2017年も「猛暑・酷暑」予報オフィス まるごと
“省エネ&コスト削減”徹底指南

業務用エアコン

電気代カット約6割!ムダも徹底排除
最新機へのリプレイスが節電の近道

 店舗やオフィスの節電で検討すべき設備の1つが、店舗・事務所用空調機器(以下、パッケージエアコン)である。というのも、終日フル稼働する設備機器だけに、平均的なオフィスビルにおける夏季電力需要の48%を占める(資源エネルギー庁による推計)など、様々な設備の中でも消費電力量が突出しているからだ。

 これを見直して節電対策に取り組むことで、大きなコスト削減効果が期待できるのは明らかだろう。パッケージエアコンの節電を実現するためのポイントは、「最新機へのリニューアル」と「節電機能のフル活用」である。

最新機へのリニューアル

 既存設備の使い方を工夫して節電に取り組むことは1つの考え方といえようが、ことパッケージエアコンに関しては最新機種へのリニューアルが大幅なコスト削減につながる。

 理由は、省エネ性能が飛躍的に向上していること。図1は、15年前の機種を最新の超省エネ機に入れ替えることでカットできる年間消費電力量のシミュレーションである。同じ使い方であっても、入れ替えるだけで約58%の消費電力をカットし、電気代に換算すると年間4万4600円を削減できる試算だ。

 しかも、単純に電気代が安くなるというだけでなく、後述するように快適性が格段にアップし、生産性向上による作業時間短縮など見えないコスト削減効果も期待できる。

 これだけ冷暖性能が向上した背景として、技術変革が挙げられる。現在主流のインバーター技術は、コンプレッサー(圧縮機)の能力をきめ細かく制御して温度をコントロールするため、少ない消費電力で冷暖が可能。これに対し、従来技術の定速機は圧縮機のオンオフにより温度を制御するため効率が悪く電力消費が大きくなりがちである。

 インバーター技術ベースのパッケージエアコンが登場したのは2000年頃。市場の製品が従来の定速機からインバーターにほぼ置き換わった時期は2004年から2006年にかけてのことなので、15年以上前の機種はほとんどが定速機ということになる。このため、古い機種ならリニューアルが最大の節電対策というわけだ。

 パッケージエアコンの設計上の寿命は約10年とされるが、平均使用年数は約16年程度といわれている。オフィスや店舗では、それ以上の長きにわたって稼働している設備も珍しくない。

 古い設備をメンテナンスしながら使い続ける考え方も大事だが、節電の視点ではマイナスであるばかりでなく、それ以外にもコスト高になる可能性がある。

 例えば、機器の故障だ。機械である以上、使用環境などにより差はあるものの経年劣化により、故障率は高くなる。フル稼働が必要な時に使えないとなれば、業務停滞や生産性低下にもつながりかねないだろう。

 修理に必要な部品には保有期間があり、故障時期によっては直せない可能性がある。また、15年以上前の機種で主流のR22冷媒は2020年に生産が終了するため、入手困難となることは確実。電気代コストの削減効果からも、早期の入れ替えが大きなメリットであることは間違いない。

 今年、設計寿命を迎える10年前の機種が登場した2007年頃は、初期インバーター機が主流。最新の超省エネ機は、これらのモデルと比べても大きく電力使用量を削減できる(図2)だけに、10年以上使い続けている機器についてもリニューアルを検討してもよさそうだ。

節電機能のフル活用

 室外機の進化による省エネ性能アップに加え、室内ユニットの機能進化も節電力が向上している理由だ。

 その代表例は、日立の「人感センサー」や三菱電機の「人感ムーブアイ360」などの自動制御機能である。これは温度調整、風速や風向きといった従来は人的に管理していた要素を、室内ユニット搭載の多彩なセンサーにより機器側でコントロールするもの。ソフト節電機能ともいう。

 オフィスや店舗内は人数や人の配置、空間ごとの温度などが刻々と変化するため、人手による制御では限界があり冷やし過ぎなどのムダが発生していた。ソフト節電機能は、人の活動量、床やデスクなどのふく射温度などを検知。これらの情報から空調コントロールを行うことにより、温度ムラや過冷却などが原因のムダな電力消費をカットすると共に、快適な空間を作り出してくれるというわけだ。

 さらに、リモコンも多機能化。ソフト節電機能による節電結果を大画面でビジュアルとして確認したり、複数の機器を1つで制御したりといったことが実現されている。

 最新モデルでなくとも、デマンドを制御する「ピークカット」や冷暖と送風を繰り返す「間欠運転」、「設定温度範囲制限」といった自動制御機能などは、かなり以前の機種から搭載されている。これらを活用すれば、既存設備でも節電効果が期待できるので、確認してほしい。

 2017年度も省エネ性能に優れた業務用エアコンの導入に対する減税策や補助金など、リニューアルを後押しする政策が用意されている。制度を活用しながら、今夏のコスト削減に取り組んではいかがだろうか。

最新用語解説1●APF2015

 パッケージエアコンなどの冷暖能力の効率性(省エネ性能)を示す指標として採用されているのが、「APF(Annual Performance Factor/通年エネルギー消費効率)」である。決められた環境や条件下で稼働させた場合の運転効率だ。
 実使用を想定した測定条件で算出されており、2015年に評価項目が従来の5点から8点に増加し、これまで以上に使用実態に近い省エネ性能を表すものとなった。
 従来の基準と区別するため、製品カタログなどに「APF2015」と表記しているメーカーもある。数値が大きいほど、省エネ性能が高い。
 最新モデルの多くは新基準をクリアしており、超省エネ型タイプは基準値を大きく上回るなど、冷暖能力の効率が飛躍的に進化。節電能力に優れている。
 

最新用語解説2●新冷媒「R32」

 パッケージエアコンの血液ともいえるのが「冷媒ガス」。この冷媒も進化しており、現在は「R410A」から新しい「R32」への移行が進む。
 新冷媒R32は、地球温暖化に与える影響を数値化したGWP(地球温暖化係数:数値が小さいほど環境負荷が少ない)がR410Aの3分の1と、温暖化への影響が少ないことが特徴だ。
 同冷媒を採用したパッケージエアコンはフロン排出抑制法によるGWPの2020年度目標をクリアしているので、その導入は環境負荷軽減にも役立つ。