2017年も「猛暑・酷暑」予報オフィス まるごと
“省エネ&コスト削減”徹底指南

ビジネスプリンター

動作時間&節電制御で電気代カット
社内外で印刷使い分けコストも削減

 ビジネスプリンターの省エネやコスト削減の実現には、①使用電力量の抑制、②機器自体の消費電力量削減、③消耗品消費量の抑制――この3つの視点がポイントとなる。

動作時間を短縮

 まず、①使用電力量の抑制とはプリンターや複合機を活用する際に消費する総電力量を少なくすること。というのも、ビジネスプリンターが消費する電力量は印刷やコピーの頻度、出力枚数、間隔などで異なり、オフィスでの使い方に左右されるため、これらをコントロールすることで節電が可能となるからだ。

 図1は、ビジネスプリンターの使用状況ごとの消費電力量の変化を示したもの。ジョブ実行中(動作時)の電力消費量が最も大きく、待機(レディー)時や節電状態では低い。

 このため、動作時の消費電力を減らすと共に節電状態を長く保つことがトータルの電力消費量を抑制し電気代カットにつながるわけだ。

 ジョブ実行中に消費される電力量は、「機器の動作電力×動作時間」により決まる。機器自体が必要とする動作電力は制御できないが、動作時間を短くすることはできる。この時にポイントとなる機能が、「割付プリント/コピー」である。

 用紙消費量の抑制によるコスト削減機能として注目されることが多いが、複数原稿を1ページに集約して印刷することにより出力時間を短縮し電力消費量を抑えることが可能だ。1ページに割り付けられる原稿枚数は様々。社内外向けなどの用途や読みやすさなどを考慮して、日々のプリント業務にうまく取り入れたい。

 また、表裏印刷の資料などを複合機でコピーする場合には、「両面同時スキャン」が時短に役立つ。

 両面同時スキャンは2基の読み取り装置を搭載し、1度の送紙で原稿の両面をスキャンするもの。片面を読み取った後に用紙を反転させて裏面を読み取るタイプとは異なり、両面同時タイプは読み取り時間をほぼ半分に短縮できる。

 これらジョブ動作の電力消費量を制御する電気代カットの方法は、特にページ数が多い原稿の大量印刷などに有効だろう。

■図1 ビジネスプリンター使用状況ごとの「消費電力量の変化」のイメージ

省電力モードを賢く活用

 ビジネスプリンターの使用スタイルでは、よほど出力ボリュームや印刷頻度が多くない限り、ジョブ待ち時間が動作時間よりも長い。

 このため、ジョブ待ち時間の消費電力を抑えることも節電では重要となる。ポイントは、待機(レディー)状態と節電(省電力)モードを、いかに使い分けるか。

 表1に解説したように、一般的にレディー状態とは「指示を受けてから最小限の時間でジョブを開始できる状態」のこと。動作時ほどではないにせよ、一定の電力を消費する。これに対して節電モードは、いわゆるスリープモードなどの設定でレディー時よりも電力消費量が低い。

 節電の観点でいえば、「オートスリープ機能」や「節電ボタン」などを駆使して節電状態を長くすること。レディー状態が一定時間続くと節電モードへ自動で切り替わるオートスリープは機種により移行時間を変更できるので、これを短く設定するだけでも「十数%もの消費電力量を抑えられる」という。

 ただし、レーザーやLED方式では使い勝手との兼ね合いを考えたい。節電モードからレディー状態に戻る時に(リカバリー)、予熱による電力を消費するからだ。

 例えば、数枚程度の原稿を頻繁に出力するような用途でスリープとレディーの繰り返しがあまりにも多い場合など、逆に消費電力量が増えることにもなりかねない。オフィスに人が多くジョブが集中する時は、常時レディー設定やオートスリープの長時間設定で生産性を優先。使用頻度が少ない時間帯には移行時間を最短に設定して、ムダな電力消費を削減するとよいだろう。

 もともと機器自体の消費電力が低くリカバリーやウォームアップをほとんど気にする必要がないインクジェット機では、待機時などは電源を切るのも1つの考え方である(FAX使用の複合機以外)。

■表1 ビジネスプリンターの節電&コスト削減を実現するために知っておくべき機能とスペック

①「使用電力量の抑制」のためのキーワード
動作時消費電力 印刷やコピーなどのジョブ実行中の消費電力量のこと。なお、「最大消費電力量」はウォームアップやリカバリーなどの最も電力を使う時の瞬間的な消費電力をいう
待機(レディー)時消費電力 印刷やコピーなどのジョブ指示をかけた時に、最小限の待ち時間でジョブを開始する待機(レディー)状態での電力消費量のこと
節電(省エネ)モード ジョブ実行までに最も時間がかかる状態だが、電源オフを除き最も電力消費が抑制されている状態。節電は、この時間帯を長くすることがポイントとなる
オートスリープ機能 一定時間が経過すると、レディー状態からスリープなどの節電モードへ自動移行する機能。高速なリカバリータイムを持つ機種やもともと待機消費電力が低いインクジェット機では非搭載のモデルもある
節電ボタン ワンタッチで待機状態から節電モードに切り換えられる機能。オートスリープを待つことなく任意に節電に取り組める
割付プリント/コピー 複数ページを1枚の用紙に集約して印刷やコピーできる機能。数枚の出力を1枚で完了できるため、動作時間の短縮につながる
同時両面スキャン 1度の送紙で原稿の表裏を同時に読み取るスキャン機能。反転読み取りタイプに比べて短時間でスキャンが完了する
②「機器自体の消費電力削減」のためのキーワード
TEC値 IT機器(*1)の省エネ性能に関する評価指標。1週間のうち業務が行われる平日5日間はプリンターを使用(動作/節電状態/電源オフの反復)、土日の2日間はほぼ未使用という条件で1週間使用した総電力消費量を時間当たりに換算。「kWh(キロワットアワー)」を単位とし、数値が低いほど節電性が高い
エネルギー消費効率 省エネ法の規定により測定された評価指標で年間消費電力(kWh/年)として表し、数値が低いほど節電力が高い。算出にはTEC値と同等の条件が採用されている
③「消耗品消費量の抑制」のためのキーワード
自動両面プリント/コピー 1度のジョブ指示で用紙の両面に自動印刷できる機能。節電の視点では、両面時も高速プリントモデルを選びたい
割付プリント/コピー ①「使用電力量の抑制」を参照
2 in 1 IDコピー メーカーにより機能名は様々だが、これまで2枚必要としていたIDカードなどの表裏コピーを1枚にできるので、用紙消費を抑えられる
PCファクス送受信 PCからダイレクトにファクスを送り受信ファクスはPC画面で確認することで、ファクスのペーパーレス環境を構築できる機能。類似の「インターネットFAX」は、ネット経由のファクス送信により通信コスト削減につながる機能のこと
トナーセーブ/インク節約モード プリントやコピー時にテキストや画像の濃淡を薄くすることで、トナーやインクの消費量を抑える機能のこと。社内外向けでの使い分けがポイントとなる

(*1)PC/プリンター/複合機/複写機/ファクシミリ/デジタル印刷機/スキャナー/ディスプレイ

超簡単!リプレイスで省エネ

 日々の節電努力に加え、ビジネスプリンターを買い替えること(②機器自体の消費電力量削減)も効果的な節電対策といえる。最新モデルは省エネ設計により、機器そのものが優れた節電性を備えているからだ。

 IT機器などの省エネ性能を評価する指標が「TEC(Typical Electricity Consumption)値」。動作時消費電力や最大消費電力などは部分的な電力の使用量を示しているだけで、機器トータルの省エネ性は判断しにくい。だが、TEC値は一般的なオフィスの平均的な利用状況をベースに算出したものなので、実使用に近い省エネ性能を把握できる。

 TEC値は、数値が小さいほど省エネ性に優れることを示す。対応用紙サイズや印刷速度、シングル機か複合機かなどで数値は異なるが、同等クラスの旧機種と比べると圧倒的に数値が低い。このため、単純に機器をリプレイスするだけでも節電効果が期待できるというわけだ。

 なお、TEC値の記載がない機種では、同じく省エネ性を知る指標の1つである「エネルギー消費効率」を参考にするとよい。

出力の使い分けでコスト削減

 電気代カットだけでなく、③消耗品消費量の抑制によりランニングコスト削減や環境付加軽減に貢献できることは、ビジネスプリンターの大きな特徴といえる。

 その代表例は出力用紙だろう。周知のように、「自動両面プリント/コピー」を使うだけで消費量を半減させることができ、さらに前述の割付プリント/コピーの併用により、4分の1や8分の1にまで削減が可能だ。

 ただし、自動両面プリントの印刷スピードはチェックしよう。片面時と比べて両面時の印刷スピードが遅過ぎると、動作時間が長くなり場合によっては省エネ視点でマイナスとなるからだ。両面生産性(印刷速度について片面時に対する両面プリント時の割合)が高い機種を選びたい。

 この他、IDカードの表裏を1枚の用紙にコピーできる機能や、PCファクス送受信などが用紙の節約につながる他、複合機では紙で出力する必要がない原稿を電子化することで、ムダな用紙の使用を避けられる。

 トナー/インクについては、「トナー/インクセーブ」機能により使用量を節約できる。出力原稿の濃淡は薄くなるため顧客向け資料や品質重視の原稿などには適さないが、段階的な濃度設定の変更やテキストと図表間での濃度調整により読みやすくするなど使い勝手が進化しているので、個人や社内配布などの用途なら実用上の問題はない。

 節約ポイントが盛りだくさんのビジネスプリンターだけに、賢く省エネ&コスト削減を実現してはいかがだろうか。