2017年も「猛暑・酷暑」予報オフィス まるごと
“省エネ&コスト削減”徹底指南

プロジェクター

長時間用途では半導体光源も選択肢
投写中の電力消費量削減がポイント

 ビジネスプロジェクターの省エネとコスト削減に取り組む場合、注目すべきはTCO(総所有コスト)といえる。IT機器の導入から使用、廃棄までにかかる費用の総額に基づいてコストを捉える考え方がTCOであることは周知の通り。

 オフィス機器の導入では購入価格ばかりに目が行きがちだが、イニシャルコストが抑えられたとしても、運用や管理に費用がかかるとトータルコストは高くなってしまうからだ。

 特に、ビジネスプロジェクターは使用時間に比例して、電気代やランプ交換などのランニングコストが上昇するので、どのように業務で使用しているかをしっかりと見極めることが重要だろう。

 大きな判断ポイントは、日々の使用時間である。「学校や塾といった教育現場で朝から晩まで使う」「店舗やショールームでプロモーションツールとして活用する」など、圧倒的に使用時間が長い場合は「機器自体の省エネ性」を検討することが欠かせない。

 逆に、週に数時間程度しか使わないといった用途であれば、イニシャルコストを重視しつつ、後述する「使い方の工夫」に取り組むことでトータルコストを抑えられる。

水銀ランプか半導体光源か

 まず、「機器自体の省エネ性」について見ていこう。他のオフィス機器や設備機器と同じく、ビジネスプロジェクターでも省エネ性が高い環境型モデルがラインアップされている。ランプ光源にLEDやレーザーなどの半導体を採用したタイプだ。

 半導体光源は、現在でも多くのモデルで採用されている水銀ランプに比べて消費電力の低さが特徴。ビジネスプロジェクターで最も電力消費を左右するパーツが光源ランプであるだけに、長時間使うヘビーユーザーなら半導体光源モデルを導入することにより、それだけで電気代を大きくカットできる。

 さらに、半導体光源は約2万時間前後の長寿命もメリットだ。経年劣化が大きい水銀ランプの寿命は2500時間~5000時間程度のため、ヘビーユーザーは交換ランプの購入コストと交換の手間がかかる。だが、半導体光源では、こうした手間やコスト負担が大幅に減る。

 ただし、半導体光源モデルは水銀ランプの機種に比べてイニシャルコストが高い。その価格差を、電気代や交換ランプ購入費用のカットなどのランニングコスト削減分で吸収できるかどうか、つまりTCO視点で見た場合に利点があるかが選択のポイントといえる。

 機器の耐用年数を償却資産ベースで見た場合、基本的に5年。この期間内に何度もランプ交換が必要な使い方の場合、それだけ電力消費も多いだけに半導体光源モデルが向く。

 だが、プロジェクターは必要だが使う機会は少なく、この期間に光源ランプを交換しなくてもよいといった使い方なら、エントリーやスタンダードクラスの水銀ランプ搭載機が適している。

使い方の工夫

 そして、水銀や半導体の光源ランプの種類、既存か最新モデルかを問わず取り組めるのが日々の使い方の工夫といえる。

 図1は、ビジネスプロジェクター使用の流れ(準備/投写/撤収・メンテナンス)と節電のポイントを示したもの。基本的に電源を入れてから撤収するまで電力を消費しており、この時間をできるだけ短くすることと、使用中の電力を抑えることが大事だ。

 このうち最も効果を期待できるのが、投写時に明るさ(輝度)や投写サイズを調整すること。プロジェクターで最も電力を使う投写中の消費電力を抑えて効果的に節電しようというわけだ。これは、必要なものを削ることではなく、投写時に発生するムダを排除することを意味する。

 具体的には、室内環境や使う状況により輝度や画面のサイズを変えること。例えば、暗い部屋では「エコモード」により輝度を落としたり、あるいは意図的に部屋の照明を消して輝度を下げる。画面を見る人数が少ない場合には、輝度を落とすために投写サイズを小さくするといった具合だ。

 常に最大輝度で投写する必要はなく、適正輝度で使うことは節電に加えて光源ランプの寿命を延ばすことにもつながる。

 手動設定だけでなく、機器が画面の明るさと周囲の環境を判断して輝度の調整を行う自動制御など、機能も様々。明るさを抑えることは電力カットの効果が大きいだけに、うまく取り入れたい。

 また、投写中といえども、プロジェクターをいつも使っているわけではない。特に、会議や授業などでは数十分も時間が空くこともあるだろう。

 こうした場合、投写を中断することで電力消費を抑えられる。関連する機能としては、「スリープモード」「レンズカバー」「ミュート」などが挙げられるが、中断時や一定時間経過後に低輝度設定や省電力状態に自動移行するような動作と連動していることが必要だ。

 半導体光源モデルの場合は、最大輝度への到達時間が短くクールダウンも不要なため、投写中でも液晶テレビ的な感覚で電源スイッチをオン/オフできる機種が多い。使用中の待機時間に、これを利用して節電に取り組みたい。

 準備と撤収においても時間短縮を意識することで、わずかとはいえ消費電力の削減に役立つ。

 「ダイレクトパワーオン」「自動歪み台形補正」などの機能をフル活用して、短時間でセッティングを終え、すぐに使用を開始できれば、それだけムダな電力をカットできる。撤収時も考え方は同じ。ほぼ標準機能となりつつある「ダイレクトシャットダウン」により、使用後すぐに電源を切ることで電力消費は減る。

 また、機器のメンテナンスも欠かせない。プロジェクターはホコリに弱いためエアフィルターが搭載されており、定期的な清掃が必要。これを怠ると目詰まりにより内部が高温となるため、突然のランプ切れや故障による余計なコストが発生する。

 すべての機種に節電関連の機能が搭載されているわけではないが、マニュアルを再度確認して、表1のような機能は積極的に活用して節電に取り組んでほしい。

■図1 ビジネスプロジェクターで検討すべき節電ポイント

意外に低消費電力なシアター機

 ハイエンドクラスのシアター機といえば、4K映像などによる美しい臨場感あふれる描写力が特徴だ。それだけに、映像を高いレベルで制御するためのパーツや機能などが搭載されている。このため、「消費電力も高いのでは」と思われがちだが、一般的なビジネスプロジェクターと変わらない。

 しかも、低出力のランプモードや電力消費量を抑える待機設定などの基本的な省エネ機能も持つ。映像最優先のコンテンツ表示なら、シアター機を活用するのも1つの考え方だろう。

■表1 プロジェクターの節電&コスト削減に役立つ主な機能など

準備(セッティング)
高速起動 投写準備の時間短縮に役立つ機能群。電源コードをコンセントに差すだけで自動投写が始まる「ダイレクトパワーオン」や、接続PCからの映像出力でプロジェクターが自動オンとなる「オートパワーオン」などがある
自動台形歪み補正 プロジェクター設置時には必ず生じる投写映像の台形歪みを修正する機能。補正操作に慣れることが大事だが、自動化された機能なら準備時間の短縮に効果的だ
オートフォーカス 投写映像をプロジェクターが読み取り、自動でピントを合わせる機能。焦点調整が苦手だと準備に手間取り時間がかかる場合もあるが、この機能により素早いセッティングが可能となる
投写
エコモード 最大輝度に対して、実際に投写する明るさを落とす機能。設定できる輝度のレベル(明るさ)はモデルにより様々。基本的に手動でモードを選ぶ
自動輝度制御 照度センサーなどを利用して画面や環境の明るさをプロジェクターが判断し、投写輝度を自動でコントロールする機能。「ライトオプティマイザー(エプソン)」「インテリジェントライトコントロール(カシオ)」「オートエコ(NEC)」など、メーカーや機種により様々な関連機能がある
投写中断機能 投写中の使わない時間に消費電力を抑えられる機能群。「スリープモード」「レンズカバー」「ミュート」「フリーズ」「超低輝度モード」など様々な関連機能があるが、節電の視点では待機状態への自動移行や電源オフなどの動作と連動していることが必要だ
撤収・メンテナンス
ダイレクトシャットダウン 電源ボタンをオフにすることなく、クールダウン不要で使い終わったらすぐにACコードを抜いて電源を落とせる機能。「ダイレクトパワーオフ」ともいい、多くの機種に標準装備されつつある
エアフィルター プロジェクター内部にホコリが侵入するのを防ぐパーツ。定期的な掃除により、ムダな電力消費や故障を防ぐことが重要。最近は、汚れにくくクリーニングの回数を減らせるタイプもある