/月(ファクスモデル/5年契約時/税別、※ファクスなしは5万円)でカラー3000枚/モノクロ7000枚を印刷可能。超過した場合には、税別で1ページあたりカラー3.6円/モノクロ1円となっている。

●「オール・イン・ワン(本体購入不要/月々定額)」プラン
●「カウンター・チャージ(本体購入+枚数に応じた支払い)」プラン
●「インク・スタンダード(本体購入+インク購入+保守契約)」プラン

既存スマートチャージ機を「PX-M7070FX/S7070X」に刷新

WorkForce Enterprise以外にも、「エプソンのスマートチャージ」対応モデルの従来機を刷新。生産性や使い勝手を向上させたA3複合機「PX-M7070FX」とA3プリンター「PX-S7070X」として発売する。

新モデルは、いずれも印刷速度がカラー/モノクロとも毎分24枚、最大給紙容量1985枚(大容量給紙モデルの場合)、大容量インク搭載で約7万5000枚を印刷できるといった基本性能を備える。また、スキャン速度などがスペックアップした他、メンテナンス性や印刷画質なども向上したという。

●性能や操作性など、様々な点が向上

すべてのオフィスプリンターをインクジェットに

新製品発表会には、セイコーエプソンの碓井稔代表取締役社長やエプソン販売の佐伯直幸代表取締役社長が登壇するなど、新製品に込めた並々ならぬ思いが感じ取れた。

碓井代表取締役は、「新製品のLX-10000F とLX-7000Fはすべてのオフィスプリンターをインクジェットに置き換えるという目標の実現に向けた製品」といい、先に製品化した乾式製紙機のPaperLabなどと共に「オフィス環境でイノベーションを起こしたい」と語った。(長谷川丈一)

●新製品と共にフォトセッションに参加したセイコーエプソンの碓井稔代表取締役社長(中央)とエプソン販売の佐伯直幸代表取締役社長(右)、セイコーエプソン・取締役常務執行役員プリンター事業部の久保田孝一氏(左)