パナソニックが中間報告「宅配ボックス実証実験」再配達率49%が一気に8%まで減少
宅配業者の労働時間も大幅抑制!

 2月24日、パナソニックから非常に興味深いニュースリリースが発表されました。「宅配ボックス実証実験 中間報告」です。

 同社は2016年11月から、福井県あわら市において「宅配ボックス実証実験」をスタート。実験対象はあわら市内在住の共働き106世帯。実験は2017年3月31日まで行われます。

 今回のリリースはその中間報告で、設置した宅配ボックスについて11月1カ月間の稼働状況を集計し、実験開始前の2016年10月と比較したものです(総宅配数は11月761回、10月583回)。

 これによれば宅配便の再配達率が、10月の49%から11月は約8%までに一気に減少したとのこと。この結果は1カ月間だけとはいえ、かなりの成果といえるのではないでしょうか。

 少し古いデータですが、国交省2015年9月に発表した報告書によれば、宅配便配達の総走行距離に関して、実にその25%が再配達のために費やされているとのこと。かくいう筆者自身、共働き世帯で昼間は家を空けていることが多く、再配達の利用頻度が少ないとはいえません。

 しかし、これはある意味で無駄な労働力や燃料消費につながっているといえるわけで、その抑制のために宅配ボックスの設置は、一定以上の効果があることは確かでしょう。

政府が設置費用の半額を補助

 宅配便の再配達問題と聞いて思い出されるのは、先日、テレビや新聞で大きな話題になったばかりのヤマト運輸労組による「宅配便の引き受け抑制要求」です。

 ネット通販の拡大による宅配物の急増やその再配達の増加、そして慢性的な人手不足などから、現場へのしわ寄せが拡大。このためヤマト運輸の労組は、2017年度の宅配便引き受けを抑えるように会社に要求したというものです。

 宅配便はもはや暮らしに欠かせない物流インフラ。当たり前に使い続けており、そのサービスの一つである再配達依頼も気軽に使っています。その一方で物流現場には今、過度の負担が生じているということを、改めて知らされたという方も多いのではないでしょうか。

 このニュースが注目されたばかりですから、今回のパナソニックの中間報告は非常に時宜を得たものといえます。報告では再配達の大幅減少により、宅配業者の労働時間に関しても、約65.8時間の労働時間削減につながったとのこと。結果として物流業界の人手不足の解消にもつながるわけです。

 ただし、宅配ボックスが稼働しなかった(再配達を行った)件数もあり、その主な理由は以下の4つです。

1.宅配業者がボックスを使わなかった(16回・28%)。
2.ボックスがいっぱいだった(14回・24%)
3.冷蔵・冷凍(14回・24%)
4.大きすぎて入らなかった(6回・10%)

 1と2は宅配ボックスのシステムや認知度の話であり、改善の余地はありそうですが、3と4についてはボックス自体の物理的・機能的な問題。これを解決するには、より多機能で大型のボックスを設置するということになりますが、コストやサイズなどで限界があることも確か。現実的に宅配ボックスは、ある一定レベルの再配達を抑制するシステムと考えるべきなのでしょう。

 そもそも宅配ボックスの普及そのものが、いつ・どこまで拡大するかという問題があります。設置費用はあくまでユーザー負担。政府はこの4月から企業を対象に、宅配ボックスの設置費用の半額を補助する新制度をスタート。初年度は500カ所の新設を目指すとしていますが、こうした制度により普及が今後、どこまで加速するのか注目されます。

 一方で、個人については、「各世帯への普及は非現実的」との声が少なくないようです。宅配ボックスの利便性や社会的貢献度の高さは理解できても、例え補助金があったとしても「では身銭を切ってまで」となると確かに普及は簡単ではなさそうです。

 今後はコンビニや通販事業者などが個人向けの宅配ボックス設置を強化する方とのことで、こうしたものの利用が現実的といえそうです。いずれにしても宅配ボックスが、世界でも有数の利便性を誇る日本の物流インフラの、今後を支えていくことは間違いないでしょう。(征矢野毅彦)