必読!これがホントの“節税”講座不動産投資で節税”は都市伝説
自分で “目利き”できるかが重要

寄稿:梅川 貢一郎(有限会社トライアングル 代表取締役・税理士・公認会計士)

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「一人親方」の確定申告が増加

今年の確定申告シーズンもようやく終わりました。何しろ日本で法人税を申告している会社数が約80万社。それとほぼ同数の80万人が確定申告しているといわれています。

その年によって申告内容などにある種の傾向があるようです。今年の一つの特徴は、建設関係の職人、いわゆる一人親方の青色申告が多かったこと。相変わらず、少なくとも現在までは「建設ブーム」は続いているようです(そろそろ息切れが感じられますが)。

失礼ながら、建設関係の職人さんの多くは、あまり税金に関する知識もありませんし、関心もありません。

ところが建築関係の職人さんを雇う建設会社が、昨今の建設ブームでそこそこ儲かると、建設会社に税務調査が行われます。そこで外注先である職人さんの個人の申告がなされているかどうかがチェックされます。

建設会社は「下請けである外注先(一人親方と呼ばれる職人さん)の適正な申告にも責任を持ちなさい」ということです。結果として、今まで無申告だった職人さんも申告を始めるようになったようです。

もちろん今まで毎年申告を行ってきた方も大勢います。しかし申告は帳簿も適当な「白色申告」。しかし、収入も増え、65万円の控除が受けられる青色申告を行いたい。でも帳簿のつけ方が分からないので今回からは税理士に確定申告を依頼したいという方も多くいました。

儲けを出しづらいネット販売

二つ目の傾向は、副業の申告が増えていること。マイナンバー導入の影響かも知れませんが、副業の申告を行う方が増加しています。マイナンバーが、即「無申告」の摘発に役立つとは思えませんが、やはり不安を感じる方が多いのでしょう。

副業の業種は様々です。ピアノ教室、幼児教室、料理教室、これらは従来通りです。それに加えて増加が著しいのが、ネットでの物販業。国内で仕入れた小物をネットで海外に販売。あるいは、海外で仕入れたものを国内で販売。もちろんネットで特定のホームページから集客を行って手数料を稼ぐアフィリエイトも多いです。

楽天やAmazonなど、ネットでの市場が拡大・整備されている影響が大きいのでしょうか。今や小売業の総売り上げの約1割がネットでの販売だそうです。

でもものすごく儲かっている方は少ないかもしれません。何しろネットでの販売は利益率がとても低い。ネットの性格上、当然といえば当然ですが、お客様は画面上で次から次と同じ商品を検索して最も安い商品を販売している業者を選択します。

一方、販売業者はいつでも市場に参戦自由ですから日々新たなライバルが出現します。また検索エンジンの検索結果で上位を狙うためには、GoogleやYahoo!に莫大な広告料を支払う必要があります。広告費を支払った上でのし烈な価格競争の世界ですから、販売利益は限りなくゼロに近づきます。

ネット販売と並んで著しく増加したのが「民泊」。多くの場合、個人が遊休の不動産を活用するために、主に海外旅行者に宿を提供しています。民泊を紹介する業者、Airbnbを活用している方が主流のようです。

後述しますが、日本では都市部を含めて住宅、マンションなどの住居の空室が増えています。その空室の有効利用ですから当然民泊事業も今後増加するでしょう。また外国人観光客数が毎年増加している傾向からみても間違いなさそうです。

フリーを選択するなら法人化を

最後は、いわゆる「フリーランス」の方が増えているようです。もちろん、デザイナー、スタイリスト、写真家、編集者など、組織には属さないフリーランスは昔からあります。

最近多いのは、プログラマー、システムエンジニアなどのIT関係の人たち。正社員にしないのは会社の事情でしょうか。それとも本人の希望? 人によっては複数の会社を掛け持ちしますが、多くの方は、相当の長期間にわたって同じ会社にあたかも社員のように「常駐」します。

プロジェクトが終了すると、また次の会社に常駐するようです。中には会社に出勤するのは週に一回程度。作業は自宅という方も多くいます。

確かにネット環境とパソコンさえあればどこでも仕事はできます。IT会社にとっては、外注の方が給料という固定費用を変動費化できますし、消費税も控除できるので都合の良い働き方です。従業員のフリーランス化は、時代の流れかもしれません。

それでは、働く方にとって給料をもらう従業員が有利なのか、それともフリーランスである程度自由に経費を使った方が有利なのか。

正直どちらともいえません。サラリーマンの強みは、何といっても、「給与所得控除」。世界でも最高水準といわれる日本の給与所得控除は捨て難いものがあります。何しろ年収300万円の給与所得者は、約100万円の控除が受けられます。

給与所得控除とは、サラリーマンに認められた概算の必要経費です。しかし年収300万円のサラリーマンが、研修や語学教室、自腹の接待交際費に年間100万円も使うわけがありません。

これは基本的にフリーランスでも同じです。確かにサラリーマンであれば当然に支給される、作業着、消耗品、旅費交通費、パソコン、携帯電話、ネット利用など通信費などが必要経費になります。

それでもコンサルタント、プログラマー、編集者、デザイナーなどいわゆるサービス業では、年収の50%まで経費を使うのは難しいでしょう。

確かに、自宅を事務所・作業場として使用している場合、家賃や光熱費の50%近くを経費にできますからかなり経費を稼げます。さらに自動車を所有して事業にも使用している(ことにする)と、やはりかなり有利です。

しかし、自宅は自己所有あるいは親の所有、自動車も乗らない方、接待交際費を使わない方は経費の計上のしようがありません。やはり、フリーランスを選択するならば「法人化」をして法人で経費を落としつつ、給与所得控除を受けるのが最も「節税」になります。

マンション投資で節税は不可能!?

業種での傾向を見てきましたが、申告する所得の種類でも、その年の傾向があります。ここ数年来の傾向ですが、副業で不動産所得を申告される方が増えています。特に大都市圏では、投資用物件としてワンルームマンションを購入して賃貸収入を得ている普通のサラリーマンが増えています。

中には味を占めて(?)物件を次々と買い増す方も少なくありません。購入の動機を聞くと、多くの方が将来の「年金対策」と答えます。

昨年はそれに加えて、従来は昔からの地主さんや、プロの不動産業者の領域であったアパートの一棟買いをする方も登場しました。もちろんほとんどの方は自己資金が限りなくゼロのフルローンです。

銀行など金融機関としては、超低金利の時代に経営の危うい中小企業に資金を貸すよりも、担保のしっかりとした不動産融資に走るのも理解できます。サラリーマンは下手な中小企業の「社長さん」より、よほど銀行からの信用度は高いのです。

ただし、首都圏のマンション価格は相当な高値で高止まりしているため、投資利回りはあまり期待できないようです。その上アパート、マンションは供給過多になりつつあるので将来の空室リスクが心配です。

不動産投資は、節税対策になると頑に信じている方も世の中には多いのですが、マンション投資で節税ができるケースはまずありません。

不動産所得では、最大の経費は減価償却費です。建物のような償却資産は原則、購入時に一括で経費になるのではなく、法定耐用年数で割った金額がその年の経費になります。

マンションは購入金額に占める建物価格の割合が少ないのと耐用年数が47年と長いため賃貸収入に対して経費が少ないのです。仮に3000万円のマンションの建物部分が1500万円だったとしましょう。新築の場合、その年に経費となる減価償却費はその金額を47分の1である31万9000円でしかありません。不動産所得がマイナスになると、確かに給与所得と合算されてそのマイナス分の税金が還付されるのですが、そもそも賃貸収入より借入金の返済額が大きければ投資の意味がありません。

銀行は失礼ながら目先のノルマ達成のためには、一見無謀なアパート投資でも黙って貸してくれるので、投資を考えている方は、自分でしっかりと目利きをする必要があります。

年内で打ち切り見込みのタワーマンション高層階優遇策(?)