発電量最大化の提案が顕著に!「PV EXPO 2017」「過積載率200%」を実現したSMA
田淵電機は「パワコンと蓄電池を合体」

 3月1日~3日にかけて東京ビッグサイトで開催された太陽光発電のビッグイベント「PV EXPO 2017」。FIT(固定価格買取制度)の買取価格が高額で、「産業用太陽発電=売電ビジネス」だった数年前のような熱気こそ冷めつつあるものの、相変わらず多くの来場者による賑わいを見せていました。

 出展各社の訴求テーマは今年、「既存設備の発電量を増加させる提案」や「電力の自家消費提案」などが顕著だったと感じました。従来の「売電して儲けましょう」というスタンスから、今ある設備や新規開設する設備について、「新たな技術や考え方などを導入することで、より有効活用しましょう」という姿勢に大きく転換したわけです。

 そして近年の太陽光発電市場で重要なキーワードとなっているのが「過積載」です。これは、太陽光発電パネルとパワコン(パワーコンディショナー)の出力を同等に設定するのではなく、パワコンの出力を上回る出力数(枚数)のパネルを敷き詰めることで、1日トータルの総発電量を高めるもの。

 例えば49.9kWのパワコンに60kW分の枚数のパネルを組み合わせた場合、設備としては規制が緩い低圧設備(10kW以上50kW未満)として認定されますが、実際の発電能力は従来の低圧設備を大きく上回ることになります。この手法は新規設備はもちろん、既存設備でもパネルを増設することで対応できます。

国内市場攻略に本腰「SMA」

 ただしネックとなっていたのがパワコンのメーカー保証問題です。過積載という考え方がなかった時代に製造されたパワコンは、表示出力と同等のパネルを組み合わせることが前提。過積載をした場合、メーカー保証は行われないケースが大半でした。

 しかし、過積載が主流となってきた現在では、パワコンメーカーもその流れを無視できません。過積載対応パワコンが多く出回るようになってきました。

 その中でも今回のPV EXPO 2017で衝撃的だったのは、ドイツのパワコンメーカー「SMA」です。同社製単相3.5kW、同4.5kW、同5.4kWパワコン3機種について「過積載率最大200%」を打ち出したからです。

 これは表示出力の、2倍の出力までの太陽光発電パネルに対応可能ということ。従来は140~150%が上限といわれていましたから、圧倒的な過積載率といえます。

 例えば4.5kWと5.4kWを組み合わせて9.9kWパワコンとし、家庭用の設備として認定を受けつつ、実際には20kW近い産業用並みの発電が可能になるわけです。しかも標準で10年保証、オプションで最大20年保証を選べるというのは、確かな信頼性の証といえるでしょう。

 SMAは国内ではまだ馴染みが薄いメーカーですが、グローバルではシェアNo.1。国内市場の攻略には、今年から本腰を入れるとのこと。PV EXPO 2017では5モデル(5.4kW~2500kW)を展示しましたが、そのすべてが新製品という力の入りようでした。

 しかも、前述した過積載対応については現在、随時検証を進めており、「近い将来の全商品対応を実現する」とのことでしたから、今後の太陽光市場では“台風の目”的な存在となりそうです。

SMAは世界初の自立式分散型パワコン「SUNNY TRIPOWER CORE1」を今秋、出荷開始予定。

後付けの太陽光パネル分散制御を実現「ampt」

 過積載と並んで出力最大化のもう一つのキーワードは「パワコン分散設置」です。これは例えば500kW設備の場合、500kWパワコン1台で太陽光発電パネルを制御するのではなく、10台の50kWパワコンや20台の25kWパワコンなどを用いるもの。これによりパネルも10組や20組に分けての分散制御が可能になり、日陰や汚れなどによる発電ロスの最小化が実現します。

 ただし、この手法が主流になったのは最近のこと。FIT初期のメガソーラーなどでは1~数台の大型パワコン設置が当たり前でした。

 そこで、これを既存設備はそのままに、後付けによる分散制御を可能にするシステムを提案したのが、米国「ampt社」の「V1000JPストリングオプティマイザ」です。

 ストリングオプティマイザは、複数組に分けた太陽光発電パネルと大型パワコンとの間に設置し、パワコンの代わりにパネルの分散制御を行い、発電量の最大化を実現します。

 同社によれば「20年間で平均約5%の売電量改善が見込める」とのことですから、既存ユーザーにとっては聞き捨てにできないシステムといえるでしょう。もちろん新設の太陽光発電でも有効とのことです。

パネルの分散制御を後付けで実現する「ampt V1000JPストリングオプティマイザ」

「田淵電機」「パナソニック」の自家消費提案

 PV EXPO 2017では「自家消費」の提案も積極的に行われましたが、これは現状、住宅用に向けた提案が主流です。というのも、現在につながる住宅用太陽光発電の余剰電力買取制度のスタートが2009年であり、2019年には制度適用除外になる設備が出てくるからです(余剰電力買取の買取期間は10年)。

 制度除外になっても余剰売電を継続することは可能ですが、その際の買取価格は大きく引き下がることが確実視されています(価格は未定)。そうであるならば、電力をすべて自家消費し、電力会社からの買電を減らすことで経済的なメリットを得ようというわけです。

 そのために新たに必要となる設備が蓄電池。早朝などの活動時間以外などに発電した電力を溜め込むことで、電力のより有効な活用が実現できます。

 この提案を積極的に展開していたのが弊誌シャニムでもお馴染みの国内パワコンメーカー「田淵電機」です。同社の「EIBS(アイビス)」は、蓄電ハイブリッドパワーコンディショナ&リチウムイオン蓄電池ユニット。5.5kWパワコンに、容量9.48kWhの蓄電池ユニットが合体したシステムです。

 この蓄電容量の使用時間目安は、50Wの冷蔵庫で24時間/日、100Wのテレビで4時間/日とのこと。日常の補助電力や非常用電源としては、十分なものといえそうです。また三つの運転モードを持っており、蓄電電力の供給源を太陽光発電としたり、電力会社の深夜電力とするなどの選別が可能です。

自家消費に不可欠の蓄電池とパワコンを合体「田淵電機EIBS」

 参考出品ながら太陽光発電の自家消費で先進的な提案したのが「パナソニック」です。プラグインハイブリッドのトヨタ・プリウスの屋根に「ソーラー充電システム」を搭載。充電スタンドがない駐車場や災害などで停電した場合でも、太陽光さえあれば発電。この電力を駆動用バッテリーに蓄えることで、電気自動車(EV)として走行が可能になります。

 このシステムによるEV走行が可能な距離は、最大で6.1km/日、平均で2.9km/日とのこと。非常用の動力源として考えれば、まずまずといえるのかも知れません。

 また日常の走行中でも発電を行うため、駆動用バッテリーの消費低減という副次的な効果もあるとのこと。現実的には、こちらのメリットの方が、有効性が高いように感じました。(征矢野毅彦)

世界初! パナソニックのEV用「ソーラー充電システム」