“バズーカオーディオ”を復活!レグザBZ710X66Wアンプで大型ウーファーを駆動
“黒浮き”現象も独自の技術でカバー

 先日(3月22日)、東芝が4Kテレビの新製品レグザ「BZ710X」シリーズを発表しました。55インチで約30万円(想定売価)ですから、レグザのラインアップの中ではミドルクラス。とはいえレグザ独自の全面直下LEDバックライトを採用しており、緻密なエリア制御等による高画質化が図られています。

90年代に一世を風靡した「バズーカオーディオ」

 その上で音質にもこだわっており、かつて一世を風靡した「バズーカオーディオシステム」を20年ぶりに復活搭載しています。

 最近のテレビは狭額縁化が進んでいるため、スピーカーのサイズや搭載場所に苦労するモデルが多いわけですが、東芝はこの課題に対して、ボディの背面下部を膨らませ、ここに重低音バズーカウーファーと2ウェイ大型バスレフスピーカーを搭載。しかも総合出力66Wのマルチアンプで駆動するので、非常に迫力あるサウンドが再生できます。

 しかも「さすが」と思ったのは、写真のように背面下部を膨らませてはいるものの、壁掛け設置にも対応していること。膨らみを壁掛け可能なギリギリのラインまでに止めているため、メーカー純正品のみならず汎用の壁掛け器具にも対応可能とのこと。

 発表会では東芝のエンジニア氏にいろいろな話を聞くことができました。その中で非常に興味深かったことは、いわゆる“黒浮き”現象への対処法です。画素自体が発光しない液晶テレビは、黒色については液晶のシャッター幕を閉じて光を通さないことで再現しています(バックライトを持たない自発光のプラズマや有機ELは光を消すことで黒を再現)。

 しかし、いくらシャッター幕を閉じてもバックライト自体は発光を続けているために、その光が漏れてしまい、黒をきちんと再現することが難しいわけです。かつてバックライトが蛍光管だった時代はこの傾向がかなり顕著で、黒といってもかなり灰色っぽい色味。当時のライバルだったプラズマとは、この部分では大きく差を開けられていました。

 バックライトがLEDに代わり、瞬時の点・消灯が可能になったことで、黒の再現力はかなり追いついてきましたが、それでも完璧な黒再現となると、まだまだ課題が多かったことは確か。

 というのは、LEDバックライトは消灯可能といっても、実は完全な消灯ではなく、明るさのカット率は99%まで。1%分の明るさが残ってしまい、それがいわゆる“黒浮き”現象となっていました。

 そこで東芝はBZ710Xに、「電流を10倍絞る」という新たな技術を搭載。1%の明るさが残っても、その際の電流を従来比で10倍に絞ることで、可能な限り暗くすることが可能になります。

 実際、従来モデルと同じ映像での比較を見ましたが、BZ710Xの黒色は確かに黒い。従来モデルはやや青みがかった黒になっており、電流10倍絞りの効果はてき面に現れていました。しかも「美肌リアライザー」を搭載しており、肌色の質感を、白っぽくし過ぎずリアルに表現可能。ミドルクラスながら、映画鑑賞などではワンランク上の映像を楽しめるはずです。
 
 ただし個人的に残念だったのは画面サイズ。最大で55インチまでしかラインアップしていないことです。これだけの画質や音質を再現できるのだから、より大きな60~65インチがあればと思ったわけです。

 そのことを質問したところ「BZ710Xのコンセプトは“リビングで家族みんなが高画質を楽しむテレビ”。それには視野角の広いIPS液晶ディスプレイが最適であり、結果として55インチまでとなった」とのこと。

 IPS液晶はVA液晶と比較して「正面コントラストは劣るが視野角が広い」という特徴があることは知っていましたが、一般に出回っている最大サイズは50インチ台までなのだそうです。これ以上のサイズを出すにはVA液晶しかなく、これだと基本コンセプトから外れてしまうため、今回は55インチにとどめたとのことでした。

 まあ「60インチ以上が必要なら、さらに上のグレードをどうぞ」ということなのでしょう。レグザは最上級モデルには65インチ有機ELをラインアップしていますし、それらとの兼ね合いなのだと思います。

 サイズを除けばBZ710Xは、全面直下LEDバックライト、バズーカオーディオシステム、HDR対応などと、1~2年前の最上級クラスに匹敵する機能を搭載。ミドルクラスとしては、かなりのハイスペックなモデルであることは間違いないと思います。(征矢野毅彦)