商品研究商品研究1 太陽光発電

2017年度の太陽光発電マーケット
買取単価ダウンを補う新たな手法
  • 2017年度のFIT買取価格は税別21円で確定か!?
  • 買取価格が下がっても発電量を最大化することで絶対額をアップ
  • 最大化のキーワードは「過積載」&「パワコンの分散設置」
  • 2MW以上の太陽光発電では「入札制度」がスタート

2017年度のFIT

家電製品やIT機器などと比べて太陽光発電の市場は、国の制度設計や改正要綱などに大きく左右される。

制度改正は毎年行われているため、ここをしっかりと見極めることがポイントといえる。まずはマーケットの動向に大きな影響を与える「固定価格買取制度(FIT)」の2017年度案を見てみよう。

FITは、設備認定した太陽光発電(及びその他の再生可能エネルギー発電設備)が発電した電力について、その買い取りを電力会社に義務付けた制度だ。

その年度に新設され認定された設備の電力は、その年度に決められた買取価格で、一定期間買い取り続けなければならない。期間は10kW以上の産業用太陽光発電が20年間、10kW未満の家庭用は10年間となっている(2017年2月末現在)。

買取価格は毎年度見直されており、「10kW以上2MW未満の産業用設備」は、2017年度は「21円+税」が有力視されている(表1)。

有力視と表現したのは、表1の記載金額は、経産省の審議会「調達価格等算定委員会」が昨年12月に発表した調達価格“案”だからだ。

これを受けて経産大臣が年度末までに、最終決定を降すこととなっている。ただし、過去の最終決定はいずれも価格案と同額であったため、基本的には表1が2017年度の価格と考えてほぼ間違いないといえる。

21円の買取価格は、FITがスタートした2012年度(税別40円/10kW以上)のほぼ半額。それだけに落胆の声が大きいことは確かだ。

しかしながら技術もまた急速に進化しており、買取単価が下がっても発電量を最大化することで絶対額を高めるための手法が登場している。

例えば「過積載」である。これはパワーコンディショナの容量を大きく上回る出力の太陽光パネルを敷き詰めることで、朝夕でも可能な限りの発電を行い、1日トータルの発電量を最大化する手法だ。

また「パワコンの分散設置」も発電量を最大化させる有力手法といえる。これは複数のパワコンを設置して太陽光パネルの制御を細分化し、発電ロスを最小限にとどめて、発電量を最大化するもの。

一般的な太陽光発電では、出力がピークに達するのは、(晴天であっても)1日のうちの数時間とされる。

しかしながら前述した二つの手法は、発電ピーク時間を引き延ばし、朝夕や低日照時の発電量を底上げするための手法だ。しかも、システム価格が2012年比で大幅ダウンしていることも見逃せない。買取単価だけをみて太陽光発電を判断するのは、早計に過ぎるといえよう。

9月にスタート「入札制度」

表1でもう一つの注目ポイントは、2MW以上の産業用太陽光発電設備だろう。2017年度からは「入札制度」がスタートするからだ。

2MW以上については、これまでのように国が買取価格を設定するのではなく、発電事業者が電力の売却額、及びその総発電容量を提示。国は最も安価な価格を入札した事業者から順次、落札者を選択。その年の募集発電容量に達した段階で、募集を打ち切るという流れになる。

2017年度と2018年度は試行期間と位置づけられており、合計で3回の入札が実施される。第1回は2017年9月に募集を開始し翌10月に締め切り・結果発表となる。募集容量は500MWとなるようだ。

2018年度は6月と11月の実施が予定されており、2019年度以降も年間2回の募集を行う方針とされている。

入札制度の導入には、太陽光発電事業者に競争原理を働かせることで、電力ユーザーから徴収している賦課金の上昇を抑制する狙いがあるとされる。

その一方で過度の競争原理が事業者の参入意欲を削ぐ可能性もあり、「再生可能エネルギー発電設備の拡充という基本テーマを阻害しかねない」との懸念もある。その意味でも第1回の入札がどのような結末を迎えるのかが注目される。

2017年度の税制優遇措置

産業用太陽光発電では、税制の優遇措置も市場に与える影響が大きい。特にグリーン投資減税は、設備導入した年にその投資額を100%即時償却できるため、これまで太陽光発電の普及を大きく後押ししてきた。

しかし2017年度は、太陽光発電設備を100%即時償却できる優遇措置はない。グリーン投資減税は延長されるものの、表2のように太陽光発電は30%の特別償却か7%の税額控除(中小企業者のみ)を選ぶこととなっている。

しかも対象となる太陽光発電設備は、FITの設備認定を受けていないものに限られている。つまり国は今後の太陽光発電設備の在り方を、売電目的から自家消費等へと切り替えようとしているわけである。

原子力発電所の再稼働が現実化してきている今、この流れは必然といえるのかもしれない。

ただし、自家消費を効率的に行うためには蓄電池が不可欠。だが、蓄電池はコストの問題がまだクリアされておらず、特に産業用における自家消費は「時期尚早」との声が支配的であることも確かである。

自家消費は、コストがこなれつつある小型蓄電池を用いた「家庭用太陽光発電で先行する」と予測する関係者が多くなっている。

いずれにしても2017年度の太陽光発電市場が、大きな岐路に立たされていることは確かだ。それだけに設備の設置目的を明確化し、その目的に応じた最善の設備設計を行うことが重要といえる。

■表2 太陽光発電に関する税制優遇措置(2017年度)

1.グリーン投資減税
対象者 青色申告を提出する個人または法人(1年以内に事業の用に供した場合)
対象設備 10kW以上の太陽光発電(FITの設備認定を受けていないもの)
支援内容 中小企業者に限り、取得価額の7%相当額の税額控除
5-1 普通償却に加えて取得価額の30%相当額の特別償却
6-1 ※上記のいずれか一つ
利用方法 確定申告時に税務署へ必要書類を提出
期限 2018年3月31日までに対象設備を取得
2.再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(固定資産税)
対象者 発電設備を取得した事業者
対象設備 太陽光発電(FITの設備認定を受けていないもの)
支援内容 課税標準となるべき価格の2/3
利用方法 設備所在の市区町村に必要書類を提出
期限 2018年3月末