いよいよ本格化!?「ラズパイ」のビジネス活用手のひら大の低価格コンピューター
IoT時代のキーパーツに高まる期待

ラズパイとは

突然ですが、「ラズパイ」をご存知ですか?――。先日、PCやデジタル周辺機器を手がけるメーカー関係者との打ち合わせで今後の注目アイテムとして話題に挙がったのが、このラズパイでした。

ラズパイはラズベリーパイの略称ですが、スイーツでも人気アニメのことでもありません。Wikipediaでは、「ARMプロッセーを搭載したシングルボードコンピューター」と解説されていますが、要は基板がむき出しになった手のひらサイズのコンピューターのことです。

2~3年前に少し話題になりましたから、名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。恥ずかしながら、個人的にもラズパイに関する知識は「安くて低スペックのPC」くらいのもの。しかし、「今後、ラズパイはビジネスでもますます注目度が増す」(メーカー関係者)というだけに、この小さなコンピューターについて改めて調べてみました。

ラズパイの概要

前述したように、ラズパイとは「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」の略称であり、英国のラズベリー財団によりプログラム学習などの教育用として開発されたシングルボードの小型コンピューターです。約5年前の2012年2月に1号機が製品化され、その安さから「発売初日に10万台が売れた」という逸話があるそうです。累計販売台数は「2016年11月25日時点で1100万台」(Wikipediaより引用)に達しているとのこと。

ラズパイにはいくつか特徴がありますが、やはり目を引くのは“安さ”といえます。画像処理を行う主要パーツであるGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)や、HDMI/USB/LANなどの各種ポートを搭載しながら日本円で5000円前後。これが、手のひらサイズで実現されているわけです。

これまで8モデルがラインアップされてきましたが販売が終了した機種もあり、現在入手できるのは5モデルとのこと。最新バージョンは、2016年2月に発売された第三世代となる「Raspberry Pi3 Model B」です。

スペックアップもそうですが、第三世代版の従来モデルとの大きな違いは無線LANとBluetoothの通信機能が搭載されたことです。これにより、ワイヤレス運用が可能となったため、後述するようにIoT用途などでの本格活用が期待されるようになりました。

●ラズパイシリーズの第三世代版「Raspberry Pi3 Model B」。画像提供:アイ・オー・データ機器
項目 スペック
CPU クアッドコア(1.2GHz)
メモリー 1GB
ネットワーク 有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T)/無線LAN(IEEE802.11 b/g/n)
インターフェイス USB端子(4ポート)/HDMI/GPIO
Bluetooth Bluetooth4.1対応
ストレージ microSD
サイズ 85.6×56.5mm(コネクター部を除く)
質量 45g

基本的にラズパイは海外製品ですが、2016年11月から日本製Raspberry Pi3 Model Bの販売が開始されているそうです。スペックなどは海外版と同じですが、国内で製造や品質管理を行うことにより、柔軟な活用やコスト削減にメリットがありそうです。

用途はプログラミング学習や組み込み向け

概要を見ての通り、ラズパイは基本的にはPCと同じ構造です。CPUとメモリー、GPU、HDMIやLAN端子、USBポートを搭載しており、キーボードやマウス、ディスプレイとつなぐことができます。内蔵HDDこそありませんが、microSDを装着できるのでOSインストールやデータ保存も可能です。スペック上、動作は遅いですが、Web閲覧はできますしメールの送信も可能、ソフトをインストールしてドキュメントの作成も行えます。

端的にいえば、低スペックPCともいえます。これは前述したように、もともとラズパイは教育用に開発されていることが大きな理由です。このためプログラムも簡単に組めるようになっています。日本では2020年に小学校でプログラミング教育が導入される予定で、本来の用途として教育分野での活用が期待されています。

しかし、これだけではラズパイは低スペックPCということで話が終わってしまいます。なぜ、ラズパイがビジネス活用で期待されているかといえば、様々な電子機器を制御できる低コスト・パーツとして活用できるからです。

電子機器を制御

PCとして見てしまえば低スペックモデルですが、ラズパイにはメインボードの基板上にGPIO(*1)という入力端子が搭載されており、この端子を各種センサーやモーター、スイッチなどの部品や電子回路につなぐことで、ラズパイのプログラムにより様々な制御を行えます。
(*1)General Purpose Input/Output:汎用入出力。設定次第で様々な用途に活用できるデジタル信号の入出力端子

機器の制御にはLinuxベースのOSなどが使われますが、これを機器に搭載するにはオンボードのコンピューターが必要。OSをインストールでき、GPIOや各種ポートを搭載、しかも低消費電力かつ小型で低コストのラズパイは、こうした用途に最適というわけです。

このため、初期の頃からロボット開発をはじめ、電子機器や医療機器などで機器本体へ組み込む制御パーツとして使われてきました。また、専用の拡張モジュールも用意されており、各種センサーを利用してIoTを実現するパーツとしても使われ始めているとのことです。

●Raspberry Pi公式の拡張モジュール。ジャイロ/加速度/磁気/温度/湿度などの各種センサーが搭載されている。画像提供:アイ・オー・データ機器

これまでは研究開発や試作用途がメインでしたが、スペックアップし無線LANにも対応した第三世代モデルの登場により、汎用性やコストパフォーマンスが高いラズパイのビジネスでの本格活用への期待がますます高まっているというわけです。

今後、ロボットやIoTのビジネス導入が進むことは確実です。それを支える1つの要素としてラズパイのようなパーツは注目しておくべき技術といえそうです。(長谷川丈一)