ヤマダのBCP提案/Nコンサルティング「BCP訓練の始め方」効果的なBCP活動のための鉄則は
「何年も何年もやり続ける」こと

 4月26~27日に開催されたヤマダ電機のBCPセミナー(於・八重洲Concept LABI Tokyo)で、目玉といえたのがニュートン・コンサルティング社による「BCP訓練の始め方」でしょう。同社は1000社を超えるBCP構築支援実績を持つBCPのプロフェッショナル。副題の「災害が起こったとき、文書があるだけでは動けない!」との文言にひかれて、会場を訪れた方が非常に多かったように感じました。

 どんなに立派なプランを策定しても、イザというときにきちんと実践できなければ絵に描いた餅。そうならないためには、やはり日ごろからの「訓練」や「トレーニング」が不可欠というわけです。

3.11や熊本地震で訓練の成果を発揮

 セミナーの冒頭、訓練事例として紹介された東北地方の製造業A社では、偶然ながら3.11東日本大震災の数日前にBCP訓練を実施。3.11当日は停電したためBCP文書が印刷できなかったものの、数日前の訓練の記憶が残っていたため、訓練参加者が何をやるべきかを模造紙に書き出して、それに基づいて迅速に行動できたとのこと。

 また、昨年の熊本地震の1カ月前にBCPを策定し、対策本部訓練を実施したB社(東京・運輸業)では、災害時には対策本部事務局へ負荷の集中することが、訓練を通じて他部門にも認識されていたので、実際の活動では他部門からの支援がスムーズに行われたとのことでした。

 その他にも、熊本地震で被災した企業のBCPの課題として、次のようなものがあげられました。
 
 「地方拠点が被災した場合の対策は決まっていたが、訓練ができておらず、場当たり的な対応となった」
 「派遣社員の安否確認ルール、大地震が複数回発生した場合のお客様の安否確認ルールが決まっていなかった」
 「東京から聞きたいことを一方的に聞いたところ、『被災者の話を聞け』と現地から苦言があった」
 「被災者を被災地から動かすことについて、現地の社員から抵抗があった」
 「自治体との協定の内容がまったく詰まっておらず、自社の業務との両立に課題」
 「現地に人員を派遣したグループ会社の、現地での連携に問題が発生した」等々。

 講師を担当したニュートン・コンサルティングのシニアコンサルタント・辻井伸夫氏によれば、BCP訓練の内容はその企業のBCPに関する習熟度や理解度に応じて、最も初歩の「BCP勉強会」から最上級の「ストリートワイド訓練/インダストリーワイド訓練」まで8段階が用意されているとのこと。そして初歩からそのすべてを終えるには通常、2~3年を要するとのことでした。

 セミナー当日は8段階のうち、中級レベルに位置付けられる「災害図上演習」と「タイムラプス訓練」、そして「意思決定訓練」の3つが紹介されました。その概要は以下の通りです。

 「災害図上演習」は地図を使って場所ごとの具体的な被害想定をイメージ。地域の特性を把握すると同時に、有事の際に行うべき具体的な対応策を検討することを目的としたもの。進行役がごく簡単な被災想定を説明し、参加者は与えられた基本情報に基づいて具体的な被害想定を検討し、これを地図に書き込みます。その上で事業継続対策の検討や、必要な経営資源と情報の把握、そして課題の整理などを行うものです。

 この訓練の、成功の秘訣として辻井氏は「目的を明確にすること」と「ゲーム感覚で気軽に実施すること」をあげています。

BCPの活動を効果的にする5つの鉄則

 一方、「タイムラプス訓練」は発災直後からの災害対策本部メンバーや、対策本部各班の動きを確認するもの。例えば、災害発生から1時間経過後にこういう問題が発生、1時間20分後に新たな被害が発生、3時間後に自家発電装置が停止、といったように、時間経過の中で発生した状況や被害などを設定。それぞれに、誰がどう対応するのかをシミュレートするものです。

 辻井氏によればこの訓練で重要なことは、「実際に発災したときの混乱状況を、訓練の場において体験すること」としており、90分間の訓練で180以上の状況付与を用意しているとのことでした。

 そして最後の「意思決定訓練」は、進行役が読みあげた課題・状況に対して、YESかNOかを瞬時に答えるもの。そして意思決定した内容について、多数派・少数派それぞれから判断理由を聞き、即決した人がいれば即決できた理由、決定に時間を要した人からは、どこで迷ったのかを聞くというものです。

 ここで紹介した3つの手法はいずれも実践的な訓練といえ、参加者からは「いろいろな会社・立場の人が1つの目標に向かって白熱した議論を行えた」や「普段からお付き合いがほとんどない方々と顔合わせでき、意見交換できたことはとてもよかった」などの声が多く寄せられているそうです。

 セミナーの終盤で「BCPの活動を効果的にする5つの鉄則」が語られたので、最後に紹介しておきましょう。(征矢野毅彦)

1.社長自らが指揮を執る。
2.社内で最も活躍するキーマネージャーたちが推進する(トップを補佐する実行力のあるリーダーが必要)。
3.現場の社員全体で活動する。
4.自社独自のやり方を自ら考えて行動する。
5.何年も何年もやり続ける。

※)本内容の無料セミナーは「5月18日(木)15:00~」ヤマダ電機LABI1なんば にて開催されます。お申し込みはこちらまで。定員100名、お申込み期限は5月16日(火)です。