室伏選手の後継者候補No.1が入部・ヤマダ電機陸上競技部旧モンテローザ陸上部から7名が移籍
陸上競技部の新体制を発表したヤマダ電機

 4月13日、ヤマダ電機が同社陸上競技部に関する発表会を開催しました。昨年廃部が決まった(株)モンテローザ陸上競技部の7名(選手5名、監督・スタッフ2名)の移籍を受け入れ、これにともなって名称も「ヤマダ電機女子陸上競技部」から「ヤマダ電機陸上競技部」に変更するというものです。

 2004年4月に創部されたヤマダ電機女子陸上競技部ですが、翌年8月にはヘルシンキで開催された世界陸上の女子マラソンに、当時キャプテンを務めていた江田良子選手が出場。17位完走するなど、華々しいスタートを飾りました。江田選手はテレビ中継で確か「世界最速の受付嬢」と紹介されていたと記憶しています。残念ながら当時、受け付けにいる江田選手に遭遇したことはありませんでしたが。

 その後、選手が代替わりしても順調に活動を続けており、2016年11月の「第36回全日本実業団対抗女子駅伝」では3位に入賞。そして第16回世界陸上の選考会を兼ねた2017年3月の「名古屋ウィメンズマラソン2017」では、石井寿美が2時間27分35秒で5位入賞を果たすなど、女子長距離レースチームとして国内トップクラスのポジションを築きつつあります。

 特に石井選手はまだ21歳。しかもフルマラソンは今回が初参加だっただけに、これからの期待が大。2020年の東京オリンピックを十分に狙える選手といえるでしょう。

2020年を狙える逸材揃い

 そして今回、モンテローザから移籍してきた選手達も、2020年を狙える逸材揃いです。まず男子ハンマー投げの柏村亮太選手(前列左)ですが、彼は2016年の日本選手権チャンピオン。あの“鉄人”室伏広治の後継者候補No.1と目されているトップアスリートです。

 昨年の優勝記録70m81は日本歴代6位で、オリンピック標準記録の77mまではあと一息。伸び盛りの25歳ということを考えれば、十分に2020年を狙えるポジションにあるといえるでしょう。今年の目標は「日本選手権二連覇」とのこと。ぜひとも注目したい選手です。

 また、男子110mハードルの増野元太選手(23歳・前列左から2番目)と女子七種競技の桐山智衣選手(25歳・前列右)は、共に2016年の日本選手権を第2位でフィニッシュ。日本陸上界を代表するトップアスリートといっても過言ではなく、今後の活躍が期待できる選手です。

 今回、モンテローザ所属だった選手達がヤマダ電機に移籍した背景には、ヤマダ電機の山田昇会長が、東日本実業団陸上競技連盟の会長を務めていることが大きいようです。昨年夏にモンテローザの廃部が決まり、所属選手達の移籍先を探す中で、連盟会長である山田会長に相談があったとのこと。

 発表会で挨拶したヤマダ電機の桑野光正社長(後列中)によれば、移籍の受け入れは「所属選手達が2020年への可能性を秘めていることに加えて、これまでの活動歴が競技だけでなく、地域貢献や青少年育成などにも積極的だったこと。その方向性が、当社の陸上競技部と一致したから」だと話していました。

 ヤマダ電機陸上競技部のトラック&フィールド監督に就任した田中宏昌氏(後列左)によれば「モンテローザ時代には延べで3万5000人以上を対象に陸上競技クリニックを実施し、昨年さけでも5600人にスクーリングを行った」とのこと。そして「子供達に陸上競技の素晴らしさを伝えるためには、目の前で選手達のパフォーマンスを見せること。この活動をもっと積極的に行っていきたい」と語っていました。

 一般には「企業スポーツ受難の時代」などともいわれ、さまざまな企業の運動部が、廃部や撤退などに追い込まれており、中には有力選手が競技生活を断念するケースもあるようです。

 それだけにヤマダ電機という新天地を得た旧モンテローザの選手達は、恵まれているともいえますし、寄せられている期待にも大きいものがあることは確かでしょう。選手達には、そうしたプレッシャーをはねのけてもらい、ぜひとも2020年に最高のパフォーマンスを見せて欲しいものです。(征矢野毅彦)