ヤマダのBCP提案/日本ユニシス「クロノロジー型情報共有ツール」大量情報の迅速な「一元化」機能に特化
非常時に人が使いこなせるシステム

 大規模災害やテロなどに備えて、BCP(事業継続計画)に注目が集まっています。ヤマダ電機も4月26日と27日に東京八重洲のConcept LABI Tokyoにおいて「BCP訓練セミナー」を開催しましたが、二日間で計4回の講演がすべて満席という大盛況。緊迫する東アジア情勢やテロの脅威などが現実化しつつある昨今だけに、その備えに敏感な企業が非常に多いことの現れでしょう。

 セミナーのコンテンツは、日本ユニシス「ありそうでなかったクロノロジー型情報共有ツールの紹介」とニュートン・コンサルティング「BCP訓練の始め方・情報共有ツールの使い方セミナー」の二つ。両者について、今週と来週の2回に分けてその概要をお伝えしましょう。まず今週は日本ユニシスの「クロノロジー型情報共有ツール」です。

極めて簡素化された情報入力作業

 クロノロジーとは“時系列”のこと。情報を時系列に沿ってホワイトボードなどに書き出し、整理する手法のことです。災害時に社内の各部署や支社支店などから入ってくる被害情報などを、時系列でホワイトボードに書き込んで整理するシーンを見たり、実際に経験した方も少なくないでしょう。日本ユニシスの「クロノロジー型情報共有ツール」は、この作業をシステム化したもの。書き込まれたすべての情報を一元管理し、かつ後から必要な情報だけを抽出するなど災害時の情報共有だけに特化したシステムです。

 そして何よりも特筆できることは、情報をインプットする作業が極めて簡素化されていること。災害情報を入手したスタッフは、寄せられた情報をホワイトボードに書き込むように、パソコンやスマホなどで文章としてインプットするだけ。それ以外の余計な操作や機能等は一切カットされているため、たとえ混乱のさなかにあっても悩むことなく、迅速な情報入力が可能です。

 日本ユニシスでは同システムの目的を「非常時でも使えること」としており、「人が使いこなせるシステム」が基本コンセプトだといいます。そのための設計思想は次の二つ。
①機能は少なく、操作はシンプル/本当に必要なことのみシステム化する。あったら便利でも使えないなら作らない。
②導入後も設定を変えられる/使って初めて分かることがあることをあることを認識。設定変更を繰り返しながらお客様の運用にフィットするシステムを目指す。

旧システムから得られた苦い経験

 日本ユニシスが、こうした極めてシンプルな災害用情報共有システムを開発するに至った背景には、過去に開発した旧システムから得られた“苦い経験”があったからだといいます。同社は2009年から防災情報システムの開発を進めていますが、当時のものは地図情報をベースとしており、豊富な機能・メニューが特徴でした。

 旧システムは実際に20以上の自治体に採用されたとのこと。そうしたユーザーからの様々な声に耳を傾け、要望等を真摯にシステムへと組み込んでいった中で、いつしか機能過多に。その結果、防災訓練を行った際には、情報をインプットする現場スタッフにとっては操作や判断に迷うことが多く、非常に使いにくいシステムとなっていたとのことでした。
 
 ・システムに入力すべき内容なのか?
 ・どの機能を使うのか? その使い方は?
 ・どの部署に伝えればいいのか?
 
 迷う要素が多く、1件の入力時間が長引くために情報処理が追い付かず、結局はホワイトボードに書き込んでしまい、システムは使われないという悪循環に陥ったとのこと。
 「ただし現場は間違いなく混乱しており、システム導入により効率化・省力化できる余地は大いにある」(日本ユニシス)。

 「クロノロジー型情報共有ツール」はこうした経験を踏まえた上で、2015年から販売を開始したシステムであり、その役割は、各所に散在している大量の情報を、迅速に一元管理すること。そのための必須機能が、極めて簡素化された情報入力方法というわけです。

 そしてシステムがユーザーに提供する価値についても「全社レベルでの状況把握や意思疎通、進捗管理等にかかる時間と労力の削減」と割り切っており、システムにありがちな分析機能や予測機能などはカット。一元管理から先の「判断」や「処理」は人の役割としており、そうした機能を非搭載にしたことで「非常時に人が使いこなせるシステム」に仕上がったといえます。

 これはある意味で逆転の発想といえるでしょう。一般的にシステムというと、様々なことをこなしてくれるイメージがありますが、平常時ならいざしらず、災害時における多機能システムは邪魔でしかないない、ということなのでしょう。こうした割り切った設計思想で商品化に踏み切れたのも、過去に苦い経験を持つ日本ユニシスならではといえるかもしれません。

 講演の末尾で語られた「災害時の情報システム構築の留意点」が非常に印象に残りましたので、最後に記しておきましょう。

①システムにどこまで求めるか(何を解決したいのか)のポリシーを明確に持つ。
②便利なアウトプットを求めるなら、相応のインプットが必要という認識を持つ(魔法はおきない)。
③平常時利用にこだわり過ぎず、定期的・簡易な訓練を繰り返すことを目指す。
                               (征矢野毅彦)

※)本内容の無料セミナーは「5月18日(木)15:00~」ヤマダ電機LABI1なんば にて開催されます。お申し込みはこちらまで。定員100名、お申込み期限は5月16日(火)です。