「低温ハンダ付け技術」をレノボが開発従来比で70度低温でのハンダ付け作業を実現
業界全体での利用促し2018年に無料公開へ

 年が明けてから連日、新製品や新技術の発表が相次いでいます。その中で、地味ながらも「おっ!」と思ったのが、レノボが2月7日に発表した「低温ハンダ付け技術の開発」でした。

 個人的には、ハンダ付け作業は大の苦手なのですが、趣味の分野ではハンダ付けにお世話になることが多く、気になる存在だったことは確かです。

鉛フリーハンダの問題点

 現在のハンダが、環境や人体への配慮から鉛フリーになっており、スズなどが主体の合金になっていることは知っていました。ところがスズ合金の鉛フリーハンダには、別の問題点があることまでは知りませんでした。

 ①鉛フリーハンダは融点が高く鉛ハンダよりも高温での作業が必要になるため、より多くのエネルギー量が必要であり、CO2排出量も増加する。
 ②高温で作業されるために、ハンダ付けされた電子部品に著しいストレスがかかる。
 ③鉛ハンダに比べて経年劣化や接続信頼性などが低下する可能性がある――等々。

 これらの課題をクリアするために、レノボは各種のハンダ素材について何千通りの組み合わせを試し、独自の熱プロファイル(経過時間と温度変化の組み合わせ)を研究。新たに開発した低温ハンダ付け技術でハンダ付けに使う熱の最高温度は、従来の手法よりも70度も低い摂氏180度とのこと。上記課題の中では主に①と②を大きくクリアできるもののようです。

 レノボの試算によれば低温ハンダ付け技術により、パソコン製造工程におけるCO2排出量は最大35%削減できるとのこと。具体的にはこの技術を2018年中に33基のラインに適用し、6000トン近いCO2排出量削減を目指すとのことです。

 これは約67万ガロンの燃料消費抑制に相当するとのことですから、経費カットの効果も非常に大きいのでしょう。

 しかも製造プロセス時に発生するプリント基板の反りが約50%減少し、不良率の減少も確認できたとのことですから、電子部品への著しいストレスの問題も大きくクリアできるようです。

2018年に無料公開へ

 そもそもハンダ付けという接合手法を調べてみると、基本的には紀元前に始まったものだとか。そんな古典的な手法が、これだけ技術の進化した現代において、未だにメインの接合手法として使われているというのも不思議な話です。

 代替手法がないのか、知人のメーカー関係者に聞いてみたのですが、「ハンダのメリットを上回る手法はない」とのこと。

 そこで、ハンダの主なメリットを改めて確認したのですが、「低コストで容易に接合できること」「故障部品などを簡単に取り外して交換できること」「通電性に優れていること」、そして「自動機を使用することで、プリント基板上の多数の接続部を同時に接合できること」など。

 これらを凌駕するようなメリットを持つ技術が生まれない以上、ハンダ付けを継続する以外に道はないというわけですね。だとすれば今回のレノボのように、デメリットを一つずつ地道に解消していくしかないでしょう。

 低温ハンダ付け技術はレノボ製品だけでなく、プリント基板を使用するすべてのエレクトロニクス製品に適用でき、しかも製品価格や性能面で影響が及ぶことはないとのこと。しかもレノボは「2018年には低温ハンダ付け技術を業界全体で利用できるように無料で提供する予定」としています。特許・ライセンスという話ではなく、(多分ですが)純粋にハンダ付けにおける諸問題のクリアという側面が大きいようです。

 こういう姿勢も「今時珍しいな」と思いましたし、地味ながらも「おっ!」と思わされた理由の一つでもあります。この技術が今後、どこまで普及するのか注目したいと思います。(征矢野毅彦)